初音ちゃんの背中に手を回した・・・のはいいが、何か引っ掛かるものがある。
そう。
今の『初音ちゃん』は果たして本当に初音ちゃんなのか、という疑問である。
肉体は初音ちゃんだが、人格は果たして初音ちゃんなのか?
このまま自分の欲望に身を任せるのは、結果的に初音ちゃんを傷つける事になりは
しないだろうか?
そう思った俺は、初音ちゃんの背中に回した手を解き、そっと体を起こした。
そして後ろを向く。
「どうしたんだぁ、耕一ぃ?」
訝しげに『初音ちゃん』が問い掛けてくる。
「ゴメン・・・初音ちゃん」
「?」
「今の俺は、初音ちゃんを抱く事なんて出来ないよ」
「はぁ?」
「いつもの初音ちゃんに戻ってよ」
「いつもの? あたいはいつも通りだぜ」
「とにかく今、俺は初音ちゃんを抱けない」
正直、かなり後ろ髪を引かれるものがある。
だが、一時の快楽に溺れて後で罪悪感に苛まされるよりはマシだろう。
そう思った瞬間。
『初音ちゃん』が俺の首筋に手を回し、抱きついてきた。
おむねを俺の背中に密着させてくる。
「耕一ぃ・・・あんたがあたいを気遣ってくれる気持ちはありがたいんだけど・・・」
そして、おれの肩口に顎を乗せ、こう囁いた。
「お兄ちゃん。たまには、こういうのもいいんじゃないかな?」
『!?』
初音ちゃん、ひょっとして・・・と俺が問い掛けようとした瞬間、
はむ
肩に顎を乗せていた初音ちゃんが俺の耳たぶを優しく噛んだ。
今まで感じた事のない快感が俺の全身を駆け巡る。
初音ちゃんは、俺の耳たぶに歯を立てたまま歯ぎしりするかのようにゆっくりと口を動かす。
「ちょ、ちょっと初音ちゃん」
「どうだぁ? 結構キクだろぉ。ここは」
「ぅうぅ・・・」
不覚にも俺はうめき声を出してしまっていた。
「ふふん」
初音ちゃんは、いつもの無邪気な笑みとは違う艶っぽい笑みを浮かべる。
初音ちゃんは一頻り、俺の耳たぶを噛み噛みして責めてくる。
先ほど、初音ちゃんと身体を重ねる事を拒否し、硬くなっていた俺の身体は
初音ちゃんの愛撫で随分骨抜きにされてしまっていた。
そして俺は何時の間にか身体を初音ちゃんに預けてしまっている。
情けないと思うよりも、初音ちゃんにもっと攻めて欲しいという気持ちが勝っているのだろう。
初音ちゃんの小さな可愛い手が俺の胸のあたりをまさぐり始めた。
Tシャツ越しに初音ちゃんの手の感触が伝わってくる。
初音ちゃんの手の動きが止まった。
きゅ
初音ちゃんの両の親指と人差し指が、俺の乳首を的確に捕らえている。
「はひ」
くすぐったいのか気持ちいいのかわからない。
だが、俺の喉の奥のあたりがじぃんとする。
初音ちゃんの歯、手で大の男がこんな有様になってしまうなんて・・・。
俺の右胸から初音ちゃんの手の感触が無くなった。
『焦らさないでくれよ、初音ちゃん』
だが、俺は心の奥底で初音ちゃんが別の事をするのを期待していたのも事実だった。
そして俺の期待は的中した。
初音ちゃんの柔らかく、可愛い手が俺自身を優しく包み込んだ。
トランクス越しにも初音ちゃんの小さな手の感触が伝わってくる。
初音ちゃんは俺の背中におむねを当てたままでいる。
『初音ちゃん・・・ブラをしてないのか?』
初音ちゃんの小さな乳首もブラウス越しにその存在を主張するかのごとく、ピンッと勃っていた。
