死刑の賛否を問うスレッド

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138公三
【資料】
第36条(拷問及び残虐刑の禁止)
公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
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最高裁判所 大法廷判決 [昭和28年3月12日]より
死刑はまさに究極の刑罰であり、また冷厳ではあるが、刑罰としての死刑そのものが直ちに同条における、いわゆる残虐な刑罰に該当するとは考えられない。ただ、死刑といえども他の刑罰の場合におけるのと同様に、その執行の方法などがその時代と環境において、人道上の見地から一般に残虐性を有するものと認められる場合には、もちろん残虐な刑罰といわねばならぬから、将来、もし死刑について火あぶり、はりつけ、さらし首、釜ゆでの如き残虐な執行方法を定める法律が制定されたとするならば、その法律こそまさに憲法36条に違反するものというべきである。
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死刑制度に反対する理由は幾つかありますが、その一つが、
≪憲法第36条(拷問及び残虐刑の禁止)≫に抵触の可能性がある、ということです。
勿論、これに対する最高裁判決はすでに昭和28年にでています。従って、最高裁判例を理由に「死刑は合憲」と主張することは簡単にできますが、今回はその最高裁判例に縛られずに、「死刑は残酷刑」か、について考察してみたいと思います。
以下、論点を明確にするために順次、論を進め、区切りを入れます。それ以前に同意できなければそれ以後は「それ以前を前提」にしていますので、その時点で、私の論法(説)に同意できないことを意味しますので、その区切りを目印に議論をしたいと思います。
139公三:2001/03/17(土) 09:43
==============以下A================
「死刑が残虐刑なら、憲法第36条(拷問及び残虐刑の禁止)違反である」
死刑について火あぶり、はりつけ、さらし首、釜ゆでの如き残虐な執行方法を定める法律が制定されたとするならば、その法律こそまさに憲法36条に違反するものというべきである。
これは議論の余地がないと思います。(少しありますが、それは最後に触れます)
問題は「死刑は残虐刑」か、だと思います。
==============以上A================
では、「残虐刑」とはなにか?
以下のエピソードをお読みください。(ただし、数字は不正確ですが事実です)

4〜5年前、イランで米国籍の17歳の少年がふざけて駐車中の車のボンネットの上を飛び跳ねて逮捕され、裁判にかけられました。判決は禁固6ヶ月とムチ打ち20回でした。
これに対し米国社会をはじめ、非イスラーム圏ではこぞって非難しました。
非難の主旨は「禁固6ヶ月はいい。それぞれの独立国が定めた法律であり、主権はその国にある。しかし、ムチ打ち20回はいかん。これは、野蛮な刑罰であり、残酷刑である」でした。
140公三:2001/03/17(土) 09:44
何が「残酷刑」であり、何が「非残酷刑」なのでしょう。
もし、刑罰に「腕落し」の刑があったら残酷刑でしょうか?
目には目で、泥棒に対する刑罰が「腕落し」なら「残酷刑」ですか?
私は、「腕落し」の刑は憲法でいう「残酷刑」だと思います。ならば、「爪はがし」「歯抜き」「指詰め」はどうですか?
日本を含めほとんどの国では残酷刑を禁止しています。日本でも法に基づかない(公務員による)暴行・傷害はもちろん、暴行・傷害を許容する「法そのもの」を憲法は禁止しています。
考えてみれば、「禁固」「懲役」とは人の自由を、完全に長期(数ヶ月〜数十年)に渡って奪う残酷な刑です。
もし、懲役10年の判決が下りた人間に「君、懲役10年またはビンタ10回、どっちがいい?」と聞けば、多くの人は「ビンタ10回でお願いします」と言うでしょう。あるいは国会で法改正の立法案として「窃盗はビンタ10回以上30回以下の刑に処す」とういう法案提出がなされたら「罪が軽すぎる」という意見と併せて「憲法36条違反である」とされて成立しないでしょう。
人生70年といいます。懲役10年の既決囚に「君、指詰めたら釈放!」と言ったら、「詰めます」と言うかもしれません。ですが、これ(指詰めの刑)は憲法違反です。
なぜ、「ビンタ」や「指詰め」が憲法でいう「残酷刑」に該当し、「禁固」や「懲役」は「残酷刑」にならないのでしょう。心情的には人間を長期に渡って拘禁、強制労働させる方が「残酷刑」だと思いませんか?

