533 :
奇特人:
>>528 "来る者拒まず 去る者追わず”
で嫌なら付き合わなきゃいいの自然体を通している健坊。
自分にも甘いが、他人にも寛容なところがある。
まあ、そんなところが魅力となって、品川じゃ兄ィとして、そんじょそこらのヤクザ
モンより畏敬されているのだが、その度量の深さを改めて知らしめた事件があった。
なんと、サブと赤シャツが鉄兵をとっ捕まえてきたのだ。
「このクソ暑いのに江戸川くんだりまで行ってられるか」
と誘った健坊に断られ、2人だけで江戸川競艇場に行ったのだが、オケラにされての
帰り路。「船堀駅」でバッタリでくわしたんだそうな。
逃げ足早く踵を返して一目散の鉄兵を、300メートルほど追いかけやっとの思いで捕ま
えた2人。
銀座のウインズで払い戻した健坊の金を、フトした油断で200万円持ち逃げされたサブ
にとっちゃ安目を売らされているだけに恨み骨髄だ。
「太え野郎だ!」
てなもんで、殴る蹴るでばっちり締めちゃったらしい。
「もうそのぐらいにしとけば・・・」
赤シャツが止めに入らなければオロク(死)になっちまうほどの激しいもの。もちろん
鉄兵は抵抗することも無く、殴られつづけたそうな。
534 :
奇特人:2001/07/22(日) 09:32 ID:???
「これから鉄兵を連れて帰ります」
の報告を受け「再開」で待っていた健坊の前に引きずり出された鉄兵の顔はザクロ状態。
「スミマセン・・・」
土下座して蚊の鳴くような声で謝る鉄兵。
しばし無言で、それを見ていた健坊。
「わかった・・・もういい。サブ!顔を冷やしてやれ」と言っただけで、マスターにビール
を注文した。
まさか、グシャグシャになってる鉄兵を健坊自らもう一度シメるとこもあるまいが、と
心配そうに成り行きを見守っていたマスターもほっとひと安心。
「傷に障るから半分だけ飲め・・・」
グラスを鉄兵に手渡してやる健坊。
泣きべそ掻きながら口をつける鉄兵。よほどしみるのか顔をしかめた。
「俺はもう忘れた・・・サブと赤シャツに謝れ・・・あとはお前の好きにしろ。品川に
残るもよし、どこかへ行くもよしで、お前が判断すりゃあいい・・・」
しばし沈思していた鉄兵。
「・・・図々しい奴だと思われても、もし許していただけるのなら・・お願いします・・」
健坊、サブ、赤シャツ、そしてマスターに順繰りに深深と頭を下げた。
535 :
奇特人:2001/07/22(日) 09:33 ID:???
「ヨシ!決まった・・それから他の連中も薄々事情を知ってるようだから、金はちゃんと
持って戻ってきたということにしといてやれ・・わかったな」
念を押す健坊に、こっくり頷く2人。
もともと、2人にとっちゃ可愛い弟分が帰ってきたのは何かと都合がいいから異存は無い。
そこへ留公が入ってきた。
アレッってな顔で鉄兵の顔を見たが、ひどい人相を見て納得したのか、黙って頷いてる。
「新潟はどうだったんです・・・」
メーンの「朱鷺S」せっかく1番人気のビハインドザマスクを消しながら、ロードキーロフ
から狙ってタテ目を食ったのは知ってる留公。馬券そのものよりもお楽しみがあったかどう
かの質問だ。
「どうってことねえよ。9レースの瓢湖特別の6番8番チュウシングラとユーワシーザー
を堅いと見て、1点で10万取ったから、たいしたガミじゃなかった」
と答える健坊。
日曜の晩、福島で拾った京子なる女の勤めるスナックで、大散財。
「京子ちゃんから聞いてます。お金持ちなんですってねぇ・・」
なんてニジリ寄られ、見栄もあって、
「ウイスキーはロイヤルハウスボールド入れてくれ・・それと景気付けにドンペリの白を
2本ばかり開けようか・・」
鼻の下を長くしちゃってのお大尽遊びだ。
536 :
奇特人:2001/07/22(日) 09:38 ID:???
店がハネたあとは健坊、女のアパートに直行だが、サブと赤シャツは泊まるところが
なく「健康ランド」でゴロ寝してたそうな。
「新潟の外回りは直線が659mもあるから迫力があって面白い。それに千mの競馬も、横
一線になって思わず声が出る」
今週もムロン新潟へ行く肚のようだ。
「信濃川特別は、かなり自信がある鞍ヨ・・・左回りのほうが得意なホッカイローツェの
軸は鉄板で、ヒモはウイニングワールドを厚めにマイネルデスポットにイケハヤブサを
押さえりゃ、ハイお帳面のレースだ」とのご託宣だ。
なんでも厚めのウイニングワールドとの4-7に30万、押さえ1-4 4-8に10万ずつ
の50ヶ勝負だとか。
まだ懐には200チョイあるみたいだが、馬券でやられ、スナックで散財、女に小遣い
などとやってると、すぐ底をつくのは必定。
一度は許した鉄兵に、
「半分くらい返せ」
などと男を安くしないことを祈りたい。