「じゃあ梓、電気消すぞ?」
「うん、いいよ…」
「よい、しょっと…ふぅ、最近すっかり暖かくなってきたよな。この毛布もそろそろ
薄いヤツに変えていいんじゃねえか?」
「そうだね…じゃあこれはクリーニングに出して、また薄いほう出しとくよ。」
「ああ、頼む…って、梓?お前…パジャマの袖まくってる?」
「あ、ああ…なんか耕一に言われたらますます暑くなってきて…。ズボンも裾
まくっとこ…。へへへっ、耕一もまくれよ。素肌に毛布も悪くないぜ?」
「…それはなんだ、素っ裸になれってことか?お前も大胆になったもんだ。」
「ばっ、バカヤローッ!そういう意味じゃねえっ!!」
「いてっ!な、なにも蹴ることねーだろーがっ!」
「フンッ!このスケベッ!ドスケベッ!!」
「はいはい、袖と裾だけね…でもさ、最近は朝になったらいつもこうなってねえか?
オレも梓も…」
「あ、そういやそうだね。ほら、あたしも耕一もけっこう暑がりだし?」
「暑がりっつーか、梓って体温の発散多くねえ?身体が自然とカロリー消費を
促してんだろうけど、近くにいるとぬくいもんな。」
「そりゃあ耕一だって同じだよ。だから…暖かくなると、ちょっと寂しいんだ。」
「寂しい?なんで?」
「お互い暑苦しいからさぁ、ほら…夏になるとタオルケットも別々にして寝るだろ?
寝苦しいから仕方がないんだけど…やっぱり一緒にいたいしさぁ…その、たとえば
終わった後でも…」
「梓…」
「…ホントはさ、あたし…いつだってこうしていたいんだぜ?」
「…エッチつなぎか?でもなんだ、指まで絡めて手ぇつなぐと、やっぱりお前の
手って熱いよな。」
「だろ?なんか汗ばんだ感じが伝わっちまうみたいでさぁ…耕一に鬱陶しいって
思われるのもイヤだし…」
「ばか、何言ってんだよ…お前の手が鬱陶しいわけねーだろーがっ。」
「耕一…べっ、別にいいんだぜ?そんな子供じゃあるまいし、手ぇつないで寝る
なんて…だ、大のオトナが格好悪いよ…」
「オトナになっても、そんな子供みたいなことが許されるなんて…なかなか無いぜ?
むしろとびきりのゼイタクなんじゃねーか?」
「う…じゃ、じゃあ…今日はこのまま、しててもいいってのかよ?」
「梓がしていたいってんなら、今日も明日も明後日も、ずうっといいぞ。」
「…へへへっ、ありがと。じゃあお言葉に甘えて…ひゃあ、なんか照れるぅ…!
あ、お、おやすみっ…妙な気分になる前にさっさと寝るよ。」
「おう、おやすみ…」
「ぐぅ…ぐぅ…ぐぅ…んん…暑い…」
「…で、なんでオレ、布団から蹴り出されてんだよ?納得いかねえ…違う意味で
妙な気分になってきたぞ…?」