アクア=エリアス 格闘+光術212

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900名も無き冒険者
アヌスに何か冷たいものを塗り込まれた。
「…ひっ」
敏感に緩んだそこをいじられて、違和感が身体を駆け巡ってとくたろうは身を竦ませた。
ファリウスが何の目的でそこを割り広げようとするのか、判らないわけじゃなかったから、余計怖気を感じる。
十分愛撫され、快感に身体が溶けていても、怖さがどこかに残っていた。
ファリウスに魅かれていたのは確かで、覚悟も決めたのに、最後のどこかで常識の枷がまだとくたろうには残っていた。自分が本当に男に抱かれようとしていることを、彼はどこかで信じられなかった。
最後の最後で逃げ出せるような気がしていて、ファリウスが自分の足を抱え上げ、その間に身体を割り込ませるのを、スクリーン越しに観るような感覚でおそるおそる眺めていた。
だが、そこに堅い塊を押し付けられ「力抜いて」とファリウスの指示する声を聞いたとき、自分がもう逃げられないのだと悟った。ついさっき掌で触れたファリウスの熱さ、その感触が蘇る。ああして感じた、ファリウスの身体の一部が自分に入ろうとしているんだと思うと、その途端、唐突な恥ずかしさといたたまれなさを覚えた。それと同時に、彼と繋がるということに、どこか身体が熱くなる感覚もあって訳がわからなくなった。
「少し我慢してろよ…」
ファリウスの声と同時に、激痛が襲ってきた。堅いものが、みりみりといった感触で押し入ってくる。
「…ひぃ…ああ…ぐッ…!」
「口で息を吐いて。…そう、その方が楽だから…」
ファリウスが息を殺して囁いている。
覚悟して、ファリウスの指示通りに息を吐いたとくたろうだったが、想像以上の激痛と、生理的に生じる嫌悪感に気が遠くなった。
あまりの痛さに、叫び声も出ない。咽喉がひくつくだけだった。ただ、涙が零れていく。悲しいわけでもないのに、生理的な苦痛だけで涙が出るということを、とくたろうは初めて体験した。
無意識に身体をずり上げて、逃れようとする。
901名も無き冒険者:2001/05/26(土) 22:04
誰もこの痛さを除いてくれない。誰も助けに来てくれない。痛い!痛い!苦しい!早く終わって欲しい!とくたろうは心の中で叫んでいた。
逃げようとするとくたろうを押さえつけて、ファリウスは、ゆっくりとくたろうを犯していった。
塗り込んだ物のせいで、思いの外抵抗なく、とくたろうの身体は割り広げられていく。
ファリウスは、苦痛にこわ張って、痛みに泣いているとくたろうを可哀相と思いながら、どこかで、可愛いとも思った。嗜虐的な感触もないではなかったが、それ以上に愛おしさが胸に迫って、泣きたいくらいだった。
男同士のセックスは、生殖行為になりえない、ただの排泄行為でしかないのに。粘膜をこすりつけるに過ぎない行為なのに。それなのに、どうしてこんなに愛おしいのだろう。
とくたろうの中は熱くて、その熱に溶けそうだった。狭いが故の痛みさえも快感で、気持ち良過ぎてめちゃめちゃに壊したくなる衝動が突き抜ける。
これ以上進めないところまで腰を進めて、ファリウスはとくたろうを抱きしめた。
「とくたろう…」
自分の名が呼ばれている。大丈夫かと気遣う声が聞こえる。
痛みに震えながら、その声だけはとくたろうにはっきりと届いた。
息を詰めたぼうっとした感覚の中、下肢からの苦痛と、ファリウスの呼びかけだけが、とくたろうの意識を占めていた。
逃れられない現実がとくたろうを捕らえていて、苦痛は紛れもない真実で、耳元で自分を呼ぶファリウスの荒い息遣い、接した胸から聞こえる鼓動、身体の中の異物の脈動、全てがシンクロしてとくたろうを引き裂いた。
「…ああ……あ、ひ…ぃ」
ゆっくりとした動きで腰を揺すり上げられて、とくたろうが喘いだ。
内蔵を押しだされるような感覚。入れられているのは、身体のほんの一部だけなのに、ファリウスの身体全てに自分を刺し貫ぬかれて、かき混ぜられているような気がした。
902名も無き冒険者:2001/05/26(土) 22:04
「好きだ…とくたろう」
何度も何度も繰り返される、うわごとのような睦言。
ファリウスが耳元で紡ぐ言葉が、自分の脳の中から響いている様な錯覚。
次第にテンポを上げる自分を突き上げる腰の動き。
痛みと熱さが混じり合って、意識が遠のいていく。ファリウスの息遣いと、自分を刺し貫く律動だけが、同調しながら高まっていく。とくたろうを隅々まで犯していく。
「…ああ…あ…はぁ…ん!!」
…それは、それは、なんだったのだろう。
その瞬間、繰り返されるファリウスの囁きが、身体を貫いた。全身がぞくりと総毛立った。
錯覚じゃなく、汗腺が一気に開いて熱さがとくたろうを飲み込んだ。
身体を抉り割るファリウスのペニスが突き上げられるのと同時に、ファリウスの囁きが、声がとくたろうを抉った。ファリウスの吐息さえ、背筋を這上って、内蔵を食い破って、脳髄まで犯す、ファリウスの身体の一部だった。
ファリウスに全身を犯されていた。
爪の先まで性器になったような錯覚。熱くて、熱くて、苦痛に違いないのに、苦痛以上の何かにとくたろうは浸された。苦しいはずなのに、自ら腰をくねらせてファリウスの熱を貪った。
903名も無き冒険者:2001/05/26(土) 22:04
突き上げられながら、性器を扱かれて、痛みとない混ぜになった快感に声を上げる。
どこからどこまでが、自分で、どこからがファリウスなのか、判らない。ファリウスと、隅々まで重なり合っている。 自分は今、ファリウスと一つなのだと思った。
体が燃え立つ。熱くて苦しくてどうにかなりそうだ。
「ふぁ…ファリウスさ……ん…!」
ファリウスの名を叫んだ。ファリウスに抱かれて、初めて彼を呼んだ。何度も何度も。
体を激しく揺すられながら、必死に縋り付いてその肩に爪を立てた。
何が何だかもうわからない。痛みと、快感に溶けそうだ。鼓動が早鐘のように鳴っている。
自分はファリウスに抱かれている。彼の身体に、声に、吐息に、動きに、全てに抱かれている。
泣いて、叫んだ。
そこにいるのは、自分と、ファリウスだけだった。苦しみと、快楽の塊になった自分と、ファリウスの吐息と、汗と、囁きと、熱い肌と、自分を貫く彼の一部と、いくつもの構成物になった自分たちが混ざり合って融けていく。
熱い、熱い、溶ける、溶けてしまう!
「…ああ…ああああ!」
とくたろうが耐えきれずに射精する。びくびくっと痙攣する身体を、ファリウスは抱きしめた。