332 :
運命は三つ 〜入社希望 新人:
入社希望者「なにとぞ御社での採用、よろしくお願い致します……!
こちらに履歴書と課題作品、お確かめ下さい…」
下川「……………」
河田(人事査定………
行きづまった連中相手の労務契約………
道理でオタクっぽい連中ばかり集まってきたはずだ…)
入社希望者「で……その…、賃金のほうは…?」
下川「契約証書だ……
これに希望給与額を書きな……!」
河田(え…?)
入社希望者(………)
…月給18万…!
下川「………帰んな…!」
入社希望者「…………は……?」
下川「は…じゃねえ! タヌキっ!
中卒で代アニにまで入ってるバカな履歴書持って来て
アホか? おまえは!」
入社希望者「いえ…でも………リーフに採用が決まれば
内定辞退してもいい会社が…………10社ほど……………」
下川「ねえっ!
ねえからこそ、こんな業界まで堕ちて来たんだろう!
そのうえ…大卒新人並みの月18万だぁ…?
ぬかすなっ! 月12万。それ以上1円もまからねえっ!」
入社希望者「そ……そんな月給では……」
下川「クソオタ!
スケベもいい加減にしろっ!
首締まってるくせに駆け引き打つんじゃねえっ!」
入社希望者「……………………」
333 :
運命は三つ 〜原画家 みつみ美里:2001/02/10(土) 23:01
下川「来年度の希望額が年俸一千万……」
みつみ「はっ…………それがギリギリでして……
今はDC版「コミぱ」が出来ていませんが…………
あと…今少し時間がたてば…………」
河田(バカか…! ………とてもムリだ……
月給18万でも足げにしてたんだ…………
一千万なんか、プロ野球の新人選手並みじゃねえかっ……!
メチャクチャいってる…!)
下川「みつみさん………一千万でもきついんだろう」
みつみ「は…?」
下川「…一千二百万でどうだ?」
みつみ「えっ、ほ……本当ですか……?」
河田(………はぁ…?)
下川「原画はやっぱり王様だよ。アニメとDC版が出りゃあ
またあんたらの時代だ……。先行投資しようじゃねえか?」
みつみ「ありがとうございます……!」
(バタンッ…)
河田「……どうしてですか……?
さっきの待遇と全然違う……
助けにまわるなんて…?」
下川「ハハハ……冗談言うなよ……
俺がそんなタマか……
リーフで働こうなんて連中の運命は三つしかねえんだ。
しぼられるか奪われるか
殺される!」
334 :
運命は三つ 〜原画家 みつみ美里(その2):2001/02/10(土) 23:01
下川「最初のオタクはボンクラの無才。
しぼりとるしかなかったが………
みつみみたいな本来、地力がありながら
同人活動にうつつを抜かす連中には
奪いにかかる…」
河田「奪う…?」
下川「契約書に仕掛けがあるんだ……
確かに年俸は一千二百万と高額だが…………
契約書にある、副業禁止規定の違約金てやつが……
一件四百万という暴利なのさ。
ものの一年で…………
違約金は一千万超にふくれあがる…!
それが払えなきゃ、契約の各種条項で
包括的にしばってある奴の同人収益は全て…………
リーフへと流れる……!!」
下川「次…!」
青紫「お願いします………
年俸二百万でも三百万でも………」
335 :
運命は三つ 〜シナリオライター 青紫:2001/02/10(土) 23:01
青紫「ありがとうございます。ありがとうございます」
下川「………青紫………
逃げる気だな……!」
下川「あんたの誰彼はもうとっくに終わっている…
今たかだか二百万の金ひっぱってどうする……?
そんなはした金握って他社に逃げても、その後がねえだろ…………?
ユーザー連中に気付かれないためには………
スタッフロールに名前も出さずに………ひっそり隠れて働くしかねえんだ………
落ち着いてから一発よそで当てようと思っても………あんたは名前も出せないんだぜ……
勝負作は生涯、指揮できない。
つまり、シナリオライターとしてあんた 死んだも同然……!」
下川「お前を東京支社に出す………一年もぐってな!
東京支社のデバッグ業務ならば、一年はもぐれる…………」
青紫「下川さん」
下川「オレが必ず 浮かぶチャンスをやる………! 待てっ……!」
青紫「………下川さん………ありがとうございます。ありがとう……………」
河田(バカな…! この男は同情なんてする男じゃない。それだけは間違いない………
…………なにをたくらんでる………?)
下川「いいから顔を上げて、青紫…………安心しなよ……
あんたはオレが守る…! だから………引っ越したらオレにだけ
連絡先を教えるんだぜ……………!」
青紫「はい………」
(ぞっ‥)
河田(…………)
リーフで働こうなんて連中の運命は三つ……!
しぼられる 奪われる…………
殺される……!!