柳沢ってだれだ?Part3

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108MY
すっかりご無沙汰しております。m(_ _)m  (といっても数日抜いただけか..爆)


Part2 #596@` #597 「医局の意向」

>反面、それ以外の人は本当に研究能力がないのかどうかっていう疑問も沸いてくる。

もちろんそうです。医局人事に嫌々ながら甘んじている者の中にも、研究能力の非常に優れた人が居るからこそ、俺は現状を憂えているのです。前にも書きましたが、例えばアメリカ滞在中に明らかに第一級の基礎研究をしていながら、そして、その業績をもってすれば日本でも医局人事に従わなくても(基礎でポジションを確保するなりして)十分にsurviveして行けると思える人が、本当に信じられないようなドサ廻りをさせられている。もちろん本人の素直な意向に反してです。これもちろん、そんなことをさせるアホ教授が一義的に悪いのは明らかですが、俺としては、そういう人たち自身に、もっとワイルドなambitionを持ってほしいなと思うのです。MDだったら割の良いmoonlightingだって出来るわけで、大学に居る限り、基礎だろうが臨床だろうが実質収入もたいして変わらないでしょうし。


Part2 #600 机の廻りの几帳面さ

あははは。面白い質問をありがとう。俺は元来、けっこう几帳面な方だと自分では思っているのですが、1年ほど前までは、俺のオフィスは忙しさにかまけて散らかり放題でした。しかし昨年の今頃だったか、一年発起してオフィスの大掃除をし、観葉植物や、種々coolな置物や、Sonyのbookshelf stereoなどを入れ、(自分としては)非常にcivilizedなオフィスに変身させました。やはりオフィスが片づいているのは気持ちがいいもんですね、仕事場に居るのが楽しくなります。お客さんも誉めてくれる(?)人が多いです。(^^)


Part2 #602 再び医局人事について

>医者として生きていくには 医局人事に従うしかないっていうのは、どのくらいが現実で、
>どのくらいが「世の中そういうものだ」という幻想めいた「常識」なんでしょうか。実際、
>レールから外れることは経済的安定性の面では不利でしょうけど、それよりも世間体みたい
>なものもあるんじゃないでしょうか。まるっきり生活ができなくなることがあるのですか?

少なくとも、俺が上記で憂えて居るような、本当に研究能力のあるphysician-scientistたちは、医局人事などに従わなくても十分に一匹狼として生きて行けます。今現在、ヘンな立場に甘んじている有能な「研究者」を沢山知っていますよ。もちろん、一度自分で研究を試みたけれでも、どうも芽が出ない、自信がもてないと自他共に認める者も沢山いるでしょう。そういう人が、医局人事に忠実に動いて自分の立場を確保しようと努力することは一向に可笑しくないと思いますよ。でも、そのレベルをはるかに超える研究能力のある人が、それと同じレールを走るのは、俺はどこか「誤っている」と思うんです。


Part2 #607; Part1 #680 医学部卒業時点での俺の進路選択について

これ、長くなりそうなので、また今度なー。
109MY:2000/11/10(金) 15:22
Part2 #608 アメリカの初等教育

うちの娘たちが今受けている教育を見て、つくづく思うこと..

(1)自ら調べ、自ら学ばせること。事実ではなく「事実を学ぶ方法論」を学ばせること。
(2)口頭・文書によるプレゼンテーションの重視。自分の意見を相手に伝える訓練。

この2点が、アメリカ教育の(日本に比べて)際だった特徴だと思います。両者とも、大人になって社会に出てから、与えられた場で自分の能力を十二分に発揮するための、いわばsurvival skillsですよね。特に中2の長女がやらされていることを見ると感じますが、とにかく毎週、物凄い分量の文章を読まされ、かつ書かされますね。その上に、学校の授業は(俺が見学した限り)全て生徒の参加・発言を非常に重視しています。「素晴らしい先生」といわれている先生は、だいたい生徒同士のdiscussionを上手にリードしてゆくだけで、自分では何も「教えない」のです。

もちろん、アメリカの教育は、底辺を見たら悲惨なものがあります。幸いうちの娘はprivate prep-schoolに通っていますので、上記は、まぁアメリカ教育の良いところだけを見てきた感想と言っていいでしょう。ちなみに長女の学年は、科目によっても異なりますが、だいたい1クラス15〜20人です。アメリカの私学は月謝もかなりのもので、うちの学校は一人年間$10@`000近いです。(涙)


Part2 #612 大学院構想など

>大学院構想はそういう問題点を解決を目指すものであれば良いかもしれません。研究費を使える身分を
>ずっと絞り込んで、「背水の陣」の覚悟で飛び込む人間にのみ研究をさせる。

俺の意見は、FORCEPSさんとは少し違っています。研究費を配分する人口を最初から絞り込むのではなく、芽の出そうな若い研究者(30〜35歳くらいの人々)を注意深く選び、むしろ最初の3年間程度、ガタガタ細かいことを言わずにgenerousに研究費を与える。そこで成果の出ない者、あるいは成果に繋がりそうなprogressを示さない者はどんどん切り捨てるのがいいのではないでしょうか。その一方で、他の人もたびたび言っているように、established investigatorsに対する評価を、たとえば5〜7年ごとに厳しく行い、ダメな者はやはりどんどん切って行かなくてはと思います。そこで生じた余剰金を、若い人に廻すというわけです。とにかく、国立大学における国家公務員法を改正して、大学への「永久就職」制度を撤廃するのが第一段階ですね。65歳定年、大いに結構と俺は言いたい。ただし、「成果がコンスタントに出ていれば」という大きな但し書き付きでです。Furchgottがノーベル賞に至る内皮由来弛緩因子の仕事をしたのは何と67歳の時でした。


Part2 #615 学生インターン

>ただアメリカのシステムでよいと思うこととしては、(学生が望めば)
>早い段階から研究の空気に触れることができることだと思います。
>例えば、高校生が夏休みの間、大学の研究室に滞在して、ちょっとした
>実験をしたりできるプログラムがあります。もちろん、たいしたことは
>できないんですが、同じ頃日本の高校生が予備校の講習に通ったりして
>いるのよりは有意義だと思います。

そう、そしておっしゃるように、そういった高校生の時のインターンの経験が、大学入試でものを言うし、大学学部生の時のインターン経験が、大学院入試でものを言うのが、アメリカのシステムです。アメリカでははっきり言って、一流の大学(院)に入ろうと思ったら、分野でのなんらかのインターン経験が必須です。たしかに、そういった「点数」として定量的に表しにくい評価を取り入れた入試では、ともすると結構ダメな学生も入学させてしまい勝ちかも知れません。でもそれは、彼らをおいそれとは「卒業させない」ことでカバー出来るわけです。やはり、日本の大学(院)の、「入った者勝ち」、有名大学でもよほどのことがない限り「必ず卒業できる」制度は、絶対に改めるべきと考えます。