ようやく、しおらしくなってきた高瀬瑞希 part2
和樹と瑞希が正式に同棲をはじめてからはや数ヶ月。
(半同棲状態から数えるともう1年以上になるが…)あいも変わらずお熱い二人。
そんな彼らのとある朝の風景。
昨晩も昨晩とて夜遅くまで愛の営みに明け暮れた二人。
ようやく目を覚ました和樹であったが、まだ頭は朦朧としていた。
隣の部屋のドアを開ける。
(ガチャ)
「…ぉはよーっす」
「あっ和樹、やっと起きたの…ってノックもしないで部屋入ってくるなーっ!」
「なんだ、着替え中かよ。気にせず続けてくれ」
「なに言ってるのよ!もう…何度いってもわかってくれないんだから」
和樹がとっている毎朝のこの行動。和樹に言わせると寝ぼけてるからつい…ということだが、
実は瑞希の着替えを覗きたいという欲求からしているという面も少なからずあるのだ。
「いいじゃないか、オレと瑞希の仲だろ。…夜はあんなに素直なのに、さ」
瑞希の顔がみるみるうちに羞恥の色に染まっていく。
「こ、こ、こ、このバカーーーーッ!!」
真っ赤になった瑞希が手元にあったハンガーを投げつける。
するとそれは和樹の頭をクリーンヒットした。
「ぐへぇ」
直撃を食らった和樹は情けないうめきをあげてその場にくずれこむ。
( ・∀・)<マアマア。ワカーンしようよ!
「あっ、ゴメン… だ、大丈夫?」
瑞希はそういって和樹のもとに近寄ってくる。
このへん、和樹との同棲生活も長くなり、いくらか瑞希もしおらしくなってきたようである。
「…ったく、痛えなぁ」
「ごめんね、和樹。でも和樹の方ももう少しデリカシーを持ってくれるとうれしいんだけどなぁ」
「……善処する」
そうして瑞希は着替えを続ける。
だが、なんだか困っている様子である。着替えの手がなかなか進まないのである。
「あ、あれ? やっぱりおかしいな」
ブラジャーを着けようとしているのだが、なにか違和感を感じている。
「どうしたんだ瑞希?」
「うん…最近ブラジャー着けるときなんか違和感を感じるの。窮屈っていうか…
最初は気のせいかと思ってたんだけど、どうもそうじゃないようなの」
瑞希はそう事情を語ると、黙り込んでしまった。
いやそれどころか身動き一つすらしなくなってしまった。
「おい、どうした瑞希? おい、おい!」
和樹はそう言って様子のおかしい瑞希の顔をのぞきこむ。
なにか信じたくない事柄に行きついたように、和樹には見えた。
「まさか私、太っちゃったのかしら…」
顔面蒼白になった瑞希の口もとから、つぶやくようにそう声が漏れた。
そう言ったきり、彼女は微動だにしない。
「おい瑞希、瑞希! どうしたっていうんだ!?」
(そんな、そんなまさか。でも…)
胸中でそう何度も否定と肯定を繰り返しその場にたたずむ瑞希。
それはさながら魂の抜け殻のようであった。
「太る」それは瑞希にとって程遠いと感じられていた概念の一つであった。
小学生の頃からスポーツが大好きで、毎日のように体を動かして過ごしてきた彼女。
中学・高校とテニス部に所属し、汗を流す日々を過ごしてきた彼女。
運動会・体育祭とあってはクラスの中心となり、徒競争にリレーに活躍をみせてきた彼女。
瑞希は「太る」という言葉とは無縁で育ってきたようなものなのだ。
現に、成長期を過ぎてからはサイズはずっとほぼ一定に保たれてきていたのだった。
それが今、崩れてしまっている… 瑞希のショックがいかばかりか想像できようか。
「……おい瑞希、瑞希! おいってばよ!」
「…え?」
放心状態にあった瑞希の耳に和樹の声が届き、彼女は我にかえった。
「瑞希どうしたんだ? いきなり黙りこくっちまって」
「……」
「なんかつぶやいたと思ったらふさぎこんじまってよ… 何かあったのか?」
和樹はそう訊いてくる。
何でもない、そう突っぱねる事も可能であったし、普段の瑞希ならそうしたであろう。
だが虚脱感の大きかったこのときの瑞希はそうする事はできなかった。
「…ハ、ハハ…」
「瑞希…?」
「ハ、ハハ…ハ…ハハハハハ…」
「瑞希、どうしたんだ、しっかりしろよ!」
うつろな笑いを浮かべる瑞希。
