「戦闘妖精　雪風」アニメ化だよ

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「敵が様々な手段で透明化を図ってきているのは、貴方方ももちろん御存じでしょう。我々開発軍団だって遊んでいるわけじゃない、空間受動センサ系に代表される機器で対抗しているわけです。そうして機上で利用できる情報量は格段に増えたわけですが――」
　彼は一度言葉を区切ると周囲を見回した。会議室の空調に不備はないが、息苦しさを感じずにはいられなかった。
　ホワイトボードを取り囲んだ男女のうち一人が手をあげた。
「質問を、よろしいでしょうか」
「失礼、このデバイスを開発するために最近は徹夜続きだったもので……。説明はまだ有ります、質問はその後で」
　神経質そうに指で眼鏡を押し上げて、続けた。
「たしか貴方は特殊戦のブッカー少佐でしたか……そう、未だ機の無人化に抵抗を持っている特殊戦にとってはこの新機能は福音かも知れない。先程言ったように機載のセンサがとらえる情報は増大したわけですが、搭乗者とのインタフェイスがボトルネックとなって情報を十分には利用できないのが問題となっています。そこで開発されたのが、この装備なのです」
「よろしいでしょうか」
「少佐、後にしてください。我々は民生品のヴァーチャルリアリティ機器に着目しました。これはＶＲ用ヘッドマウントディスプレイに似た形ですが、実際には強化現実装置とでも言うべきもので、これ自体にディスプレイとしての機能は有りません」

「よろしいですか。私の思い違いなら良いのだが、どうもそのメガネは……」
「少佐、メガネではありません。このＨＭＤと改装されたコクピットの連携により、複合ディスプレイを初めとした全ての計器類で３Ｄ立体映像を投影できます」
「そのメガネなら子供の時に見たことが有る」
「少佐、メガネではありません。従来のヘルメットのフェイスガード内で使用できるよう、極限まで軽量化されたフォルムなので誤解を招きやすいが、立体映像のためのデバイスです。立体象を利用することでパイロットは直感的に空間を認識できます。この進歩したマンマシンインタフェイスは……」
「なんでメガネに赤と青のセロファンが貼り付けてあるんだ」
「メガネではありません」

　ジャムの驚異に対抗するためとはいえ、徹夜続きの男たちが、更に徹夜を重ねようとしていたその頃、地下歓楽街の映画館前では、エディスもまた悩んでいた。
「うーむ『オールナイト・ジョーズシリーズ全作一挙上映』と『シベリア超特急パート７』とどっちの映画にしようか。ハルオちゃんの尻は捨てがたいけど……でも『ジョーズ』の看板に書いてある“とびだす迫力の３Ｄスコープを全員に無料進呈”って、なんなんだろう」
　今時の若いモンなため、赤青メガネのネタを出されてもピンとこないエディス。

フェアリイ空軍パイロット・深井零。突如地球と戦闘状態になってしまった
巨人型宇宙人ジャムと戦うため、彼はきょうも愛機を駆って飛び回る。
戦いの最中、偶然出会ったフェアリイのアイドル・エディス。そして上官で
もあるリディア。２人の女性の間で零の心は揺れ動き（以下略）
（「超時空戦闘妖精　ユキカゼ〜哀・おぼえていますか〜」あらすじ）