82 :
000:
チャイムが鳴り、授業が終わると同時に数人の生徒が急いで席を立つ。
立ちあがったのはほとんどが女子生徒だ。みんな早足で
教室を出て一目散に1箇所に集中する。
行き先はもちろんいつもの女子トイレだ。
私立誠心館高校はこの春、男子校から共学校へと変わった。
年が明けてすぐに突然の経営者交代。急な変化ということもあって
環境の整備がまだまだ追いついていない。
特に、女子トイレは急場しのぎで男子トイレを作りかえたものが1階にたったひとつ。
最初の年度はそれほどの女子生徒が入学しないだろうと見こしてのことらしいが、
それならば女子制服のデザインを流行りのデザイナーに依頼したのが
間違いだった。たいしてレベルも高くない学校におしゃれな制服。
入試を終えてみれば一年生約350人の内、半数を上回る190人ほどが女子だった。
対して女子トイレには個室が8つ。毎回の休み時間が修羅場になるのは
当たり前だった。
野々宮奈津美も当然トイレに走る。1時間目が終わったところで尿意はまだ
それほどでもないが、この学校の環境では行ける時に行っておかなければ
後々大変なことになる。実際、奈津美も他の女子も授業中にトイレに立つことが
頻繁だった。
トイレに着くと、そこはすでに長蛇の列だった。列というよりもトイレ内が
満員電車のようにごった返している。どうやらこの時間はあきらめたほうがよさそうだ。
教師の中には、こういう女子の事情を考慮して数分早く授業を終える人が
何人かいるのだ。前の時間にどこかのクラスがそうだったのだろう。
奈津美はべつに深く考えることもなく、細い体をひるがえして教室に戻った。
83 :
000:2001/08/23(木) 03:10 ID:3ig5/r8c
2時間目。案の定何人かの生徒が席を立ち先生に何か告げて教室を出る。
トイレが近い子などはすぐに限界が来るのだろう。広川雪乃もその一人だった。
さっきの休み時間、トイレに行けなかったせいで膀胱がパンパンだ。
しかし、内気な雪乃はそのことをなかなか言い出せなかった。
入学して数ヶ月、いつもこうやって尿意に苦しまされている。本当に
限界の時は先生に言ってトイレに行くのだが、極力そういう恥ずかしい
思いはしたくない。次の休み時間までなら何とかなるかもしれない。
そう考え、雪乃はできるだけ別のことを考えながら授業を受けていた。
いっぱいにたまった尿が内側から雪乃の下半身をノックする。
それに応答するはずもない。雪乃は必死で扉を押さえていた。
慣れたものとはいえ、苦しいのに変わりはない。ちょっと気を緩めれば
わずかな隙間を狙われそうなほどの状態なのだ。
全身に震えが来る。体は震えているのにかすかに汗ばんでいる。
少しだけ腰を揺らすが、男子もいる教室の中、あまりあからさまに
我慢しているという風にはできない。尿意と必死に闘い、それに気付かれないように
平静を装う。雪乃は時間が来るのを祈るような思いで待った。
あと10分弱。我慢できるだろうか。もうトイレに行ってしまおうか。
だが、こんなぎりぎりの時間に行くのでは、よほど我慢していたと思われてしまう。
それだけでも雪乃にとってはたまらないほど恥ずかしいことだった。
やはり我慢しなければ。じっとりと汗ばんだ体が小刻みに震える。
恥ずかしかろうがなんだろうが、それは止められない動きだった。
下腹部がジンジンして顔が熱くなる。きつく合わせた膝を擦り合わせる。
その動きがだんだん大きくなり、ついにはゆらゆらと上半身が揺れる。
もう人目など気にしていられないという状況に陥り、反射的に席を立ちそうに
なった瞬間、先生から思わぬ助け舟が出た。
「じゃあ、ちょっと早いけど今日はこれで終わります。」
聞くが早いか、雪乃は教室を飛び出した。
84 :
000:2001/08/23(木) 03:11 ID:3ig5/r8c
雪乃は廊下に出て愕然とした。トイレから廊下にまで人があふれている。
(なんで?なんで…?早く終わったのに・・。)
トイレに近づいて確認するまでもない。中はぎゅうぎゅう詰めの状態だろう。
(そんな…もう漏れちゃう…)
とにかく、ここにいてはどうにもならない。雪乃はおぼつかない足取りで
