海外債権を保全しきる手段は事実上存在しない。
割り切って、債権持合は世界安全保障費の負担の一部と理解するほうがいいし、
ペイの見込みの薄い、しかし義務として果たさねばならない先行投資と
みなしたほうが気楽で建設的。
「とにかく幻想に終始する」世界経済の3本足の一端を担いつづけるのが、
日本の現在の、そして今後の配役。
実際、自転車操業状態はどの先進国でも続く。今はまだ、消費社会幻想、
既存の資源規模(十分な量の搾取対象)と技術革新に支えられてはいるが、
パイの大きさ・成長度が陰りを明らかに見せた途端、崩れる可能性は高い。
そもそも、軍事力でこそ外交関係を保全できると考えるから無理がある。
力の大きい存在が劣位の存在を搾取するのは真理。
既定の条約などによる既得権を外させることが横車を押す行為であることも事実。
従って日本の核装備はかなり非現実的な選択肢。
でも、軍事力は低位(ハイコスト・ハイリスク・ローリターン)の「均衡調整手段」。
日本がそこを不得手とする以上は、そこにはできるだけ触らずに、
法運用闘争、立法闘争、マスメディア闘争、情報管理闘争で緊張を代謝するほうが、
リーズナブルだし、効率も良く、効果的。
ただ残念なことに、これらの新「戦争手段」においてはアメリカが
どの国よりも2歩先んじているのも事実。例えば官民一体となって特許確保に
励んでいるし、法律適用における恣意性の正当化にも長けている。
なにより、彼らはルールメイカーで在り続ける。
だからアメリカは、将来の日本にとっても最大の目の上のタンコブであり続けるだろう。
つづき
今後劇的な展開が東アジアで起きない限り、または、
明確な圧迫を日本世論が感じない限り、現状維持路線を歩むことになるだろう。
必要に応じて資本や技術を上手に小出しにしつつ、発生問題には譲歩案を提示、
妥協点を見出し、「金持ちけんかせず」を貫くしか日本に選択肢は無い。
結果として国力のストック(資本・技術など)はどんどん削れてしまうが、
その分もっと作り出せばいいし、また、多く作り出せなければならない。
つまり、例えば債権を保全する手段としての核武装が有効であると
結論される状況において、それをしなければならない状態になったなら、
核武装は必要な選択だろう。(必要十分な選択とは当然いえない)
ただそうなったとき、それは、世界経済の半壊を意味しているのかもしれない。
「母体産業国家」としての日本は既に破綻している最悪のシナリオ。