ひたすら強化

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51臨床強化の理論的分析(2)
しかも、嫌悪刺激は容易に弁別刺激化しますから、
(1)の社会的強化子を得る機会をも提供することになります。
この攻撃行動は同時に苦痛を伴うにもかかわらず、やめられないのです。
これを、「厨房随伴性」と呼ぶことにします。
この随伴性の特徴は、サド・マゾヒスティックな高頻度行動にあります。始末に負えません。

したがって、嫌悪刺激の提示を断ち切ることが重要なのです。
つまり、攻撃行動を生じさせる確立操作を行わないことです。
しかし、消去を徹底することは現実的に不可能です。

そこで、穏やかな正の強化に切り替えることによって、
適切な行動のみを正の強化スケジュールの下へ置く必要があるのです。
臨床強化活動はこの目的で推奨されるべきものです。
しかも、臨床強化活動自体が、嫌悪刺激提示の確立操作とは逆の確立操作として作用するため、
厨房に限らず、適切な行動が生起しやすくなります。
>>11氏の「弱バブルの陽気な景気維持の方が幸せ」という見事な分析がこれにあたります。

ただし、介入初期において強化のインターバルが突然長くなると、
消去過程だと勘違いした厨房が一時的にバーストを起こす可能性がありますが、
今回の臨床強化活動においては、バーストはしばしば攻撃的になります。
なぜなら、消去は、嫌悪刺激呈示の確立操作と同様の作用をする事もあるからです。
厨房にとっては、消去=正の強化子除去(負の罰)を、
嫌悪刺激提示(正の罰)と勘違いすることなど簡単なので、
大喜びでバーストしまくるでしょう。
そんなときにうっかり強化してしまうと大変です。気をつけましょう。
52臨床強化の理論的分析(3):2001/07/04(水) 19:06
結論。

厨房レスに対する我々の反応は、正の社会的強化子または嫌悪刺激として厨房に作用する。
それが嫌悪刺激である場合は、厨房レスを弱化させる効果はあまりないことが経験的に判明している。
この嫌悪刺激提示は、確立操作として作用するため、スケジュール誘導性の攻撃行動を頻発させる。
この攻撃行動は、攻撃性強化子によって自動的に強化されるために、消去は極めて困難。

この攻撃行動は、我々の反応=社会的強化子によっても強化される。すなわち、
我々の反応が厨房にとって嫌悪刺激である場合、この嫌悪刺激は弁別刺激化するため、
(S)嫌悪刺激提示のもとで、(R)攻撃行動を自発すると、(S)社会的強化が得られる、
という「厨房随伴性」が形成される。

臨床強化活動の目的は、嫌悪刺激の提示を断ち切り、穏やかな正の強化へ移行することによって、
「厨房随伴性」の成立を阻害し、皆が幸せになれる「弱バブル」状態を形成することである。