★エイエソに詠美ちゃんさまはフミューだぞ★

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163旦那さん、名無しです
 162さん、どうもありがとうございます。
 設定に難があると思っていたのですが…。

ぴんぽーん。
「はいはーい…おう、詠美…って、お前傘はどーしたんだよっ!?」
「…出たとき降ってなかったから、だいじょおぶって思ってたんだけど…
間に合わなくって…それで…」
 今日の詠美は和樹の部屋で作業…の予定だったのですが、途中で雨に
降られてびしょ濡れです。しかも南下してきた寒気でみぞれ混じりのため、
かわいそうにあごまで震えています。憤慨する気力もありません。
「ば、ばかだなぁ、身体も震えてるじゃねえか…と、とにかくシャワー使え!
タオルとシャツぐらいは貸すから…このままだと風邪ひくぞ!」
「へ、へいき…ダウンジャケットはこうだけど、身体まで濡れてないし…
頭だけ拭きたいから、タオルだけ貸して…」
「そんな強がり言ってんじゃねーよ!お湯はすぐに出るから、シャワーで
身体を暖めろ!!」
「わ、わっ、ちょ、引っ張んないでよ!痛い〜!!」
164旦那さん、名無しです:2001/01/28(日) 20:14
「ふみゅう…お、男の人の…か、かずきんちの、おふろ…」
 生まれたての姿となった詠美は、後ろ手で浴室のドアを閉めてからそう
ひとりごちました。
 自分の家の浴室よりずっと狭くて、見慣れないシャンプーがあって、
それらと一緒に掃除道具が並んでいて…まさに和樹の一人暮らしの匂いを
感じて、詠美の胸はいつになくドキドキ。
…でも…ホントに優しいな、かずきって…
 普段は絶対見せない柔らかな表情になって、カランをひねった瞬間…
しゃわーっ…!!
「ひゃああっ!!あっ、熱っ!熱いっ!た、たすけてえっ…!!」
「詠美っ!?おい、どうした詠美っ!!いいか、開けるぞ!?」
「か、かずきっ!!シャワーからお湯が…あ、や、やだ、見ないでえっ!」
 悲鳴を聞きつけて浴室のドアを開けた和樹が見たものは、蛇口とシャワー
併用カランをひねり間違え、空っぽの浴槽に避難して縮こまっている詠美の
姿でした。その様子はまるで、雨に濡れて怯える捨て猫そのものです。
 おまけに取り乱し、狼狽えきっているものだからなおのこと。
165旦那さん、名無しです:2001/01/28(日) 20:27
「ったく…おい詠美、火傷しなかったか?」
 大急ぎでカランを締め、浴室を飛び出てから和樹はそう尋ねました。それ
でも、浴槽で縮こまったままの詠美は涙目で狼狽えるばかりです。
「あ、あんた、見たでしょお!あ、あたしのはだかぁっ…!」
「火傷してねーかって聞いてんだよっ!!」
「ひっ…!し、してない…」
 和樹に厳しい口調でそう聞かれ、詠美はようやく落ち着きを取り戻します。
「…だったらいい。早く暖まってきな。ココア作っとくから。」
「こ、ココアなんて、れでぃの飲むものじゃない…いつも言ってる…」
「ええい、わかったわかった!ホットチョコ…作っとくから。」
「うん…」
 照れ隠しのわがままにも、わざわざ言い直してくれる和樹に詠美は
しおらしく応じます。
 その飲み物は、詠美がここに来るたびに作ってもらえる最高に温かい
飲み物。心の中で『美味しい』を繰り返してきた、詠美の大好物。
…したぼくのくせに…なんでこんなに優しいのようっ…
 たまらない胸のせつなさで、詠美は大きな溜息をひとつ。
 空っぽの浴槽に浸かりながらも、うつむいた詠美の頬はのぼせたように
火照っているのでした。

 妄想過剰ぎみsage