英語の勉強の仕方・16

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7いいめえる
レス7 ● 『ビジュアル英文解釈』および伊藤メソッドの学習法について・その1●
○『英文法のナビゲーター』とは何なのか?
『英文法教室』(研究社)という本がありました。
この本は、それまでの「文法は暗記するモノ」という概念を根本から覆し、
その後の受験英語の在り方を革命的に変えた文法書でした。

ただ、たいへん高度で、高校生レベルで読みこなすのは困難です。
ところで、『英文法教室』のどこが「革命的」だったかというと、
それまでは、文法がいわば「英文を説明するためのもの」だったのに対し、
この本では「英語をアタマから読むための道具」として再編されたのです。

『英文法のナビゲーター』は『英文法教室』をさらにわかりやすくした本です。
もっと正確に言うと『英文法教室』を問題演習化したのが
『新・英語頻出問題演習』その『新・英頻』を講義化した本が
『英文法のナビゲーター』です。
構文演習への橋渡しとしてはこれ以上の本はありません。

○『ビジュアル英文解釈』とは何なのか?
名著『英文解釈教室』は英文中に現れるすべての構文を
5文型の範囲内で説明しています。
また、その構成は「英語をアタマから読むための思考法」ということで一貫します。

ただ、そういった「メソッドの一貫性の優先」の弊害で、
頻度の高い構文も低い構文も同じような扱い方をされ、
頻出の大切な構文なのに数がこなせないとか、
それほど使われない構文なのに数例の例文が上げられるなどの現象が見られます。
その欠点の克服を試みたのが『ビジュアル英文解釈』です。

『ビジュアル』は、それほど無理のないやや量のある英文の演習を通して、
基本的な構文を習得し、既習の構文を使い前よりやや難易度の高い英文で、
次に大切な構文を学ぶという、段階式の演習を試みています。

大切な構文は繰り返し現れ、そうでないものは英文の難易度が上がるにつれ現れるという、
わかる人にはため息さえ出るほど、芸術的ともいえる英文の選択と並べ方をしています。
そして、最後までいったとき、いつの間にか受験に必要な構文は、
その重要度に応じて習熟している、というわけです。

こんな本は他にはないし、たとえ伊藤先生に「もう1冊書いて欲しい」と言っても、
できたかどうかさえ疑ってしまうほど、奇跡的なツクリだと思います。
8いいめえる:2001/04/28(土) 07:46
レス8 ● 『ビジュアル英文解釈』および伊藤メソッドの学習法について・その2●
○『ビジュアル』と『英文解釈教室』との違い
『ビジュアル』は偏差値50以上くらいから問題なく使えますが、
『解釈教室』は最初から60以上を要求します。
また、『解釈教室』はほとんどの構文を網羅した 構文博覧会的な本なので、
どこをやっても、あるいは どこで挫折しても、やったぶんだけの力がつきますが、
『ビジュアル』は繊細に作り上げられた積み重ね式の本なので、
途中で止めると効果が半減以下になってしまいます。
最後まできちんと積み重ねないと意味がありません。

もちろん、どちらも受験生のトップをねらえる本です。
ただ、『解釈教室』のほうが最終的なゴールは高いと思います。
理屈が好きで語彙力も自信がある まどろっこしいのは嫌いというなら、
もちろん『解釈教室』でもいいのですが
『ビジュアル』のほうが万人向けなので、
このスレッドでは『ビジュアル』を中心にお勧めしています。

※『ビジュアル』の勉強の仕方
全訳できれば、全訳したほうが効果があるのは間違いありません。
しかし、時間がかかりますし、挫折しやすいかもしれません。
その際は次のやり方をとってください。

1. 最初に辞書なしでひととおり読む。
2. 次に辞書を使って読む。
(2も、キーワードのみ引くのと全部引くの2回をやる効果的ですが、
しんどかったら1回でかまいません)
3. 辞書を引いてもわからない部分に下線を引いて紙に訳す。
4. 3を解説の全訳と比べる。

ここまでやれば、全訳するのにも効果はひけをとらないはずです
9いいめえる:2001/04/28(土) 07:47
レス9
※伊藤メソッドにおける「文型」の考え方
 まずは文型をきちんと覚えることです。まずは解説を追いながら例文を確認し、
その例文のなかだけで、「文型という現象」を確かめることから始めてください。
「現象」というのは、伊藤メソッドだとSVXでSとXの関係がどうなるとき、
XがO(あるいはC)になるのか、
SVXXで2つのXXのあいだにどんな関係があれば、
OO(あるいはOC)になるのか、そこに尽きてくるはずです。

なぜO=C(「主語+述語」の関係)であること知っておいたほうがいいかというと
1つは、それが核の意味となってニュアンスがとりやすいから、
もう1つは、長い文章の時に対処できる、の2点の長所があるからです。

