〜夕顔の巻〜
ヒガシ源氏(=光源氏)は病気の乳母・メリーさんの見舞いに行きます。
家の前で待っていると、夕顔の花が咲いているのが見えました。
お付きのジュニア(=随人)に一房折ってこさせます。
その時、隣家から少女が出てきて、「これに乗せて差し上げてくださいませ。
風情のない花ですから」とジュニアに扇を差し出しました。
扇はヒガシ源氏の手に渡りましたが、しばらくそのままにされていました。
ヒガシ源氏は病気の乳母に優しく話しかけます。
「メリーさんの調子が悪いと心細いよ。もっと僕が出世するところを見てください。
僕は幼くして母上と死に別れたから、メリーさんを頼りにしてるんですよ」
さすが天性のホスト、ばーさん相手でも甘い言葉を忘れません。
乳母の見舞いを終えてから、ヒガシ源氏は先ほどの扇を取り出します。
移り香がしみ込んだ扇には和歌が書かれていました。
『もしかして貴方様ですか? 美しいお方』
ヒガシ源氏は扇の持ち主にたいそう興味を持ったのでした。
〜続・夕顔の巻〜
ヒガシ源氏は光子御息所(=六条御息所)の元に通い、たいそう熱心に口説いていたのですが、
相手が自分になびいてからというもの、熱は冷めておいででした。
そんな折、ヒガシ源氏は扇の持ち主・植草(=夕顔)と懇ろな関係になりました。
植草は素性を隠しており、ヒガシ源氏も身をやつし、覆面をして通います。
植草はひたすら優しく無邪気で、ヒガシ源氏はなぜ自分が植草にひかれるのかわからぬまま
通い続けます。互いに正体を明かさない不思議な関係です。
ヒガシ源氏は植草を自分の別荘に誘い出しました。
ヒガシ源氏はここで覆面をとり、「僕の美しい顔はどう?」と歌を詠みかけます。
植草は「美しいと思ったのは目の錯覚だった」と言い、自分の正体はあくまで隠し通します。
二人で仲良く語っている時に、ヒガシ源氏はふと「光子御息所は僕を恨んでいるだろうなぁ」と
光子御息所を思い出してしまいました。
その夜、枕元に物の怪が現れ「私が素晴らしいと思い申し上げているお方の元へは通わず、
こんなつまらない女に熱をお上げになるなんて!!」と植草の魂をさらっていきました。
ヒガシ源氏は嘆き悲しみ病気になります。
そして、実は植草は錦中将(=頭中将)の昔の恋人で、二人の間に幼い娘がいることを知りました。
ヒガシ源氏は何とかして植草の忘れ形見を引き取りたいと思ったのでした。