葉鍵的SS討論スレッド Version4.00  

このエントリーをはてなブックマークに追加
312名無しさんだよもん
それなら、これくらい書けば荒らされないだろうか?

5/23新着分から
あゆ 1本
『ラスト・エピソード』
 あゆシナリオのその後の展開と言うものではなくて、あゆによる奇跡の
結果の、その後の話と言うもので、二章(と言っても短いもの)から成る。
 何と言っても、タイトルからも連想されるような、全体に漂う切ない雰
囲気がいい感じ――すでに年齢も30になろうと言う祐一が、何気なく立
ち寄った公園でうたた寝して、起きた時に体に痛みを感じながら周りを見
ると、すでに茜色に包まれた世界となっている――など、誰もいない公園
の描写で郷愁と言うものをうまく出しているように思う。
 そして、公園で出会った少女。祐一はこの少女について見覚えはないは
ずなのだが、その少女とのやり取りに既視感を感じしまい、ふと高校時代
の見知った顔を思い浮かべてみた。(これ以後はネタバレ回避のため、伏
せておくとする)
 一章のタイトルが「おもいでから」で、二章が「未来へ」と言うことで、
これらがつながるようになってるのは、意図的なものであることは物語か
ら容易に推察できる。と、同時に、それがこの作品のテーマでもあろう。
 奇跡の代償として失ったものがあっても、辛い別れを経験しても、人の
営みの中で、それはまた未来へとつながっていく。そんな人の温もりの感
じられる物語と言えるだろう。
 気になった点としては、祐一がかなり大人びている印象があり、30間
近と言うよりも、すでに40〜50代くらいの落ち着きさえも感じてしま
うこと。家族持ちとなれば、自然に落ち着きも出るだろうが、元が元だけ
にややイメージに違和感を感じるところ。もっとも、これくらい落ち着い
ていた方が作品の雰囲気には合致するので、どっちとも言い難い。
 文章表現としては、ややおかしな記述があるところも見受けられるが、
雰囲気を壊すことはなく、引き締まった表現でまとめられているのが、好
印象。
(本分が長いとの警告が出たので、分割。続く)

313名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 02:59
(本分が長いとの警告が出たので、分割。その続き)

 ラスト部分については、恐らく評価が分かれるところ。先に登場する少
女と祐一の娘との関係については邪推すれば切りがないが、ここはあまり
曲解せずに素直に受け止めた方が、物語の締めとしてはいいだろう。
できることなら、はっきりと明示した方がよかったのではないかと思う。
個人的にはBGMとして、『風を待った日』か『冬の花火』をお勧めする。

評価:(80点:お勧めできる作品)
 あゆと言う分類でありながら、正道ではないその後の展開を綴った作品。
全体に漂う切なさに流されるのも悪くなく、ひとまずはお勧めできるもの
である。
314名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 03:00
5/23新着分から(続き)

以下3本は作者が同じなのでまとめてみた。
栞 3本のうち2本
『アンダルシアに憧れて』
 同名歌曲の引用をした作品らしいが、引用元の歌曲を知らないため詳しい
ことは分からないので、作品そのものだけを見るとする。
 歌詞に合わせて、祐一の状況と理想とを対比して書くのは悪くないが、や
はりその前提となる部分が少ないのは如何ともし難い。デートに行くと言っ
て浮かれている祐一の姿だけでは、栞の行動の理由づけが足りないように思
えるので、その辺りの背景なども含めてきっちりと書いて欲しかった。

『輝く季節へ』
 タイトルでも分かると思うが、『ONE』の雰囲気を重ねた作品。これについ
ても、実は『ONE』を未プレイなのでよく分からないのだが、何となく『ONE』
そのままに近いような印象を受ける。
 栞の存在そのものが消えると言うパターンは本編にあったと思うので、も
う少しアイディアが欲しいところ。

舞 2本のうち1本
『似て非なるもの』
 短い一発ネタもの。ありがちなネタであり、やはりオチにひねりが欲しい。

3本まとめての評価:(50点:可もなく不可もなく)
 取り立てて目を引くような点はなく、作者のちょっとした発想に始まると
言う素性のこれらもSSの一つの形であることは間違いない。ただ、どれもそ
の場限りの一つのネタとしてしか成り立っていないような印象を受ける。
 まずは作者が気楽に楽しむスタイルなのかも知れないので、多くを求める
のはあまり意味がないだろう。作者のスタンスに合わせた読み方をすれば、
それでいいのではないか、と思わせる作品群である。(テーマなどがしっか
りと盛り込まれた作品でないといけない、と言うことはないのだから)

 ひとまずはここまで。
 素性を少しだけ明かすと、以前のこのスレ(2.01の頃)で、KeySSサーチ特選
ランキング作品(数点)の批評を書いた者である。以前の反省を踏まえ、今
回はネタバレを含まないように配慮(新着なので)したつもり。
 なお、この評価に反論などあれば、それぞれの意見を提示して欲しい。感
情論のみの反論は勘弁願いたいところだが、それは各々の良識に委ねること
にする。