結局、憲法でいう「残酷刑」とは『物理的に身体に暴行・傷害を加える刑』を指しているのでしょう。
==============以上B================
141公三:2001/03/17(土) 09:45
では次に「死刑」は「残酷刑」に該当するかを検討します。
もし、「指詰め」「ビンタ」が憲法でいう「残酷刑」に該当するなら当然、「指詰め」「ビンタ」は、憲法違反です。
そして当然の帰着として、「死刑」が「指詰め」「ビンタ」と同じように「残酷刑」に該当するなら、憲法違反になります。
==============以上C================
それでは、「死刑」が『物理的に身体に暴行・傷害を加える刑』(B)に該当するか否かについて考察します。
実は「死刑」とは「心臓止めの刑」です。
==============以上D================
「死刑」は「指詰め」イスラームの「腕落としの刑」と同じく『再生が利かない』刑です。
「心臓止め」の方法はいくつかあります。絞首、感電、薬物投与、断首、ets・・
しかし、目的は一つ。「心臓止め」です。その目的のための方法が、いくつかあるだけです。すなわち、「死刑」は『物理的に身体(心臓)に暴行・傷害を加える刑』ですから、憲法でいう「残酷刑」に該当します。
したがって憲法36条は「残酷刑」である「死刑」を禁止しているはずです。
==============以上E================
以上、私の「憲法違反だから死刑に反対」の論拠です。お気づきのことと思いますが、この論拠には、社会的、宗教的、倫理的、哲学的意味合いは一切関係していません。よって、もし私の論拠に異議があるとすれば、次の二つの主張になるのではないかと思っております。
142公三:2001/03/17(土) 09:46
【主張1】
「腕落し」も「指詰め」も「ビンタ」も、憲法でいう「残酷刑」ではない。即ち、「残酷刑」の定義『物理的に身体に暴行・傷害を加える刑』が間違っている。したがって、「死刑」は憲法違反ではない。

【主張2】
「腕落し」も「指詰め」も「ビンタ」も、憲法でいう「残酷刑」である。
しかし、ある理由によって、「死刑」だけは「残酷刑」に該当しない。

ところで、【資料】にあります「最高裁判所 大法廷判決」では死刑の執行方法を問題にして、「残酷刑」か否かを判断しています。すなわち、「心臓を止める」方法を問題にしているのです。「心臓の止め方」が妥当ならば「残酷刑」でないとしているのです。
その上で、「将来、もし死刑について火あぶり、はりつけ、さらし首、釜ゆでの如き残虐な執行方法を定める法律が制定されたとするならば、その法律こそまさに憲法36条に違反するものというべきである」として、「 火あぶり、はりつけ、さらし首、釜ゆで」という「残虐な執行方法」の例を明示しています。そもそも、「さらし首」を「残虐な執行方法」に含める時点で、この裁判官の勘違いが露呈していると思うんですが・・・・。
なお、次回はリクエストがありましたら、『誤判の場合、本人に賠償できないので死刑制度反対』という説明をしたいと思います。
143公三:2001/03/17(土) 09:47
例によって蛇足。
一般に犯罪の未遂は既遂に比べ、刑が減軽されます。

(未遂減免)
第四十三条 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

ところが犯罪には未遂ならば厳罰。既遂ならば無罪、というものがあります。
所謂、「国家転覆罪」がそれです。
「国家転覆」を企て、失敗して未遂に終われば死刑を含む厳罰ですが、うまく成功して既遂すれば、無罪どころか場合によっては英雄です。
とくに「外患誘致罪」は刑に幅がありません。有罪なら「死刑」しかありません。

(外患誘致)
第八十一条 外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する。

「国家転覆」を企てる人は必勝を期して臨みましょう。既遂なら英雄。未遂なら・・・・。