★★★SS投稿用スレッドLeaf.key板マーク2★★★

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1、心構え編 featuring こみっくパ〜ティ〜

「SSだと?」
 大志がいきなり俺の部屋に現われてそう言うのと、俺がとあるサークルの同人誌に載っていたSSを読んで、
俺も書いてみようかなと思ったのは、ほぼ同時の出来事だった。
「うわっ! た、大志!」
「貴様、SSを同人誌に載せようとしてるのか?」
 大志は同じ科白を二度繰り返した。
(こいつ…、神出鬼没の上に人の心まで読むのかよ…)
 俺は迷惑な友人の人離れ度を再確認した。
「で、本当にSSを書こうと思っているのか、まい同志」
「ああ…、漫画だけじゃなく小説もあれば内容にメリハリがつくかなと…」
「甘ぁぁぁいぃっ!」
 何の前触れも無く大志の声が30フォンは上昇した。
「同人誌にSSを載せるなど言語道断! SSなど、原稿を落とした作家がやむにやまれずページ埋めの為に
知り合いに頼んで転載する程度の物だろうが! 貴様、そんな不抜けた心持ちで同人誌を書こうというのか!
甘い! 甘すぎる!」
 …こいつは今、全国1万2千(推定)のSS書きを全員敵に回したことだろう。
「あのなぁ…、別に楽しようってSS書くわけじゃないぞ、俺は」
「だがな、まい同志…」
「この本だって、上手くSSを使っているじゃないか。見てみろよ」
 と、さっきの同人誌を大志に突きつける。
「ふむ…、確かにそのサークルのように賞賛に値するものはあるな」
 大志は中身を見ずに表紙だけを確認してそう言った。
「そうだな…、それぞれの作家が規定概念に囚われず各々自由に表現していくことこそ同人の基本にして真髄…。
よし、SSを書け、まい同志よ! そして貴様のレゾンデートルを再び世に問うのだぁっ!」
 こんどは40フォンの上昇だ。
「だああ…、わかったからいちいち大声出すなって」
「では、我輩からSSを書くに当たってのアドバイスをいくつか提供しよう」
 聞いちゃいない。
「まずこれだけは覚えてくれ。これさえ知っていれば後は完成したも同然」
「おう」
「そのアドバイスとは…」
「…アドバイスとは?」
「ずばり、『萌えろ』だ」
 上半身が大きく前に傾いた。
「ンなことかよ…」
「ンなことでも非常に重要なことだぞ、まい同志。如何なる創作活動も萌えが根底に無いのなら話にならん!
考えてもみろ、どんな歴史上の人物も彼の取り掛かる行為に萌えであったからこそ数々の偉業をなしえたのだ。
例えば織田信長も天下布武萌えだったからこそ戦国時代の覇者となりえたのだし、その家臣明智光秀も
裏切り萌えだったからこそ警備の手薄をつけたのだ」
「………」
「さらに言うとアインシュタインも鏡と光線萌えだからこそあの有名な相対性理論を生み出したのだし、
ノーベル賞の創始者でもあるノーベルも鉱山萌えだったからこそダイナマイトが世に生まれたのだ。さらに…」
「もうええって」
 俺は大志がヒートアップする前に止めた。
「理解したか? まいぶらざあ」
「理解したよ…。もう十分だろ」
「いや、まだあるぞ」
「………そーですかい」
「では、それ以降のレクチャーは次の発言以降にコピペすることにしよう」
「なんだそりゃ」
2、基礎お約束編 featuring こみっくパ〜ティ〜

