初音ちゃん萌え〜#2

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273甘えん坊将軍
     捏造SSその7   愛する二人に言葉は要らない

 今日、俺は今の今まで秘めた想いを彼女にぶつけようとしていた。
 初音ちゃん。
 彼女の名前である。
 俺の親父は初音ちゃん達の父親代わりをしていた。
 正式に父親としての籍を入れたかどうかは知らない。
 だが、俺は初音ちゃんを『可愛い妹』と思っている。
 初音ちゃんも俺のことを『優しいお兄ちゃん』と思ってくれている。
 半ば、兄妹のような関係だといっても差し支えないだろう。
 いや、違う。
『半ば』などではない。『兄妹のような』などでもない。
 俺たちは『兄妹』なのだ。
 勿論、『兄妹』であるがゆえに付き纏うしがらみも存在する。
『兄妹間で結婚は出来ない』という原則である。
 しかし、その原則も俺と初音ちゃんの関係を阻むものではない。
 戸籍上では異なる両親から生まれた『従兄妹同士』なのだから。
 俺の親父を媒介にした『兄妹』という関係。
 戸籍が示す『従兄妹』という関係。
 はっきり言って、かなり奇妙な関係。
 そんな事を考えながら、俺は初音ちゃんの部屋の前に立った。
 大きく息を吸い、ドアをノックする。
「どうぞ〜」
 可愛い声が俺を出迎える。
 俺は初音ちゃんの部屋へ入った。
274甘えん坊将軍:2001/04/01(日) 03:05
「あ、耕一お兄ちゃん」
 初音ちゃんが笑顔で俺を出迎えてくれる。
 俺の告白が終った後、初音ちゃんの笑顔は俺だけのものになるのだ。
「お兄ちゃん、どうかしたの? 真面目な顔をして」
「初音ちゃん」
 皆まで言わさず、俺は初音ちゃんに話し掛けた。
「結婚しよう」
「えっ?」
 鳩が豆鉄砲を喰らった表情とは、まさに今の初音ちゃんの表情をいうのだろう。
「だから・・・結婚しよう」
「ちょ、ちょっとお兄ちゃん」

 目の前の耕一お兄ちゃん・・・何か変。
 いきなり『結婚しよう』って言い出すなんて・・・。
 いつものイタズラかな?
 う、うん。きっとそうだよ。
 お兄ちゃん、時々子供っぽくなることがあるし。

「で、でも、わたし、まだ高校生だし。それにお姉ちゃん達の気持ちだって・・・」
「初音ちゃんは15歳だから、確かに今結婚できない。でも、同棲できるじゃないか」
「そんなの無理だよぉ・・・お兄ちゃん・・・」
「初音ちゃん・・・俺のこと、嫌い?」
「・・・ううん。お兄ちゃんのこと、大好きだよ」
「じゃあ、結婚しよう」
「・・・でもぉ、無理だよぅ」
「ううっ、初音ちゃんには俺とは結婚したくないんだぁ〜」
「ち、違うよ。わたし、お兄ちゃんと結婚したいよ。でも、今はだめだよぅ」
275甘えん坊将軍:2001/04/01(日) 03:07
 もう一押しだ。
 初音ちゃんは押しに弱いということは以前から知っていたが、ここまでだとは思わなかった。
 よし、こっちもちょっと妥協しよう。
「じゃあ、初音ちゃん」
「・・・」
「俺が初音ちゃんと子供を食べさせられるようになり、初音ちゃんが大人になったら結婚してくれる?」
「・・・」
「ううっ。やっぱだめなんだぁ〜」
「・・・いいよ・・・」
「えっ!?」
「耕一お兄ちゃんとなら、結婚したい・・・」
「本当?」
「・・・うん。でも、もうちょっと先になるけど・・・待っててね・・・」
 そこまで聞き、俺は我慢できなくなり、吹き出してしまった。
「うぷぷっ。は、初音ちゃん。今日は何の日か知ってる?」
「えっ?」
「きょ、今日は4月1日。エイプリルフールだよ」
「えっ? えっ?」
「今までのは全部冗談だよ」
「・・・嫌い・・・」
「は、初音ちゃん」
「耕一お兄ちゃんのこと、大っ嫌いっ!」
 初音ちゃんは黙りこくってしまった。
 あああ、やり過ぎちゃったよ。
 俺の悪い癖だ。いつも初音ちゃんをいぢめ過ぎちゃうんだよな・・・。
 ・・・可愛いから・・・。
276甘えん坊将軍:2001/04/01(日) 03:08
「初音ちゃん・・・」
 俺は立ったまま俯いている初音ちゃんをそっと抱き寄せた。
「ごめんよ・・・」
 部屋の絨毯の上に、ぽつり、ぽつりと涙が落ちている。
 俺は、心底自分の軽率さを恥じた。
「ううん・・・」
「本当にゴメン。俺、初音ちゃんが可愛いからついつい苛めたくなっちゃうんだ」
 初音ちゃんはごしごしと涙を拭き、言った
「わたしも、お兄ちゃんのことが嫌いだなんて・・・ウソだよ」
「ホント?」
「うんっ!」
 初音ちゃんは赤い目で、しかし笑顔で返事をしてくれる。
 そして一言。
「じゃあ、耕一お兄ちゃん、いつかわたしと結婚してくれる?」
「またまたぁ〜。初音ちゃんはウソがへたっぴなんだから」
「ウソじゃないよっ! ホントだよっ!」

         〜おしまい〜