●●就活で知り合った女友達〜その後いかが?〜●●

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55就職戦線異状名無しさん
修活始めたのが相当遅かった俺。志望業界は決まってたんだけど。
ギリギリ説明会に滑り込み、とりあえず就職するか…と思っていた6月初旬。

とある企業のセミナーで、ちょっと気になる子がいた。
線が細くてクールな感じの、二重まぶたの眼のきれいな子。
先輩社員に質問しながらも、その子をチラチラ見てしまったり。

その企業は結構採用を焦ってるらしく、2日後には2次選考の連絡。
行ってみたらグループディスカッションだった。俺の向かい側にはその子が。

結構いい感じでディスカッション出来た。その子の発言を受けて、さらに話を
広げてみたり。意識的にしたわけじゃないけど、他の人に比べれば張り切って
たかもしれない。

さらに2日後、3次選考。男4人でディスカッション。
「あぁ…あの子、落ちちゃったんだ。可愛い子だったよな」
そんなことを思いながらディスカッション。
でもあの子、どんな顔だったっけ。
…たかだか2〜3時間のセミナーで、はっきり顔なんて覚えてるわけないさ。
そうなんだけど、少し寂しかった。

翌週初めに4次選考。
廊下の椅子に座ってると、エレベーターからその子が降りてきた。
体に力が漲ってきた気がして、挨拶した。向こうも覚えててくれたみたいで、
微笑んでくれた。嬉しかった。
56就職戦線異状名無しさん:2001/07/01(日) 16:20
スピーチが二つ。集団と個別
順番はくじ引きで決める。個別スピーチ
個別スピーチ、俺は4番、その子は5番。
廊下でスピーチのテーマを渡され、ネタを考える。だけど頭の片隅では全く
別なことを考えてた。
「スピーチが終わったら、外で待っててあの子に話し掛けよう」
俺の順番が来た。

エレベーターに乗って下に降り、トイレで時間をつぶす。
エレベーターホールの近くで、ケータイいじりながら、さりげなく待つふり。
実は次の説明会が迫ってるんだけど、そんなの知ったこっちゃない。

…来ない。
それどころか、6番目のヤツが降りてきた。
あーあ、もう会えないかもな。
俺は諦めて駅に向かって歩き出した。
だけど、もしかしたら、まだ間に合うかも知れない。
自然と俺の脚は速くなる。

いた!
グレーのスーツを着てる、線の細いあの子が。
後から追いついたふりをして、横から声をかける「お疲れさま」
心なしか、その子も俺に話し掛けられて嬉しそうだった。

その感じは、間違っていなかったかもしれない。
俺は文系院生なんだけど、その子も実は院生だったんだ。ディスカッション
なんかで自分のジジイ振りを披露していた俺の話を聞いて、少し共感(?)
してくれてたらしい。
もちろんその子は単なる共感だけで、俺みたいな想いを抱いてるとは俺も
思っちゃいないけどさ。
…俺はイタいさ。でも、その子が気になって仕方ないんだ。

駅に着くまで何を話してたか、実はよく覚えてないんだ。ネタじゃなくて。
クールな子だと思ってたら、明るくてノリのいい子だった。全然冷たい感じが
しない子。同じ業界志望ってことで、受けた所の話をしたり。

だけど俺は次の説明会に行かなくちゃいけない時間。
「またどこかで会おうね」
そう言ってくれた彼女に、思いきって電話番号を聞く。
「うんいいよ、これね」
彼女は電話を差し出す。俺はメモをする。
俺も電話番号を教え、その場で別れた。
57就職戦線異状名無しさん:2001/07/01(日) 16:21
説明会の後、アルバイトへ。
帰りの電車で留守電を聴くと、次段階の案内が入ってた。だけど、曖昧で
何を言ってるのかわからない。これ、次に進んでいいってことなの?
そういえば、彼女はどうだったんだろう。帰ってから電話してみよう。

彼女は深夜にもかかわらず、1時間近くも電話に付き合ってくれた。
彼女には電話がかかってこなかったらしい。
ひょっとしたら、俺凄く残酷なことを聞いちゃったのかもしれない…。そう思う
と心が痛んだ。彼女は4月からずっと就活してて、女性ってこともあって全然
決まらなかったらしい。正直、ポテンシャルはありそうな感じするんだけどね。
ひいきじゃなく。
ごめんね。自分の勝手な思いで電話しちゃって。
心の中で謝りながら、それでも話しつづける俺。
とりあえず、ある企業の説明会で再会することにした。

