★エイエソに詠美ちゃんさまはフミューだぞ★

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188旦那さん、名無しです
>>166-169@`185
好評を得ているようで、大変嬉しいです。今夜も逝きます。

「ほれ、詠美。まだ寒いか?」
「ううん、へいき…あ、ありがと…」
 普段は照れくさくて躊躇う言葉を何気なく口にして、詠美はほこほこと湯気の
のぼるマグカップを和樹から受け取りました。甘やかなチョコの匂いでもう待ち
きれず、詠美はおちょぼ口になってふうふうしてから、そおっとすすります。
すずずっ…
「どうだ…?」
「…ちょ、ちょっと熱すぎ〜。まぁ飲めないってことはないから、いちおー飲ん
であげるわっ。」
「はいはい。」
 同じくマグカップを片手に和樹は目を細めて問いかけますが、それでも詠美の
返事は相変わらずのあまのじゃくです。それでも和樹は気を悪くすることもなく、
苦笑しながら自分の座布団に腰を下ろします。
 結局あれから詠美は、ダウンジャケットから何からが乾くまで和樹から借りた
厚手のパジャマを着ていることになったのです。
 シャワーを浴びた髪はまだ湿っていますが、こうしてファンヒーターを独り占
めするように体育座りしていれば、すぐにでも身体は暖まるでしょう。普段より
美味しく感じるホットチョコもあって、心の中からぬくもりが拡がってくるよう
です。
189旦那さん、名無しです。:2001/01/29(月) 20:19
…かずきのパジャマ、やっぱりおっきいな…あったかいけど、ぶかぶか…
 熱々のホットチョコをすすりながら、詠美は親指まで隠れるほど長い袖を見て
嬉しそうに頬を緩めます。脱衣かごに『これでも着てろ』とメモを添えて置いて
あったものですが、着る前に思わず胸に押し抱いてしまったこと…それと、真新
しいものであることに気付いて、少しガッカリしたことはもちろん内緒です。
…でも…これだけ尽くしてくれるのって、あんたがしたぼくだから…?それとも…
 今までは当然としてきた和樹からの無償の奉仕。でもなぜだか、今はそれがた
まらなく嬉しく感じます。
 ふと視線を上げると、和樹は何とはなしにテレビを観ていました。テレビでは
アイドルグループがCMの中で賑やかに踊っています。
「そっか、やがてバレンタインかぁ…二月の新刊は、やっぱこれかなぁ…」
 思案顔の和樹はCMを眺めたまま、誰とはなしにそうつぶやきました。しかし
その声は詠美の胸の奥まで響き渡るように伝わってきます。
…あ、あたしが…かずきに、バレンタインのチョコ…?
 マンガに夢中で、そんな恋人どうしの行事にはてんで無縁であった詠美もさす
がに気付かずにはいられません。今ならこうして…たとえ義理であったとしても、
ちゃんとチョコを手渡せる異性がいるのです。
 いつもいつもごちそうになっているホットチョコの、また、今回のお礼として
も実に良い口実になると思います。