「美坂香里です。言葉通りよ」

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119おおさか@1/3
「よぅ」
「あ、北川君だ」
「よお。どこいってたんだ、あれから?」
「ちょっとな。ヤボ用だ」
「北川がいなくなったせいで、俺は今日も今日とて残飯整理だ。
イチゴづくしで死ぬかと思ったぜ」
「わ、酷いこと言われてるよー」
「いつものことだろ」
「いつもってな……」
「北川君も酷いよ」
「悪い。……美坂は?」
「香里は部室」
「おまえが出てった後だったからな。ところで香里って何の部活
やってるんだろうな?」
「祐一、知らなかった?」
「知らない。誰も教えてくれないからな」
「……」
「どうした? 珍しく真剣な顔して」
「珍しくて悪かったな。俺だってそういう日くらいあるぞ」
「そうだったんだ。私、知らなかったよー」
「水瀬さん……」
120おおさか@2/3:2001/06/27(水) 19:43
「お、香里だ」
「よう、美坂大明神。今日もご機嫌うるわしゅう」
「今日も、ってさっきまで食堂でごはん一緒に食べてたよ」
「……」
「何だ。チューナーの調子でも悪いか」
「別に。電波は受信してないわよ。相沢君と一緒にしないでちょうだい」
「でも、今戻ってきてから、香里何だか調子悪そうだよ。どこか痛いの?」
「別に。いつも通りよ」
「で、言葉通りなのか?」
「名雪、次のリーダー、当たるでしょ?」
「あ、そうだったよー」
「あなた私の次でしょ? このままでいいの?」
「あ、ううん。教えて欲しいな」
「いいわよ」
「…おい、美坂」
「……何?」
「何か、あったのか?」
「──何もないわ」
「でも──」
「北川君が心配しているようなことは、何もなかったわよ」
「どういう意味だ?」
「言葉通りよ」
「……」
「香里ー」
「はいはい」
121おおさか@3/3:2001/06/27(水) 19:43
「うーむ」
「どう思う? 美坂の様子」
「いつもと明かに違うな。どこがどう、といわれてもわからんが……」
「俺もそう思う。しかし……」
「別段怒っているわけでもなさそうだ」
「そうだよな」
「妙といえばおまえも妙だしな」
「そうか?」
「ああ。おまえも香里も、この昼休みから変だ」
「そうかなあ?」
「何があった?」
「……何もなかった」
「そうか」
「そうだ」
「なら、そういうことだな」
「ああ。そいうことだ」
「だからね、関係代名詞whichが……ちょっと、名雪?」
「うにゅう……」

結局その時はそれっきりで、何事もなかった。
その時は。