次の日会社に電話をしたら、その次の日に5次面接。
個別だったから、他に誰が受けてるのかは全然わからない。彼女も受けてた
かもしれない。あのあと、連絡来てたらいいな。一緒に働きたいな。
6次面接との連絡が、その日の夜に来た。いよいよだな。
彼女に2回目の電話。
当たり障りのない雑談。残酷なことしてるよな、と思いつつ、思いきって聞く。
「で、聞きにくいんだけど、結局○○はどうだったの?」
「うん、連絡来なかったよー。あはは」
また傷つけちゃったかな…。ゴメン。
6次面接の日の午後、説明会で会うことを改めて約束した。

6次面接。
最終的な意思確認だけで、誓約書の紙をもらった。
また拘束されるかと思ったら、あっという間に終わってしまった。
就活始めて3週間で内定貰っちゃった。いいのかな。
58就職戦線異状名無しさん:2001/07/01(日) 16:23
遅刻するかと思ってた説明会会場には、相当早く着いてしまった。
実は彼女に電話して、待ち合わせしようと思ったんだ。でも、出来なかった。
夜中に2回も電話して、更にいちいち待ち合わせしようなんて電話かかって
きたら、怪しまれるかもしれない。しつこくして嫌われたくない。その子が気
になるけど、傷つけてしまいたくない。
俺は想いを押し殺して、あえて電話をしなかった。

説明会は滞りなく終わった。エントリーシートをおざなりに書いて提出し、会社
の外で待つ。
彼女が出てきた。彼女の最初の言葉。
「今日の面接、どうだった?」
あぁなんてことだ。俺は勝手な想いを注いで彼女の気持ちを傷つけてたかも
しれないのに、彼女は俺のことを心配しててくれたんだ。
「…おかげさまで、内定頂きましたよ」
「本当?おめでとう!」
彼女のクールな顔がほころんで、きれいな歯が見えた。なんだか申し訳ない
気分になった。

駅まで歩いて行く間、これからの話をする。
彼女は最終待ちの所が一つあるらしい。
「だけどダメかなぁーって思ってるんだよねー」
とりあえず行き場を見つけた俺が、どんな慰めの言葉をかけてやれるんだろう。
「うん、でもまだわかんないからさ。内定貰ったら良きライバルになりたいよね」
そんな漠然とした未来を語って、何になるんだろう?
だけど俺は無力だから、そんなことしか言えないんだ。
59就職戦線異状名無しさん:2001/07/01(日) 16:24
「どうしようか。お茶でも飲んでいく?」
思いきって誘ってみた。
「うん!いいよ。○○君お昼食べてないんだったら、何か食べる方がいいんじゃない?」
この子、何でこんなに気を遣ってくれるのかな。

とりあえず食事をしてから、コーヒーを飲みに誘う。時間も大丈夫みたいだ。
自分の専門の話、彼女の専門の話、ゼミの話、就活の話。
彼女が俺に対して何の気持ちも持ってないってのはわかってるんだ。
だけれど、彼女を見続けてたい、話し続けてたい。
アイスティを飲むしぐさも、ちょっと暗めの声も、彼女の着てるただの白いブラウスも、
みんな魅力的なんだ。
一時間半くらいで時間がなくなり、駅で彼女と別れた。
今度、いつ会えるのかな。
60就職戦線異状名無しさん:2001/07/01(日) 16:24
俺はとりあえずあと1社だけ受けるつもりだけれど、彼女にはまだ先がある。
メアドも聞いて2回メールを出したけれど、返事はなかった。当たり前だよね。
ヒマなんかないし、返事出す義務なんてないさ。
だけれど、その子に内定が出たら、僕のこと思い出してメールくれないかな。
一回くらい食事して、論文終わったら遊びに行きたいな。
想いは募るけれど、彼女の邪魔はしたくないから、今は何も出来ない。

そもそも、彼女には彼氏がいるかもしれない。きれいな子だし。
だけど友達でもいいや。このまま、別れてしまいたくない。
彼女は短い就活の間に咲いたたった一つの花だったから。
いまはただ、それを守っていきたいだけ。