竹入元公明党委員長

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12無党派さん
その”人間革命”より
小説人間革命(下) 戸田城聖著 政教文庫 〇〇二六 (57刷)
(初版のタイトルは単に”人間革命”、大作がかってにタイトル変えた)
P106から
「現在は、国運が衰えてきたようだけど、かつては広大な領土を全世界に持ってい
て、日の没しない国と誇っていた英国と、逞しい開拓精神と巨大な製産能力とをもっ
ている米国を相手の戦争は、文字通り、前線も銃後も一体の総力戦になる」
牧口常三郎の薄い眉毛の下で炯々と光りだした眼は、緒戦の戦果に酔っている者へ
冷水を浴びせる眼であった。
「立上がりの一突きで、相手が土俵を割って、それで勝負がつくのは、国技館の相撲
だ。死命を制するまで闘争を繰返すことになると、全体の力がものをいう。緒戦の戦
果に安心できない所以だし、この牧口の眼には、華々しい戦果に酔って、早くも、国
民の間に、米英を見縊る傾向が現れたのが映っている!」
牧口常三郎が烈しい語調でいって、おつやが汲んでだした茶を呑むと、創価学会の
幹部たちの中にも、鼻白んで顎を撫でる者、顔を見合わせて首を竦める者などがあっ
た。
1312の続き:2001/07/25(水) 05:38
「仏法が乱れて体の曲がっている日本、歪んだ影の国民の間に、この傾向がひろがる
と、真剣なものを奪ってしまって、国運を賭したこの戦争を、桟敷で酒を呑みながら
見物している国技館の相撲のように、戦争は軍部と兵隊がして、国民は高みの見物に
なる! それでは勝てない。ことに日本は中国を相手に戦うこと五年で、国力を消耗
しており、満を持して欧州の戦乱にも参戦しないでいる米国との力には大きな開きが
あると見るのは、具眼者の常識なのだ」
森田正一の両眼が凍ったように光っている。
緒戦の戦果を華々しく輝かしいものに受取り、有頂天になっている者は巷に溢れてい
て、牧口のように冷静で深刻な観察をしている人を、全然、見ないからであった。
「だから、この大東亜戦争は、一年の後か、二年の後か、それは測れないが、容易な
らない難局に突入するであろうが、有難いことに、森田君も、諸君も、この牧口も、
比類のない信仰を持って、大御本尊さまの御加護をいただいている。われわれは日本
が難局を乗切るために広宣流布に挺身するから、森田君は、御本尊さまに一切お委せ
して、前線で、悔いのない働きをして下さい」
牧口が正一に激励の言葉をはなむけ、学会の幹部たちと引揚げて行くと、しばらく
して電燈がともり、町内の有志や在郷軍人関係の人や隣組の人たちが集まってきた