イエズス会のメディナ神父は、韓国教会の起源を1784年、李承薫が北京で
洗礼を受けた時とする韓国の通説は、その192年前の豊臣秀吉の朝鮮出兵
が契機となって展開してきた「韓国カトリック前史」を意図的に無視してきた
「フィクション」だと断定した。通説に固執するのは「ロマン的、過剰の愛国心を
鼓舞せんがための反歴史的主張」であると結論付けている。
韓国人が反発する背景には「日本教会史の周辺話を韓国教会史の起源に
することはできないという自尊心の問題」がある。韓国で最も嫌われている
日本人、豊臣秀吉が皮肉にも韓国にキリスト教を植え付ける間接的な契機と
なったことは、それが「神学的に意味のあるカトリック教会の創立につながった」
ことだとしても、感情的に承服しがたい、というのが一般的感覚だからである。