「やっぱりここが一番キクだろぉ。こういちぃ」
初音ちゃんはいたずらっぽい笑みを浮かべて囁く。
俺の心の奥底にある嗜虐心に火が点こうとしていた。
背中に感じられる初音ちゃんの微妙に膨らんだおむねとその小さな突起。
下腹部に絶えず走る快感。
俺の耳にかかる初音ちゃんの鼻息。
俺の鼻腔を絶えず刺激する初音ちゃん自身の甘い匂い。
そして、初音ちゃんの幼い、可愛い顔とのギャップがなんともいえない小悪魔的な笑み。
どれをとっても、俺を攻め立てるには十分すぎる。
そして俺自身も、はちきれんばかりに膨張してしまった。
初音ちゃんが俺のトランクスの端っこをくいくいと引っ張る。
俺は何も言わず、腰を上げて初音ちゃんの成すがままにした。
俺の下腹部と俺自身が外気に触れる。
「くあ〜。すげえなぁ、耕一の」
嬉しそうに初音ちゃんが言う。
そこだけが、まるで別の生き物のようにぴくぴくと脈打っている。
初音ちゃんの手による更なる刺激を求めているかのように。
そして初音ちゃんの手が獲物を捕らえるかのごとく伸びてきた。
初音ちゃんの小さな手が俺自身を包んだ。
昂ぶった俺自身を優しく擦る。
自分で触るのとは違い、手で擦る向きや力の入れ加減が全く予期できないぶん気持ちいい。
初音ちゃんは右手の親指と人差し指で輪を作り、俺自身のくびれを執拗に責める。
かと思ったら人差し指で裏筋をしゅるしゅると刺激する。
「耕一ぃ・・・お前の、ぴくぴくしてるなぁ・・・」
「ちょ、ちょっと。ストップ」
「まだ大丈夫だろぉ?」
「ほ、本当に、出ちゃう」
初音ちゃんの手の動きに翻弄され、俺は情けない声を上げた。
直接的な刺激もなかなかだが、それ以上に「初音ちゃんに責め立てられている」
という感覚が俺に加わる快感を倍増させているのだ。
妹のような存在である初音ちゃんにこんな背徳的な行為をされるという事実そのものが、
俺に更なる快感を与えているともいえるだろう。
俺の腰の奥から甘い痺れが駆け上る。
頭の中が真っ白になる。
もう、我慢できない・・・と思ったその瞬間。
俺自身から初音ちゃんの手が離れた。
一番いいところでお預けを喰った俺は抗議の念をもこめて初音ちゃんを見つめる。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、
「ふん! 随分気持ちよさそうじゃねェか」
俺の顔を覗き込んだ初音ちゃんはニヤリとする。
いや、だからその小悪魔のような表情で見つめないでくれ・・・。
既に、俺と初音ちゃんの立場は、いつもとは完全に入れ替わってしまっていた。
俺は、初音ちゃんの正面に向き直った。
すると、
「あたいも、よくなってんだけどな・・・」
初音ちゃんが俺の両手をむんずと掴み、ブラウスの胸の部分に当てさせる。
俺はお返しとばかりにむにむにとおむねを揉む。
さっき責められた分のお返しをしてあげなければ。
そう思った俺は初音ちゃんのブラウスを脱がせた。
そして初音ちゃんの可愛いおむねとを直接刺激する。
乳首を優しく摘んだ。
が、今の初音ちゃんのほうが俺より一枚上手だった。
初音ちゃんは俺の手首を掴み、回すように動かす。
「はぁ・・・」
おさえた、艶っぽいため息。
じゃあ、こっちはどうだろう?