進み、列の後ろについた。並んでいても足の動きは止まらない。もじもじと
不規則に足踏みをする。体は前かがみになりどこからみてももう限界といった風だ。
のろのろと列が進み、やっとトイレの入り口にあたりまで来るが、このままでは
休み時間の間に自分の番は来なそうだ。すでに五分以上は経っただろう。
尿意の波は、引いたり、またすごい勢いで押し寄せて来たりする。
高まった瞬間は雪乃のか弱い堤防を打ち崩そうかというほどの勢いだった。
腕時計を見る。あと2分。だめだ。
いくら足踏みをしていても一点にとどまっているのがつらい状態の雪乃は考えた。
(このままじゃ…。次の時間が始まってからすぐ来れば…)
雪乃は不恰好な姿勢で教室のほうにゆっくりと向かった。
途中、ベルが鳴る。ふりかえると、あきらめた生徒たちがばらばらに
それぞれの教室へ戻って行く。それを見た雪乃はきびすを返した。
次の時間に遅れてもしようがない。教室に戻るのすら危い状況の雪乃は
最後の力を振り絞ってもと来た廊下を引きかえした。
そしてトイレに入り、あの異常な混雑状況の理由を知る。
85 :
000:2001/08/23(木) 03:11 ID:3ig5/r8c
(そんな…!!)
女子トイレはさきほどの混雑は解消されたものの、まだ10人ほどの
生徒が残っていた。彼女達はいかにも限界だといった様子で片側の
4つの個室に並んでいた。逆側の4つの個室はドアが開いていた。
が、中を見ると和式の便器に模造紙のようなものがかぶせられていて
「使用禁止」の文字。もともと少ないトイレが半数になっているのだ。
これではあの混雑ぶりもしかたがない。
そうやって納得すると同時に今度は絶望に似た不安がわきあがる。
トイレに残っていた生徒たちはみんな雪乃と同じような状態なのだろう。
閉じられたドアの横の壁に張り付くようにして順番を待っているものもいれば、
しゃがみこんでしまっている者もいる。とても限界だから先に入れてなどと
言い出せる状況ではない。雪乃は股に両手を挟みこみ、前かがみになって腰を
揺らした。とにかく待つしかない。一つのドアが開き、次の生徒が出てきた生徒を
押しのけるようにして中に滑りこむ。それが何度か繰り返して、雪乃の前に残り3人に
なった時は、雪乃の貯水池は決壊寸前だった。
すでに、後にも何人かの列ができている。授業を抜けてきたのだろう。
そして次の生徒が入り残り二人になった時、突然しゃがみこんでいた生徒が立ち上がって
使用禁止の個室に飛びこんで行った。順番的には次の生徒だった。
それを待つことすらできなかったのだろう。すごい音を立てて扉をしめる。
ビリリと紙を破く音が聞こえたかと思うとほとんど同時にシュ――という放尿音が
聞こえた。今までに個室に入った生徒たちはまず全員が音消しの水を流していた。
たまに、こらえきれなかったのだろうか、ワンテンポ遅れて水を流す音が尿の音を
追いかけるようなこともあったが、こんなに堂々と音を立てておしっこをしているのは
初めてだ。その音がしばらくして止んだ。水を流す音も聞こえなければ、その生徒も出てこない。そうこうするうちに雪乃の前の生徒がトイレに入り、次が雪乃の番になった。
使用禁止の個室のドアが開き、生徒がうつむいたまま飛び出してきて手も洗わずに
走り出て行った。
どうやら、水が流れないようだった。それで使用禁止になっており、
今の生徒も音消しができなかったのだ。彼女の去ったあとの便器には、濁った水が
たまっているのだろう。それを考えると、雪乃にはその個室を
使えそうにはなかった。
(よかった…私が飛び込まなくて…でも…もうだめ…)
86 :
000:2001/08/23(木) 03:12 ID:3ig5/r8c
何をしているのかというくらい前の人が長く感じる。
雪乃の前かがみになった体は、もはや半分しゃがんでいるような状態だった。
考えてみればもう限界だと思ってからもう10分あまりも経っている。
こんなに危機的な状況は初めてだと思うくらいに雪乃は切羽詰っていた。
ひくひくと尿道口が震える。
(あ…あ…だめ…)
腰がガクガクと震え、交互に踏んでいた脚も止まる。
ザーと水の流れる音がした瞬間、雪乃の震える尿道から染み出た尿が
じわりとショーツに染みた。
(!!)