(瑞希の様子がおかしい、一体どうしてしまったというんだろう)
そう感じた和樹は声を掛けずにはいられなかった。
「…あのね和樹…あ、あたしね……太っちゃった…」
瑞希の口からそう言葉が漏れた。
「あたし、太っちゃったみたい…ハハ…今までこんなこと無かったのに…
太ったことなかったのが私、自慢だったのに…」
「……」
「和樹… 笑わないの…?」
「…え?」
「ねぇ笑ってよ、こんなみじめな私を。いつものあなたの調子でさ。
…ほら、笑って、笑ってよ。…笑ってってば!」
最後のほうの口調は、半ば自暴自棄になっていた。精神のバランスが崩れた瑞希は
どうしてよいかわからず、和樹にやるかたない思いをぶつけてしまっていた。
そして言ってしまったあと、瑞希は後悔した。
しまったと思った彼女は、つい自分で自分の口を押さえてしまっていた。
「か、和樹ゴメン… わ、わたし、その…」
「……」
(どうしよう、あたしってばまた和樹にあたっちゃった…)
瑞希は先ほどの情緒不安定な状態にくわえて、今また和樹へあたってしまった後悔の念などが加わって
もはやどうしてよいかわからない状態であった。言葉さえうまく口から出てこない。
そんな不安な状態にあった瑞希を、和樹は無言のまま見つめていた。
「か、か、和樹……」
「……」
瑞希の目は今やおびえきった小動物のそれであった。
瑞希の様子を見つめていた和樹は、しばらくして瑞希に近づくべく歩み寄った。
そして、和樹は右手をゆっくり動かした。
「……!」
瑞希はどうしていいかわからず、何かから身を守るように目を強くつぶっていた。
そして、和樹の声が聞こえた。
「瑞希は瑞希だよ」
和樹の右手は瑞希の背後にまわされ、彼女の体を軽く抱きしめていた。
「おれは瑞希のすべてを愛してる。どこに行こうとどんなになろうとおれはお前を放さない。
だからそんなに思い悩んで自分自身を責めるのはよせよ、瑞希。
おれはお前とずっと一緒なんだから」
和樹が瑞希の体を抱きしめる。両手で。
「……!」
瑞希の心が解放される。
瑞希もまた、今は和樹の体を抱擁していた。
「かずき、かずき…うん、うん…
ごめんね、ごめんね…」
瑞希はそう繰り返しながら、長い間和樹の胸に顔をうずめていた。
「…和樹、ありがとう。ありがとうね」
しばらくして瑞希は和樹から体をはなしてそう告げた。
「もう一人で思い悩むのはよせよ」
「へへ…」
「でもさ…」
そういうと和樹は瑞希の全身を眺め出した。
「お前、太ったなんて言うけど、全然そんな風には見えないぞ。
スカートとかはちゃんとはけるんだろ?」
「え?…まあ、そういえば、そうだけど」
確かに、よく考えてみるとそうであった。
ブラ以外の部分―例えばスカートや下着を着ける際など―
は、今までどおりであって全然きつくはないのだ。
ただブラを着けるときにのみ、窮屈さを感じるのであった。
すなわち、ウエストやヒップは変化がないのである。
ということは…
「和樹…あたし、太ったんじゃないかも…」
「え?」
「胸だけが大きくなったみたい… だからブラ着けるときに…」
「そうなのか!? でもまたなんで胸だけが…」
そこまで言って二人は顔を見合わせる。そしてその原因に思い至って赤面する。
もはや口に出して言わずともわかっている。
二人の夜の熱心な愛の営みのたまものであることを。
「んもーっ、和樹があんなに揉むからじゃないっ!」
「ん? でもまあ、瑞希だしなぁ」
「バカ…」
口ではお互いそう言いつつも、顔には笑みがこぼれている。
これまで二人が一緒に歩んだ道をふりかえって。
そして、これからも二人でともに歩んでいく道に思いを馳せて。
「よーし和樹、今日は一緒に買い物行こ!」
「な、なんでだよ」
「あ・た・ら・し・い・の、買わなきゃ!でしょ」
そうして二人は外に出かける準備をしだす。
―朝の陽射しがまぶしい、いい天気になりそう―
そんなある晴れた日のことであった。
というわけで、和樹君の調教の結果、
みずきちの胸は91→95へと成長したのでした。
巨乳最高!巨乳最高!打倒編集長!
↑これだけがいいたかったんです…スマソ。