【葉鍵板で母乳ゲーム作らない?3】

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186君が望む永遠
少年は少女を思っていた。
少女は少年を思っていた。
別れることなどないと思っていた。
けれど、少年の中にはいつかもう一つの世界が生まれていた。
それは打ち寄せる波のようにゆっくりと日常を侵食していく。
少年の存在はゆらぎ、薄らぎ、やがて――
この世界から消えていった。
手を伸ばしても届かなかった。
少女はいつまでも待ちつづける。
消えてしまった少年を。
そんな――埒もない幻想。

「朝ー、朝だよー」
僕は茜を優しく揺り起こす。
「朝ご飯食べて搾乳するよー」
言いながら、今日も硬く張っている胸に手をやる。
とたんに殺気を感じた。
「…痛いです、浩平」
「おはよう」
僕は飛びのきながらスマイルを浮かべる。
「眠いのかい? 寝ていてもいいよ、んふん?」
「いいえ。せっかく張った母乳、搾らないともったいないです」
茜は気だるそうに起き上がる。
「浩平。用意…してきます」
寝ぼけ眼でてとてとと歩いていく茜。
見送って、僕はそっとため息をつく。
「飛べない翼に、意味はあるんだろうか」
浩平、というのは、僕の名ではない。
僕の親友の名だ。
そして、茜のかつての恋人の名だ。
茜を置き去りにして別の世界に旅立った――。
振られたんだ、君は。
けれど茜はそれを認めなかった。
彼女の目には、今も彼の姿が映っているのだ。
僕では、なく。
187君が望む永遠:2001/08/25(土) 00:33
「…浩平?」
思いにふけるうち、茜が傍に寄り添っていた。
そして、いつものように問いかける。
「みさおは?」
「う、うん…」
僕は空っぽのベビーベッドに目をやった。
「よく眠っているよ」
「…そう」
彼が消えたあの日以来、彼女の世界は現実から乖離していった。
僕を浩平と呼んだ。
いもしない娘を、みさおと呼んだ。
彼女は幻想の三人家族に安住していた。
過酷な現実に耐えられなかったのだ。
それでいい、と僕は思っている。
憂いを秘めた横顔。
なだらかな乳房に流れる金色の髪。
「…何ですか、浩平?」
僕はいつか、茜に見とれていたようだった。
「何でもないよ」
「そう…」
他に何も望みはしない。
この美しい少女が幸せでいられるなら。
僕は喜んでみちる…じゃなかった、折原浩平になろう。
それでよかった。