スローモーションのようにドアが開き、前の人の顔が見えた途端にわきを
すり抜けて個室に飛びこむ。ガチャガチャと、あせってなかなか閉まらない鍵を
閉めている時にも、雪乃のショーツはだんだんと温かくなってきていた。
太ももの内側を筋になっておしっこが流れる。雪乃は反射的にスカートを持ち上げ、
便器にまたがった。ショーツを通して便器に尿が滴る。音消しをしているような
場合ではない。片手でスカートを押さえたまま必死でショーツを脱ごうとするが、
なかなかうまくいかない。手やお尻をびしょびしょにしながら
やっとのことでお尻を出した時には、おしっこは半分以上も出た後だった。
ようやく気付いたように水を流す。
苦しみから解放されて、雪乃は呆然とした。
コンコンコンコンコン。速いリズムでノックの音がした。
(そうだ。早く出なきゃ!)
さっきの自分のように苦しんでいる子がいるのだ。しかし…。
(これ…どうしよう…)
考えている間にもノックは続く。雪乃は深く考えることもできず、
濡れたショーツを脱いで汚物入れに押しこみ、汚れた手や太ももやお尻を
トイレットペーパ−で拭いて急いでドアを開けた。
雪乃にぶつかるように個室に入ってきたのは、さっきまで自分の後ろにいた子ではない。
見ると、向かい側の個室がひとつ閉まっていた。
(二人目の犠牲者…)
雪乃は他人事のようにそのドアを見て、自分が下着を着けていないことを
思いだし赤面した。
87 :
000:2001/08/23(木) 03:13 ID:3ig5/r8c
続きます。が、ここまで書いてスレ違いなことに気づいた。
最初に出てきた奈津美はなんとかいじめてみます。
じゃ、また後で。
88 :
000:2001/08/23(木) 06:47 ID:3ig5/r8c
暗い顔をして雪乃が教室に入ってきた。なんだか何かに怯えるような
落ち付かない様子だ。「どうした?」と問う先生に、小声で何かを告げて
また教室を出ていった。具合でも悪いのだろうか。
相沢智香も、人のことを心配しているような状況ではなかった。
2時間目後の休み時間にもトイレは大混雑だった。混んでいるのは
いつものことだが、ここまでひどいのはめったにない。
再びトイレをあきらめて帰ってきた智香は、3時間目が始まって間もない今、
すでに限界に近い状態だった。さすがにこの時間の終わりまでは無理な感じだ。
先生に言ってトイレに行きたいが、なんとなく切り出せないでいるうちに
時間がすぎていった。
そして授業が半分ほど進んだ頃、智香はもうそれ以上我慢できない状態で
席を立った。
教室を出てトイレに向かう。
(…?)
なんとなくトイレ付近の様子がおかしかった。
話し声が聞こえる。ぼそぼそという会話にときおり混じる大きな声。
授業中なのに誰かいるのだろうか。しかも何人も?
