33 :
首輪と鎖と手錠の色は:
「え・・・今、なんて・・?」
「だからぁ、コレ、付けてよ」
嬉しそうに言うあなたの手には。
赤い色をした、首輪。
少し小さ目の、首輪。
「な・・・なに言ってるの、ひとみちゃん・・?」
「いーからさぁ。ね、付けてよ。梨華ちゃんが付けてるトコ、見たい」
そう言いながら、それのベルトを外して、あたしの首に付ける。
少しキツくて、息が詰まりそうになった。
「ひとみちゃ・・くるし・・」
「あ、ごめんごめん。キツかった?」
そう言いながらベルトを緩めてくれるあなたは、いつものように優しい。
「やっぱ似合うよ、梨華ちゃん」
梨華ちゃんのタメに買ってきたんだよ?
そう言いながら茶色の紙袋の中をゴソゴソと漁る。
そして、何かを掴んでその手を上に引き上げた。
その時、ジャラ、という金属音がした。
「・・・」
「動かないでねー」
ひとみちゃんの手の細い鎖は、
あたしの首輪の穴に通されて。
「はいっ、出来あがりー」
何がしたいの?
35 :
首輪と鎖と手錠の色は:2001/07/11(水) 21:56 ID:ATaC5M7c
「ねぇ、ひとみちゃん、何でこんなの・・・」
「これ見た時さー、絶対梨華ちゃんに似合うって思ったんだよねー」
あたしの言葉を遮るように、ひとみちゃんはまた茶色い紙袋の中に手を突っ込む。
ガサゴソ、ジャラ、ガサガサ。
色んな音が袋の口から漏れてくる。
「あっ、これなんかどう?」
また、ジャラ、という音。
それは普通警察の人が使うモノ。
犯人を逮捕した時に腕にかけるモノ。
そんなモノ、どうするつもり?
「ね、手出して」
「いやっ・・」
「いいから」
強引に腕を引っ張られる。
体のバランスを崩して、倒れそうになる。
それを、ひとみちゃんが抱きとめてくれる。
「大丈夫?」
その笑顔は、いつもと変わらず優しい。
なのに、なのに。
何でこんなコトするノ?
「はい、タイホしまーす」
「・・・」
「おっ、やっぱ似合うってー」
梨華ちゃんって、こういうの似合うよねー。
嬉しそうに手の鎖をジャラジャラと鳴らすひとみちゃん。
その顔はまるで新しい玩具を買って貰った子供のようで。
ひとみちゃんはその鎖をしばらく眺めた後、おもむろに、ぐぃ、と引っ張った。
「きゃっ」
体がグラリと揺れて、ひとみちゃんの方へと倒れる。
顔が冷たい床に当たりそうになるのを寸前のところで止めた。
顔をあげて、ひとみちゃんを見上げた。
そこには、あなたのとても満足そうな顔。
「はい、タイホしまーす」
「・・・」
「おっ、やっぱ似合うってー」
梨華ちゃんって、こういうの似合うよねー。
嬉しそうに手の鎖をジャラジャラと鳴らすひとみちゃん。
その顔はまるで新しい玩具を買って貰った子供のようで。
ひとみちゃんはその鎖をしばらく眺めた後、おもむろに、ぐぃ、と引っ張った。
「きゃっ」
体がグラリと揺れて、ひとみちゃんの方へと倒れる。
顔が冷たい床に当たりそうになるのを寸前のところで止めた。
顔をあげて、ひとみちゃんを見上げた。
そこには、あなたのとても満足そうな顔。
39 :
首輪と鎖と手錠の色は:2001/07/11(水) 22:02 ID:ATaC5M7c
>>38 二重、失礼。
「なんかさ、梨華ちゃん、犬みたい」
首輪して。
鎖で繋がれてて。
手錠・・は、まぁ関係ないけど。
「ね、梨華ちゃん、あたしの犬になってみない?」
その言葉は、とても屈辱的で蔑むような言葉なんだろうけど。
何故だろう、あたしの耳には愛の言葉となって入ってくる。
その言葉から、あなたの愛を感じられる。
「どう?」
あなたのその見下すような視線が。
あたしの心を満足させてくれる。
あぁ、あなたはあたしを犬にしてくれるのね。
あたしをずっと、隣に置いてくれるのね。
「なってよ」
「・・はい」
小さく首を折りながら言うと、あなたはとても嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあさ、じゃあさ、『御主人様』って言ってみて?」
何でだろう、こんな恥ずかしい言葉が、まるで愛の告白のようにさえ思える。
「・・御主人様」
うっわー、ホントに言ったよ!
すっごいね、梨華ちゃん!
きゃっきゃっとはしゃぎながら、あなたはあたしの言葉に楽しそうに笑ってくれる。
41 :
首輪と鎖と手錠の色は:2001/07/11(水) 22:05 ID:ATaC5M7c
どうしたんだろう、あたしは。
あなたがあたしを見下したり、
恥ずかしい言葉を言わせたり、
そうしてくれる事がとても嬉しい。
快感。快楽。
ふと、自分は病気なのかもしれない、と思った。
普通はこんな事されて喜ばないのが当たり前。
でも、自分は心の底から喜んでいる。
------病気なら、もう末期症状。
誰にも治せない。
42 :
首輪と鎖と手錠の色は:2001/07/11(水) 22:07 ID:ATaC5M7c
そして今日もあたしは、
見えない首輪と、
透明な鎖と、
空気色の手錠に繋がれて。
あなたに、繋がれて。
-終-