たとえば使役動詞だと 、
have O C「OがCである状態を持つ」→強制の度合いが低い
make O C「OがCである状態を作る」→強制の度合いが高い
let O C「OがCである状態を許可する」→相手の意志を許すニュアンス
というように、核になる意味から把握できます。
また、get O to Vだと「OがVすることを得る」で
またtoはもともと前置詞toが元になっていますから
「そういう方向性に進むことを得る」という核となる意味がつかめます。

makeを「作る」「〜に…を作ってあげる」「〜を…にする」と
文型によって意味分けするのは最初はいいですのが
実際に骨のある英文を読むのには妨げになります。
たとえば英文中でmadeを見て「作った」と考え、
次にあるmade me…という部分でSVOCを想定したとします。
すると次に「ワタシを…にした」と考えを変えなければなりません。
で、次を見ると、made me a pretty dollとなっていたとします。
すると、前の考えを捨て「ワタシに美しい人形を作ってくれた」
とまたまた動詞の訳語を修正することになります。

短い文章ならこの程度で問題ありませんが、長い文章だと
こんな感じで修正していくとかなり時間を食ってしまいます。
いちいとmadeの訳語を変えるところから出発しなければならないからです。
むしろ、madeを見た時点で「何か作ったんだな。何を作ったのだろう」と考え
me a pretty dollを見て「<me がa pretty dollを持つ状態>を作ったのか」
とすぐに意味がとらえられます(SVOOの2つのOにはhaveの関係があります)。

SVOC、たとえばmade me sickなら「<meがsickの状態>を作ったのか」となります。
このように考えれば、makeの訳語は「作る」だけでOKで、
どんな文型であっても、SVOの英語を読むように理解でき
アタマから1回で読み進められるようになれるというわけです。
10いいめえる:2001/04/28(土) 07:48
レス10 ● 学習効果を高める方法/音読の注意点
※学習効果を高める方法
学力の向上には3ヶ月、おそければ6ヶ月くらいかかるが普通だと言われています。
もちろん「知識問題」なら覚えるだけで解けるようになりますが
それ以外の長文読解などの力をつけるには本格的に勉強をはじめて
やはり3ヶ月くらいはかかるものだと考えてください。

なぜそうなるかというと、「わかる」には2段階あるからです。
まず、「知る」段階。本や授業で解説を受けて「なるほど」と思うことです。
そして、次がその知識が「身につく」段階になります。

「身につく」とは、たとえば英文を読んでいるうちに、前に本や授業でやったことが
「あ、そうか! こうやればいいのか!」と言葉の理解を超えたところで
理解できることです。この段階を経てやっと学力は向上します。

これはまさにひらめきと言うべきモノで
「!」としか表現できません。自転車に乗れる、泳げるなどのことに
近いと考えてください。自転車に乗れないのと乗れるのときの大きなカベがあり
それを1回乗り越えれば、たとえ十年自転車に乗っていなくても
乗ってみたらやっぱり乗れた、そういう身につき方のことです。

このレベルの「!」の理解を得るには、結局、問題演習で繰り返すしか手がありません。
ではどうしたら、「!」までの期間を縮めることがデキルでしょうか。
理解のための学習のあと、すぐに問題演習を大量にやることです。
不定詞の3つの用法について理屈を覚えたら、
不定詞の3つの用法についての例文を2@`30個程度問題を20問以上、
まとめて読み、問題を解いてみてください(数は一例です)。
理屈(=解説を読むこと)と演習(=例文と問題演習)の割合が
だいたい3:7から4:6くらいになるのと理想的です。

なお、伊藤メソッドで勉強するつもりであれば
たとえ地方で、通っている学校が進学校でなくとも
英語では東大京大の医学部レベルまでの対応はじゅうぶん可能です。
習得に仕方にも一貫性がありますので、レベル別に現時点の実力に応じて本が選べます。

ただし、伊藤先生の本、レファレンス用の文法書、学習辞書
月1回程度の模擬試験(河合塾がベストか)、わからないところを質問できる人
の5つは必ずそろえるようにしてください。
コツは「全国のなかの自分」をつねに意識することです。

※音読の方法
まず1つには、意味の切れ目でひと呼吸置くことです。
うまくいかない場合は、音読する前に自分で意味のカタマリごとにスラッシュを入れ
そこでひと呼吸置くようにしてみてください。
最終的にはスラッシュがなくても自分でポーズがとれることが目標です。

次に、単語1つ1つのアクセントは正確にとれているでしょうか。
それぞれの単語のアクセントがなく平板に読んでしまうと
うまく読めないことが多いので、アクセントはきちんと調べるようにしましょう。

そして、強く読む単語と弱く読む単語の強弱にも注意してください。
前に情報がなく初めて出てくる情報の単語は強く読みます。
冠詞や前置詞などのいわゆる機能語は弱く読まれます。

それとリエゾン(音がつながる現象)の問題もありますが
これは最初はそれほど注意しなくても良いでしょう。
(リエゾンを意識すると意味をとるのがおろさかになるおそれがある)
むしろ、ごまかしなく1つ1つのアクセントをきちんと読み
アタマから意味のカタマリごとに理解しながら読むことが大事です。

あとは繰り返しです。