「続いてお約束編だが…、これらはどれもSS初心者に起こりやすい現象なので注意してくれたまえ」
「おう」
「まず、発言と段落の扱いだ。発言は知ってのとおりかぎかっこに囲んで表記するものだが、このときは
文頭を一段下げる必要はまったく無い。さらに言うと発言中に改行が入ったときも頭下げは必要は無いな」
「なるほど」
「段落には意味段落、形式段落とあるのだが、まずは形式段落を扱う。形式段落とは内容の流れから文章を
改行して新しい段落を始めることをさすのだが、このときは必ず文頭を下げること。読みやすさなどの関係
から必須事項である」
「ほうほう」
「極稀に文の途中なのに改行が入っているものもあるが、編集上の都合で無い限り避けたほうがいい。
行の最後が単語の途中でどうしても読みづらくなってしまうときは、ワープロやメモ帳についている
編集機能を使うのがいい」
「うん」
「まあ、SSは会話を中心に進行する性質上、あまり意味段落による区切りは存在しないのだが、
覚えておいて損は無いな」
「わかった」
「意味段落とは、小学校や中学校で国語の時間で新しい文に入ったとき、音読させられた後に区切らされた
アレだ。一般的に一行から三行の空白が入ることが多いが、あまりに空白が多すぎると行数稼ぎと思われるので
マイナスとなる」
「ふんふん」
「次に、記号の使用だが…、『!』や『?』、『♪』などの後は一文字分空白をあけること。これには
賛否両論あるかもしれないが、我輩はあけるほうが好ましいと思うぞ。以下に例文を掲載するので
参考にしてくれたまえ」
 大志は白と黒の斑になった紙を俺の眼前に突きつけた。
「…近くて見えねえよ」
「む、すまんな」
 紙片が30センチほど離れた。
『ディシート3Fにまた毒エレが発生してる? よし! ギルドLoL全員突撃だ!』
『ディシート3Fにまた毒エレが発生してる?よし!ギルドLoL全員突撃だ!』
「…なんだ、これ?」
「例文だ。ちなみに名称・地名・団体名等は架空のものだ」
「確かに、空白が空いた方が見やすいかもしれないな」
「わかればよろしい。まあ、この辺は個人の好みの問題もあるからあまり強くは言えないのだがな」
 大志は紙を懐にしまいこんだ。
「あとは誤字・脱字の類だな。特に葉鍵系作品に多用される口癖には要注意といえる。『にははっ』が
『ニヘヘッ』になってしまったら目も当てられん」
「…いくらなんでもそれはないと思うぞ」
 毛むくじゃらのトラックドライバーにでもするつもりか。
「これで入門のおおよそは終わったと思うのだが…、ほかにもいろいろ気にすべきことはあるぞ」
「それは?」
「掲載されるメディアについての気配りだ。たとえばこの発言はおそらく『省略されました』になっている
ことだろう。なっていなかったらひろゆきに感謝だ。まあそうなると集客力が激減してしまうのは
周知のとおりだな。今回に関してはツールを手に入れていなかったAlfoが全面的に悪い。苛むなら
奴を苛むがいい」
「…なんのことだ?」
「それでは、今回のところはこのくらいにしておこう」
 大志は質問に答えなかった。
「それではまた会おう! ははははははは…」
 大志は高笑いを上げながら部屋を出て行った。
「なんだったんだ…、結局」
 そして、部屋にはまた沈黙が訪れた。

 ………つづく、かも。
2、追加

 と思ったら、また俺の部屋の扉が開いた。
「今度はなんだよ…、大志」
「まあ一般論ですまんが…」
 大志はこほんと一つ咳払いをした。
「批判を恐れてはいかんぞ。どんなものでも、発表するならどこかしら批判される可能性があるのは
世の常だ。逆に批判を創作活動へのエナジーに昇華させるくらいの心持ちがなければ
SS書きは続かないぞ」
「ああ…、そうだな」
「もっとも、まいえたーなるふれんどの貴様ならわかっていることだろうがな」
「よっく身に染みてわかってるって、そんなこと」
「そうか、ならいいのだがな。では、とっととサンクリの原稿を仕上げてしまうことだ。もう時間も無いぞ」
 そういって、大志は再び扉を閉めた。
「さて、原稿、原稿と…」