智香はいっぱいになったお腹をそっと抱えるようにしながら
トイレに向かった。
近づくと、中の様子がわかってきた。脅すような口調。すがるような口調。
ドン!と壁を蹴るような音も聞こえる。
しかし、中で何が起こっているかまではわからなかった。
少しためらわれたが、入らないわけにはいかない。
智香の我慢はもうぎりぎりのところまで来ているのだ。
トイレに入った智香にいくつかの視線が刺さった。
「あ、また来たよ」
あざ笑うような声と共に。
89 :
000:2001/08/23(木) 06:48 ID:3ig5/r8c
トイレの中の光景は、何が起きているかはわからないが
異様なものだった。
一人の背の高い生徒が、眼鏡をかけた大人しそうな子の髪をつかんでいる。
泣きそうな顔で逃れようとしているその子をにやにやと眺めている
3人の柄の悪そうな生徒。その周りには、
顔を覆って泣きじゃくっている子。トイレの床に座りこんでしまっている子。
その光景に、智香は一瞬足を止めた。が、すぐにその足は個室のほうへと向かう。
他のことにかまっていられるような状況ではないのだ。
その智香の行く手を、一人の生徒がはばんだ。ゆるいウェーブをかけた栗色の髪。
高校生にしては大人びたメイク。片耳にシンプルなリングのピアス。
その姿からは想像できないようなかわいらしい声で彼女は言った。
「あー、このトイレね−、使用禁止だから−」
「は!?」
思わず高い声をあげる智香。個室の中を見ると、便器の上に紙が張られている。
それは破かれていたが、確かにそこには使用禁止と書いてあった。
「そんな…」
智香の下半身が悲鳴を上げる。絶望的な言葉が尿意に拍車をかけた。
その場にへたり込みそうになる智香に、ピアスの子が言った。
「あ、でもねー、そっちは使えるの」
彼女は向かい側の個室を指す。助かった、と振り向いた智香の腕を
彼女がつかんだ。
「…え…ちょっ…なに…?」
「でもねー、使わせないからー」
彼女はなんでもないことのようにそう言ってのけると、ぐいと
智香の腕を引っ張った。よろけて壁に手をつく。
「ちょっとなに?わたしもう…」
智香は片手で太もものあたりをさすりながら腰を揺らした。
「こうやってトイレの数減ってさー、みんなヤバそうじゃん?
なんかおもしろいからさ、いじめてみてんのー」
眼鏡の子の髪をつかんだ大柄な子がそう言った。そして鞄でも持っているかのように
髪をつかんだ手を振り回す。
「やああぁ!!あ・・」
悲鳴を上げてその手に引きずられたその子は、直後にか細い声をあげた。
90 :
000:2001/08/23(木) 06:48 ID:3ig5/r8c
智香は信じられないものを見た。眼鏡の子が足をバタバタと踏みしめたと思うと、
チェック柄のスカートにかくれたお尻のあたりから、何かが滴った。
彼女はしゃがみこみそうになるが、つかまれた髪がそれを許さない。
中腰の姿勢のまま、スカートの色を濃く染めながらそれは床に落ちた。
足元に水溜りが広がる。
「はーい、こいつもアウト−」
髪をつかんでいた手が離され、少女はよろけて窓側の壁によりかかった。
うつむいて顔は見えない。泣いているのだろうか。
それを眺める3人の生徒はあざけるような笑い声を上げている。
智香は目の前で怒っていることが信じられないまま、座りこんでいる子と
顔を覆って泣いている子の周りの床にも水溜りができていることに気づいた。
その瞬間、その光景に自分の姿が重なる。
何かのスイッチが入ったように、智香はつかまれた腕をふりほどいた。
ピアスの子の横をすり抜けるが、すぐに別の子につかまってしまう。
もう尿意は限界だ。智香の腰が不自然に震えた。極端に内股になり、
からだがくの字になる。
「ねー理沙、こいつも漏らしちゃうよ−」
智香を捕まえている、ヘルメットみたいな髪型の子が言った。
「なんかつまんないねー」
さきほど眼鏡の子を捕まえていた長身の子がそれに答える。