俺は、無防備にもM字型に脚を開いて腰掛けている初音ちゃんのあそこを刺激しようと手を伸ばした。
薄いコットンのぱんつ越しに、右手の中指を初音ちゃんの割れ目に差し込む。
「きゃうんっ!」
初音ちゃんが嬌声を上げる。
「初音ちゃん・・・こんなにいやらしい染みを作ってるよ」
「ばっ、ばっきゃろ」
「初音ちゃん・・・腰を浮かして」
「ん、あ、ああ・・・」
初音ちゃんは俺の意図を察したのか、素直に腰を浮かす。
俺は初音ちゃんの左足からぱんつを脱がす。
そして、俺は改めて初音ちゃんへの愛撫を再開した。
割れ目の始まる部分にある花芯を親指でくりくりと弄る。
初音ちゃんの割れ目から滲み出てくる、温かいものの量がさらに増えた。
それが俺の中指を通じて感じ取れる。
初音ちゃんは俺の肩に顎を乗せ、抱きついてくる。
そして目を閉じ、俺に口付けてきた。
さっきの悪い目つきとは違い、目を閉じたその表情はいつもの初音ちゃんと大差ない。
しかし・・・。
初音ちゃんは俺の口腔内を自らの舌で蹂躙する。
そして、俺の中指を差し込まれている割れ目への更なる刺激を求めてか、もぞもぞと腰を動かす。
いつもの初音ちゃんらしからぬいやらしい反応と、目を閉じた可愛い初音ちゃんの表情との
ギャップがなんともいえない。
「初音ちゃん・・・」
「んっ・・・なんだ、耕一ぃ・・・」
「そろそろ・・・しようか・・・」
「あ、ああ・・・。もう我慢できないから・・・頼む。でも・・・」
「でも?」
「一回・・・イカせてくれ・・・」
ぶっきらぼうな言い方だが、今の俺には、反転した初音ちゃんにとっての
照れ隠しをかねたおねだりにしか聞こえない
初音ちゃんの割れ目は、一目でわかるくらいぐっしょりと濡れている。
俺自身も、一度は出す寸前まで追い詰められはしたが、今は平静を取り戻している。
平静を取り戻したとはいっても、天を向いたままだが・・・。
俺の中指を迎え入れている初音ちゃんの膣壁もひくひくと蠢いている。
『初音ちゃん・・・もう随分出来上がったな』
そう思った俺は、初音ちゃんの割れ目から中指を引き抜く。
「あふ・・・」
初音ちゃんはため息をつき、恨めしそうにおれを見る。
「俺も一回お預けを喰ったんだから、お返しだよ」
「ふんっ!」
初音ちゃんは俺から目を背ける。
が、今の俺にはその初音ちゃんの態度が可愛く思えるほどの余裕が出来ていた。
俺は座った状態から両足を伸ばし、上半身は起こしたままで初音ちゃんに呼びかけた。
「おいで・・・」
初音ちゃんは両膝を立て、俺自身を掴んだ後、そろそろと腰を降ろしてくる。
お互いの最も敏感な場所が触れ合い、くちゅりといやらしい音を立てる。
「ぅうっ」
「ひゃぁ・・・ん」
二人とも、鼻にかかった声をあげる。
俺は初音ちゃんのお尻を掴んだ。
初音ちゃんは俺の首に手を回す。
そして、俺は少しずつ初音ちゃんの中へ入っていく。
「痛くない?」
「へっ・・・平気だっての」
互いの粘膜が擦れ合い、強烈な刺激が互いに送り込まれる。
俺はゆっくり、ゆっくりと初音ちゃんの一番奥深いところまで自分自身を送り込む。
「きっ、きつい・・・」
愛液でぬるぬるしている初音ちゃんの膣内だが、初音ちゃんの身体が幼い為、随分きつく感じられるのだ。
初音ちゃんの膣壁も、健気にきゅっきゅっと俺自身を責めたてる。
この状態で俺が動いても、そう長くは持たないだろう・・・と思った瞬間。
「あ! あんっ! はぁ・・・」
初音ちゃんが声をあげる。
「初音ちゃん・・・イッちゃったの?」
俺が聞くと、
「あ、ああ・・・軽くな・・・」
初音ちゃんは恥ずかしげに言った。
初音ちゃんが、ピクピクと身体を蠢かしながら、俺を見つめてくる。
一度軽くイッたせいなのか、その目は、さっきまでの目つきの悪い彼女ではなく、
俺に甘えきった表情のそれになっている。
締め付けも、さっきと比べてやや柔らかくなっている。
「はぁ・・・」
俺を受け入れている初音ちゃんが、もどかしそうに小さく喘いだ。
初音ちゃん自身も、自分に突き刺さるモノの大きさとその感触に強烈な快感を受けているようだ。
俺は、自制する事も忘れ、腰をグィと動かした。
