心身問題

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同一説のアポリアといわれるクオリアの問題は、それが感覚
の<質>であるかぎり名義尺度(青ではなく赤い感じ)か順序
尺度(この痛みはあの痛みより大きい)でしか測れず、物的
出来事を測る比例尺度や間隔尺度で記述できないことに由
来している思います。つまり、クオリアに関する言明を心的出
来事の観察言明として認めるならば、心的出来事の物的出
来事による説明は物理学や化学などのレベルの厳密性は保
持できない。そのことが脳科学者の悩みにつながっているので
しょう。

私は以前、自由意志の存在を理由に同一説を認めませんでし
たが、最近の研究では、自由意志の原因が脳にあることが確
証されつつあるようです。1980年代初期のある実験では、被
験者が「手を動かそう」と思う数十〜百ミリ秒前に、脳内の運
動準備電位が高まったそうです。サルを使った実験では、サル
の手が動く1〜2秒前から大脳前頭葉の背内側部の補足運動
野にあるニューロンが活動を始めるそうです。この活動の変化
は補足運動野に隣接する運動前野などではほとんど見つから
ない。また、運動実行を担う第1次運動野のニューロンは運動
開始から数百ミリ秒前から活動を始めるに過ぎず、自発運動
以外の運動でも活動するそうです。そして、こうした前頭連合
野の出来事には、ドーパミン(特にそのD1受容体)が重要な
役割を担っているそうです。つまり、<自由>意志に基づくと
みなされてきた随意運動の前に、それに対応すると思われる
物的出来事が脳内で生じている、というわけです。

ただ、こうした随意運動に先行するニューロンの活動が何によ
って引き起こされるかは不明です。その不明さゆえにPenrose
やEcclesは「量子力学的」効果の介在を主張するのでしょうが、
その説明がたとえ確率論的ではあっても<決定論的>なもの
になるという説には、私は否定的です。なぜなら、その法則を
知るということは、それを裏切ることもできるわけだから。
124代理いぬ:2000/11/12(日) 03:42
>123(1)
>1980年代初期のある実験では、
>被験者が「手を動かそう」と思う数十〜百ミリ秒前に、
>脳内の運動準備電位が高まったそうです。
>
>サルを使った実験では、サルの手が動く1〜2秒前から
>大脳前頭葉の背内側部の補足運動野にあるニューロンが活動を始めるそうです。
どっちの実験も疑わしいな。
「動かそうと思う瞬間」ってのは、いったいどうやって判断したんだ?

>なぜなら、その法則を知るということは、それを裏切ることもできるわけだから。
あまい!
あなたがその法則を知って裏を斯こうとすることも、宇宙の予定調和なのだ!