「させてやっかー。観客つきで」
ピアスの子の言葉に、智香以外の全員がにっと笑った。
91 :
000:2001/08/23(木) 06:48 ID:3ig5/r8c
智香は、無理やり個室に押しこまれた。強く押されたせいで奥の壁に
思いきりぶつかる。衝撃で、あやうく漏れそうになった尿を必死で
押さえこんだ。
ピアスの子が、ドアが閉まらないように押さえる。長身の理沙と、ヘルメットと、
もう一人の太めの少女が外で智香を凝視していた。
智香はなんとかピアスを押しのけようとするが、かなわない。
そうしている間にも尿意は高まってゆく。まるで上に重りをのせていくような
感じで、ずん、ずんと尿意が強まる。智香は便器の手前でどうすることもできず、
股に両手を挟んで前かがみのまま体を震わせていた。
「それじゃ意味ないんだって−。早くしなよ」
理沙が、智香のお尻を軽く蹴飛ばした。蹴飛ばしたというよりは足で
押したという程度だったが、前かがみになっていた智香は頭から壁に
ぶつかりそうになる。とっさに壁に手をつき、片足を便器の向こうに
踏み出して踏みとどまった。
しかし、体勢が崩れたのと転びそうになった震動、そして驚きとで智香の
ダムが崩れた。
「あ、あっ…!」
しびれのような痛みのような感覚が下半身に走り、ショーツの中が温かくなる。
便器をまたいでいた智香はショーツを引き下ろしてそのまましゃがんだ。
「あー。出た出た」
「でもちょっとちびってんじゃんー?」
上からあざけりが降りかかる。智香は目をつぶってうつむき、羞恥で真っ赤に
なりながらも、どうしても自然の現象を止めることができなかった。
スカートが濡れそうになるのもかまわずに、手でスカートを引っ張って
お尻を隠そうとする。
その時、理沙が個室の中へと入ってきた。間髪いれずに、今度はもっとつよく
智香の背中を蹴飛ばした。つんのめった智香はスカートから離した手を床についた。
おしっこはなおも止まらずに、四つん這いになった智香のお尻からやや後ろへと
吹き出ている。その流れは便器に到達せずに、足首のところのショーツやソックスを
濡らしていた。
「見て見て、これ犬みたいー」
智香は体勢を直すこともできず、犬のように這いつくばったままで
放尿を続けていた。
92 :
000:2001/08/23(木) 06:49 ID:3ig5/r8c
「あー、面白かった」
ヘルメット頭の絵里がいかにも満足げに言った。
「高校生になっても漏らすんだね−」
太めの千尋が相槌を打つ。
「でもそろそろ終わりじゃない?」
ピアスの涼子が腕時計を見ながら言った。あと10分足らずで
授業が終わるという時間だ。
「さすがに休み時間に来る子ら全員相手してらんない
よねー」
理沙が一仕事終えたかのように伸びをしながら言った。
「つーか飽きたしー」
みんな思い思いに勝手なことを言って、教室に戻ろうかという
空気だった。
その時、突然涼子が口を開いた。
「じゃあさ、こういうのは?」
トイレに入ろうとして、惨状に気付き凍りつく少女達を尻目に
理沙たちはトイレの入り口できょろきょろと何かを探していた。
「ねー、どれがいーい?」
「かなりやばそうなやつね」
言葉を交わしながら廊下に目を配る。
チャイムがなる数分前、ぞろぞろとトイレに向かってくる生徒が
だんだん増えてくる。
絵里が一人の少女を目に止め、声をあげた。
「あ、あれよさそうじゃん?」
4人、全員が納得したようにその少女めがけて進んだ。
93 :
000:2001/08/23(木) 06:49 ID:3ig5/r8c
奈津美は今にも溢れ出しそうな尿意をこらえて懸命に歩きながら、
トイレに群がる人の多さを見て絶望していた。
(だめ…もうだめかも…)
ふと、目の前の人影に気付く。ぶつかりそうなほど近づいていた
4人の女の子を見上げる。
「ねー、あんた大丈夫?」
「もうやばいんでしょ?」
