船渡し問題

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19デフォルトの名無しさん
その日母は言った。

母:「パパとママどっちについてくるのか決めなさい」
母はそう言っていたが実際のところは
ほとんど強制で息子1・2娘1・2共々母の実家に連れて行かれる事になった。
犬のポチは何故か母にはほとんどなついておらず、
父の下に残る事になった。

母は少しノイローゼ気味になっていた。
子供を母の実家に連れて行くことに決まったとき、父は何も言わなかった。

そして母の実家に行く前日の夜、息子1はこっそりと執事の部屋に行った。
息子1:「じいや、起きてる?」
執事:「ぼっちゃま?どうしたのですか?こんな夜中に・・・」
執事:「明日は朝が早いですじゃ、眠った方がお体のためですじゃ・・・」
息子1:「いいんだ、今日はじいやといられる最後の日だもん」
執事:「ぼっちゃま・・・・」

そう、子供達は全員母の実家に行く事になり、執事も今夜で仕事をやめる事になっていた。
息子1:「じいや、僕ママが嫌い・・・いつもパパが遅く帰ってくるからって僕達に怒鳴ってばかりなんだもの」

父はプログラマを仕事としていた、連日残業で帰りが遅かったのだが
母はそれが気に入らないらしく、いつも子供達にあたっていた。
20デフォルトの名無しさん:2001/05/22(火) 19:38

息子1:「でも僕達がママの所へ行く事になったとき、パパは何も言わなかったんだ・・・」
息子1:「パパは僕達が嫌いなのかな・・・・?」
執事:「子の事を思わない親はいませんですじゃ・・・」
執事:「旦那様はじいやに一言だけいいましたですじゃ・・・・「子供は母親と暮らした方が幸せになれる」・・と」
息子1:「いやだよ!!僕はパパとも別れたくないし、じいややポチとも別れたくないよ!!」
執事:「ぼっちゃま・・・・」
息子1:「今日は一緒にいい?」
執事:「もちろんですじゃ、ではじいやが本を読んで聞かせましょう。」

こうして夜は明け、いよいよ出発の朝となった。
母:「さあ、行くわよ!!早く船に乗って!!」
ポチ:「クゥーンクゥーン」
母:「まったく!!このクソ犬ったらちっとも私になつきやしない!!」
母:「さっさと保健所にでもつれてった方ががいいんじゃないの?!!」
父:「・・・」
息子1:「じいや・・・」
執事:「坊ちゃまお元気で・・・」
父:「ママと仲良くするんだぞ・・・」
やがてに時間になり船は出発した。
21デフォルトの名無しさん:2001/05/22(火) 19:38
船が出発し、岸から数百メートルは離れた頃だろうか・・・
突然ポチは船に向かって泳ぎ始めた。
ポチ:「ワン!!ワン!!」
執事:「ポチ!!」
父:「好きにさせてあげよう・・・ポチも子供達と別れがつらいんだろう・・・」

その頃船では・・・
娘1:「ねぇポチがこっちに泳いでくるよ」
母:「えー?どうしようもない馬鹿犬ねぇ、ほっておきなさい」
息子1:「ポチ・・・」
息子1:「ママ!!やっぱり僕パパのところに行く!!パパやじいややポチと一緒に暮らす!!」
母:「何行ってるのよ馬鹿馬鹿しい!!それにもう船は出てるんだし遅いわよ」

その時、息子1は船を飛び降り、岸に向かって泳ぎ始めた。
母:「何やってるのよ馬鹿!!あんな男のところに戻ったって良い事なんか何もないわよ!!」
息子1:「パパのところに帰るんだ!!」

その頃岸では・・・
執事:「旦那様!! 大変ですじゃ!!子供が一人川に飛び込んでこちらに泳いできますじゃ!!」
執事:「このあたりは流れも速いし、溺れてしまったら大変ですじゃ!!」
父:「!!!・・・あれは・・・!!」
父:「ひろゆき!!」

今まで無口だった父が突然感情を露にし、川を泳ぎ始めた。
父:「ひろゆきー!!」
息子1:「パパー!!」

・・・・
父:「はぁはぁ全く!!無茶をしおって!!」
ポチ:「クゥーン」
息子1:「だって決めたんだもの、パパとじいやとポチと一緒に暮らすって!!」
父:「ひろゆき・・・」
22デフォルトの名無しさん:2001/05/22(火) 19:38

==エピローグ==
結局ひろゆきは父の下で暮らすことになった。
じいやも仕事で帰りが遅い父の代わりにひろゆきの面倒を見るため
執事の仕事を続ける事になった。
やがてひろゆきは成長し、父に習ってプログラムなどを覚え
コンピュータにかかわる事になる。
「幼い頃父と母が別れたのは、二人の会話が少なかったからだと思うんです」
こうしてひろゆきはインターネット上に誰でも情報交換を出来る
巨大掲示板を作る事になったのだ。

======================================完======================================