「ああっ! あんっ! きゃう! あっ! はぁ」
初音ちゃんの膣奥に何度も何度も俺自身を打ち付ける。
腰を突き上げる度に、初音ちゃんが嬌声を挙げる。
「はぁあ! うあぁん! あぁっ!」
「くっ、うっ ふぅ」
二人の声が居間中に響き渡る。
『く、くっ。き、気持ちいいっ・・・!』
俺は、下半身に伝わる甘美な感覚に自分を失いそうになる。
自分の腰を動かす度に得られる快感が、俺の腰の動きを加速度的に早める。
「あっ、あう、あ、あん」
俺の下で、初音ちゃんも切羽詰まった嬌声を挙げ続ける。
「はあぅん、くぁ、あはっ、ううん!」
初音ちゃんの口から漏れる淫らな嬌声に喘ぎ声、そして乱れる彼女の幼い身体との
ギャップがなんともいえない。
「はぁあん!」
初音ちゃんが一際高い声をあげる。
「はぁあ、あぁ! こ、耕一、凄いっ。凄いよっ。あたい・・・あぁ!」
「くっ」
ぐいぐいと俺を奥まで引き込む初音ちゃんの膣壁の感触がたまらない快感を引き出す。
初音ちゃんの締め付けが、更に強いものになり、俺は自分の限界が近い事を感じた。
「あん・・・あたい、も、もうダメ・・・イキそ、イキそう。」
「くっ、は、初音ちゃん、お、俺も・・・」
俺は、しがみつく初音ちゃんを抱えるようにしながら、ズンズンと腰を打ち付けた。
思わず射精してしまいそうになるが、俺は射精感を何とかやり過ごした。
先に達してしまっては情けない。
俺は息を止め、腰を動かす。
初音ちゃんの両膝を持ち、俺自身の先端を初音ちゃんの膣奥に打ち付ける
ゴツゴツとした感触が俺の尿道口に感じられる。
初音ちゃんの中がキュゥと俺を締め付ける。
「・・・くっ」
「きゃうん!」
何度か射精感をやり過ごしはしたが、俺の意思は遂に決壊した。
俺自身の先っぽが膨張し、初音ちゃんにちょっとした刺激を与える。
その瞬間、俺のモノから激しい迸りが放出された。
一度お預けを喰らって今の今まで我慢していた分、勢い良く放出された大量の精液が
初音ちゃんの子宮口を激しく叩く。
ドクドクと脈打つ俺の下半身の脈動と、初音ちゃんのフルフルと震える痙攣が重なり合う。
しばらくの間、俺達は繋がりあったまま、放心したように無言に抱きしめ合っていた。
俺のモノも強烈な放出の後で、その硬度を失い、初音ちゃんの中で優しく包まれている。
「良かったよ、耕一・・・」
「おれも・・・」
初音ちゃんは、とろりとした表情で俺を見つめる。
心地よい気だるさの中で、俺たちは互いにそっと唇を合わせた。
達した直後ゆえ、唇を合わせる程度の感触にも初音ちゃんは敏感に反応する。
俺も、絶頂の余韻を二人で共有せんとばかりに初音ちゃんを抱きしめる手に力を加えた。
俺は目を覚ました。
布団の中で。
『初音ちゃんは・・・』
俺はあたりを見回したが、部屋の中には初音ちゃんはもちろん、俺以外誰もいない。
『夢かよ・・・』
俺はがっかりすると同時に、安堵感をも覚えていた。
初音ちゃんと行為をしたのは夢の中だけで済んだからだ。
「やれやれ。なんて夢だ」
俺は一人呟く。
そして俺は重大な事に気付いた。
夢の内容がえっちであればあるほど、翌日に下着を洗わなければならない確率が
飛躍的に高まるという事を。
ましてやここは柏木家。
気付かれた時点で俺の人生は終わりだ。
大慌てで俺はトランクスの中に手を入れ、ぬらりとした感触がないか確かめた。
『・・・問題ない・・・』
一安心。
『そういえば、今日は初音ちゃんと二人きりなんだな』
千鶴さん、梓、楓ちゃんは今日お出かけする事はわかっている。
昨日から『初音ちゃんと二人きり』と悶々とするのが原因で、こんな夢を見たのかもしれない。
『さて、起きるか。たまには俺が初音ちゃんを起こしてあげよう』
そう思い、寝ぼけまなこを擦って俺が起き上がろうとした瞬間。
ずかずかという足音が廊下からする。
俺は障子に目を向けた。
ピョコンと立った髪の毛の影絵が見える。
まさか・・・。
障子がバンと乱暴に開け放たれ、足音の主が俺の部屋にズカズカと入ってきた。
俺の眠気はいっぺんに吹き飛んだ。
「お〜い、こういちぃ。腹減った。メシ作ってくれ・・・」
そして一日が始まった。