「来なよ。先に入れてあげるから」
次々と優しく声をかけてくれる少女達に、奈津美は目の前が
明るくなったような気がした。だが口は一応の遠慮の言葉を発する。
「で、でも…」
「いいって。マジでもうやばいんだからさ」
少女達は奈津美に優しく手を貸しながらトイレへと連れていった。
「ちょっとー、ごめんねー」
背の高い子が人波をかき分けて、そのあとに3人の少女に付き添われた
奈津美が続く。
みんな我慢してるのにと思うと、悪い気がして周りの顔を見ることはできなかったが、
今はこうしてでもトイレに行かなければならない。
前かがみになっていたので前すら見えなかった奈津美は、目の前に開いた個室が
あるのに気付いた。
「おいで」
促されて個室に入ったところで、他の4人が一緒に入っていることにおどろく。
「え…なんで…?」
「はい、残念でした−」
背の高い少女が意地悪そうな笑みで下を指差す。
その先にあったのは、使用禁止の紙に覆われた便器だった。
「え…?え!?」
トイレに入ったことで思わず緩みそうになった尿道を慌てて閉めなおす。
「でね、あんたに命令があんの…」
94 :
000:2001/08/23(木) 06:50 ID:3ig5/r8c
10分後。教室。
授業が始まっていたが奈津美の耳には何も入っていなかった。
前の時間、必死で耐えた尿意。1度は絶望したが苦しみから解放される
希望が見えた。そしてまた絶望。
さきほどの個室の中での出来事は、夢ではない。
今、いつ溢れてもおかしくない尿意と闘いながら教室に座っていることも。
個室に入って突然態度を変えた少女達は、信じられない命令を奈津美に下した。
「あんたトイレ禁止だから」
「ってことで次もちゃんと授業出てね−」
「うちら教室の外、いるからー」
抗議の声をあげようとする奈津美の顔に力いっぱいのビンタ。
髪をつかまれて目の前ですごまれる。
「いいから。トイレ行こうとしても行かせないから、
授業に出てなよ。おっけー?」
恐怖で声も出なかった。その一瞬は尿意すら忘れるほどに。
あの後、外に連れ出され教室まで連行された。授業が始まるまで見張られる。
「おまえら、授業始まってるぞ」
教室に来た先生の言葉をはいはいと軽く流して、そのまま廊下にとどまる。
一番後ろの奈津美の席からは、教室の後ろの扉についた窓から理沙たちの
姿が見えた。にやにやと奈津美の様子を見守っている。
(あ…あ。。もう出る…)
尿道に痙攣を感じた奈津美は思わず席を立ってしまった。
95 :
000:2001/08/23(木) 06:50 ID:3ig5/r8c
ガタンと椅子を鳴らした奈津美に教室の視線が集まる。
こうなってしまったら先生に言って教室を出るしかない。
そうだ。先生に事情を話せばあいつらも何もできないだろう。
奈津美はできるだけ平静を装いながら教壇に向かい、先生に
トイレに行きたいと告げた。いつものことだという風に、ああ、
とうなづく先生。それ以上は口から言葉が出ず、奈津美は恐る恐る教室を出た。
理沙たちがいれば先生に言えばいい。
廊下には誰もいなかった。奈津美が席を立ったのを見て逃げ出したのだろうか。
チャンスと思い、出きるだけ早足でトイレに向かう。目の前まで来たところで
ふと足を止めた。そうだ。トイレで待ち伏せしているかもしれないのだ。
むしろその確率は非常に高い。一瞬考えた後、奈津美はためらいもせずに男子トイレに
足を向けた。休み時間、女子のようにトイレが少ないわけではないから
誰もいないだろう。その時、肩に手を置かれた奈津美は凍り付いた。
振り向いたところに、予想通りの理沙の顔。
「頭いいね−。あんた。うちらの方がよかったけど。」
間髪入れずに太ももに膝蹴りが入る。我慢していなくとも
失禁しそうな痛みだ。小さなうめき声をあげて、それでも
奈津美はなんとか漏れそうなのをこらえた。
「やっぱこっちー」
理沙が女子トイレに向かって声をかけると、他の3人が出てきた。
