722 :
師匠2号:
§4熱力学第一法則
熱力では、巨視的な系を扱います。「巨視的」って言うのは人間の目に見える
って、ことね。それに対して微視的って言うのは原子・分子レベルということ。
その系の状態が、物理的にどのようにして特徴づけられるか、まず考えよう。
いままで、言ってきたように系のすべての原子状態を指定するようなことは
しない。巨視系は基本的には「圧力」「体積」「温度」という、3つの巨視的
物理量で特徴づけることができる。これは仮定といった方がよいでしょう。
で、良くやるのがシリンダーに入って、ピストンで押さえつけられた
気体を扱うことです。
しかしここでは、直感的に考えやすくするため。
例として重りをつり下げたバネ(バネ定数 k)を考えます。
(バネの素材は熱を通さない膜で覆われているとします)
体積 ←→ バネの長さ :x
圧力 ←→ 重りの重さ :mg = F
温度 ←→ バネを構成する金属の温度 :T
という、アナロジーが成り立つとしてよろしい。
ここまできて、内部エネルギー U という奴を考えてみよう。
バネ−重り系は x,mg,T で特徴づけられるのだから U は
U=U(x,mg,T)
という、関数であろうと思われます。
723 :
師匠2号(つづき):2001/01/16(火) 10:11
しかし一般には状態方程式(フックの法則)
kx=F
(これはpV=nRTに対応)が存在するので、内部エネルギーは、
バネの弾性エネルギーと、バネそのものの中に熱として蓄えられる熱エネルギー
h(T)の和:
U = U(x,T) = (1/2)kx^2 + h(T)
と書けるでしょう。力学と違うのは、エネルギーに温度依存性が現れている
ところです。尚、ここではバネ定数の温度依存性は無視しました。
エネルギー保存則は、いついかなる時でも成り立っております。
それを、式で表してみようと言うわけです。Uの完全微分は
∂U | ∂U |
dU(x,T) = ----|*dx + ----|*dT = Fdx + dh(T)
∂x |T ∂T |x
となっている。この関係式
dU(x,T) = Fdx + dh(T)
を熱力学第一法則というのだけど、なぜ、単なるエネルギー保存則に
そんなたいそうな名前を付けたのか?第一法則に意義は、エネルギーの
保存あるのではなく、「熱をエネルギーと認識した」所にあるのだろう。
ここ重要だよ。