★エイエソに詠美ちゃんさまはフミューだぞ★

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138旦那さん、名無しです
 今日も今日とて、詠美は手鏡とにらめっこ。
 でも、今日は右手に一本の口紅。
「…た、試すだけだから、コンビニのでもいいわよね…。
え、エリートは何をつけても華になるものなのよっ!」
 照れくささいっぱいで買ってきた初めての化粧品につぶやきながら、
そっとキャップを外し…きゅっ、とひねって準備OK。
 カラー原稿ならお手の物の詠美も、自分の顔に色を塗るのは今日が
初めてです。胸のドキドキを耳元で聞きながら、ゴクン、と生唾をひ
とつ飲んで…
すぅっ…すぅっ…
「わぁ…」
 吟味することなく、適当にひっつかんできた口紅は淡いピンク色で
したが…それでも手鏡の向こうには違和感たっぷりの自分の顔。
 ちっちゃな唇は、まるで別人のように大人びて見えます。
「こ、こんなになっちゃうんだぁ…うわぁ…」
139旦那さん、名無しです:2001/01/26(金) 09:50
「ほほう、とうとう詠美も化粧を覚えたか。」
「ひゃあっ!?か、かず…じゃない、ポチッ!!あ、あ、あんた、
またパンダとふほーしんにゅう!!」
「今日は俺ひとりだよ。」
 背後から突然聞こえてきた声に、詠美は動転して顔を真っ赤に
してしまいます。和樹の手には、またケーキ屋さんの箱がひとつ。
「しっかし、かわいい口紅じゃんかよ。急にどうした?」
「えっ…あ、あ…これはアレよ!今度のカラー原稿にじょていの
キスマークをプリントするの!サインも入れたら、きっともんどー
むよーでプレミアものよっ!ショーケース行き、確定よ!!」
「なるほど、商魂たくましいこった。とりあえずケーキ食いながら
打ち合わせしよーぜ?今日はお前の大好きなモンブランだぞ?」
「く、くりきんとんケーキなんて、子供の食べるものじゃないっ!
むかつくむかつく、ちょおむかつくーっ!!」
 素直になれない憤りの裏には、
…口紅じゃなくって、唇にも感想くれたっていいじゃない…
 そんなせつなさも秘められているのでした。

 短くまとめるテクが欲しいです。8人目さんを見習わねば…。