理沙はトイレの向かい側の階段のところで身を潜めていたのだ。
「命令破ったね。あんた」
恐ろしい形相で理沙が顔を近づける。
「どうするー?こいつ」
理沙の顔をうかがった千尋に理沙は答えた。
「別に…どうもしないよ。帰すだけ」
96 :
000:2001/08/23(木) 06:50 ID:3ig5/r8c
教室の後の戸を開けて静かに席につく。誰もがトイレに行って帰って来た
と思っているだろう。
奈津美はあのまま教室へと再び連行されたのだった。
戸の窓から廊下を見ても理沙たちの姿はない。
またさっきのように隠れているのだろうか。先生についてきてもらって
トイレに行かせてもらえばいいのだろうか。
しかし男の先生にトイレの中までついて来てもらうわけにはいかない。
それにその後いったいどんな報復があるのか。
ぐるぐるといろんな考えが頭を巡り、消えてゆく。
全ての考えが正しいようで、どの考えも実行できなそうで。
すでに思考がおかしいのかもしれなかった。
脳よりも、ほとんど全神経が下半身に集中している。尿意というよりも
それはほとんど痛みに近かった。ドクドクと脈打つように痛む下腹部。
ジンジンと熱く、震える尿道。凍りそうな背すじと、その寒気とは裏腹に
汗まみれの全身。頭も体がおかしくなりそうだった。こんなに体の中に水分を
ためこんだのは初めてだからだろう。心臓がドキドキと大きく鳴り、震えとはいえないほどの大きな振動が全身に伝わる。椅子の上で腰がガクガクと動き、全身が燃えるように熱い。これほど尿意を我慢できるものとは思わなかった。
目の前が暗くなってくる。意識すらあやうい。全身の感覚がおかしくて、すでに
自分はおもらししているのかもしれなかった。一瞬体中の皮膚が敏感になり、制服の
ざらついた感触を驚くほどはっきりと感じる。瞬間、体がびくりと震え、奈津美は快感とすら思えるような不思議な感覚に包まれた。気が遠くなりかっくりと机の上に体が
かぶさる。
97 :
000:2001/08/23(木) 06:51 ID:3ig5/r8c
体中が神経になったようだった。膀胱の動きすら感じる。下半身のどこかが
緩み、体の中の管を通る何かを敏感に感じた。
その一瞬はスローモーションのようだった。ゆっくり、ゆっくりと尿道を
熱いものが通る。
(気持ちいい…)
頭のどこか、まだおかしくなっていなかった片隅でそう思う。
それは短い尿道を通って、体の表面の、最も敏感な部分に飛び出そうと
していた。そして境界線を越える。全身の力が抜ける。
じゅっ…と熱く噴き出した。
その瞬間、全てが元に戻った。
はっと顔を上げる。すでに温かく湿った下着の中。自分の下半身が温かく
染まっていくのがはっきりとわかった。
思わず机にしがみつく。ガタン…その音に一斉に向けられた視線も、奈津美には
感じられない。
少し驚いた先生の目と自分の目がぴったりと合う。しかし奈津美の目は
虚空を見つめていた。そのまま動かない。ただ、体の中だけがそれぞれの役割を
しっかりと果たしていた。噴き出しつづける尿は奈津美の下着を、スカートを、
お尻を太ももをすねをソックスを靴を、椅子を床を濡らしてもまだ止まらない。
信じられないほどの量の尿が、床に大きな大きな水溜りを広げていく。
やっと緊張が解けたお腹が、安堵をもたらし、奈津美は感情も取り戻した。
クラス中の視線。トイレに行ったはずの自分がおもらししている。
その事実よりも、奈津美は未だ止まらずに流れつづけるおしっこが恥ずかしくて
しょうがなかった。しかし全ての力を使い果たしたそこは、全く機能しなかった。
たまりにたまった尿を排出しつづける。
恥ずかしい、などいうものではない。痛み。
感情は、限界を超えると痛いんだ…。初めて知った痛み。
(痛い…痛いよ…)
それでもまだ、奈津美を苦しめていた尿は、噴出を止めなかった。
体中と心と、奈津美の全てを襲う痛みの中で。