ときめきトゥナイトのエロネタを語るスレ Part2

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564柚子(仮)
『もうひとつの純愛』…(照

他に人気のない冷たい石造りの洋館に
そこだけ熱い息遣いが交差する。
透き通るような白い肌、光を集めたような金色の髪。
2人の間に共有されるのは、血と、今この時間。
その共有する血の証のひとつである緑色の瞳は
体を重ね合わすこの時ですら絡み合うことは稀だ。
ただ本能の為に。
欲望の赴くがままに求め合う。
ひとしきり淫らな時間を費やし、男はいつものように煙草に火を点ける。
先程までの情熱などなかったことのようなポーカーフェイス。
彼はまた彼の世界に戻ってしまった。
「ねえ…」
情の残る女の手が肩に触れようとするが、冷たく払い除ける。
女が微笑う。
「相変わらず…身体は許しても心は許してくれないのね。」
「ナディア。」
煙草を消し、シャツを羽織りながら立ち上がる。
「私は無駄口は好きではない。」
「わかってるわ。あなたの事は私が一番。」
返事はせず、身支度を整え男は扉のノブに手をかける。
「また来る。」
ドアの向こうに消えた男の遠ざかる足音を聞きながら女はさびしく微笑む。
(心を許してくれなくてもいい。ただ、必要とされるのなら。)
ローブを羽織り窓に寄り走り出す車のヘッドライトを目で追いながら。
思わず男の名を漏らす。
「ダーク…。」
565花と名無しさん:2001/08/07(火) 20:35
続き続きageage
566柚子(仮):2001/08/07(火) 20:52
…あげちゃった…(滝汗
>>564続きデス。

自分の屋敷に戻ると部下が奇妙な異国の男女と向き合っていた。
銃弾をものともしないとは。
応接間に通し必要なだけ言葉を交わし席をはずし様子を見る。
書棚から一冊の本を手にした男が言う。
「いったい奴は何物なんだ。」
(゛何物なんだ゛か――。)
自室に戻りソファに腰掛けワインを注ぐ。
ようやくまわりの喧騒から逃れ落ち着ける時間に戻った。

冷えた空気と変わった形の十字架のようなものが立つ場所に彼は立っていた。
珍しくはない。また、この夢だ。
景色が消え去り、不思議に思い振り返ると見たことのない少女が座り込んでいた。
長い漆黒の髪を持つ異国の娘。
「おまえは誰だ。」
言葉が通じないらしい。
自らを指差し名乗る。
これだけは理解したらしく少女の顔の緊張が解け笑顔が浮かぶ。
「―――ランゼ。ラ・ン・ゼ。」
少女の名前らしい。
「ランゼ…。」
初めて会ったはずなのにどこか懐かしく、とても惹かれる。
これは何だ―――?
何故こんなにも心引かれるのか。
彼には珍しく身の上話を口にする。
言葉が通じないとわかっていながらも
彼女がそこにいてくれるのなら。
「何故だろう。私は以前からおまえを知っていたような気がする…。
 どうして、こんなに愛しいと思うのだろう。
 おまえは何処から来たのだ。」
先程の客人と部下達のやりとり。見つめる自分の姿。
少女は何かを叫びながら駆けて行った。

(…。うたた寝をしていたか。…不思議な夢。……!人のいる気配!)
銃を取りソファの後ろに回る。
目に入る長い黒髪。
そこには少女が横たわっていた。
(……この娘だ…!)
567花と名無しさん:2001/08/07(火) 23:06
っはぁ!(・∀・)イイ!
カルロ様萌え〜
568花と名無しさん:2001/08/07(火) 23:35
カルロ様、この先どうなさるおつもりなんだ!?
569柚子(仮):2001/08/08(水) 01:09
>>564
>>566続きデス。

ナディアはとある部屋の窓辺に佇んでいた。
今まではあまり立ち入る事を許されなかった部屋。
しかし今はそれを阻む者はいない。
部屋の、いや、この館のどこにもその存在を残しながら
どこにも存在しない。
この館は主を失ってしまった。
空虚が建物中を支配している。
亡くしたものの存在の大きさをあらわすが如く。

「ダーク。」
「…ナディアか。」
ソファに腰掛けるカルロの背後に回りナディアはおぶさるように腕を回す。
「あんまりご無沙汰だから私の方から来てしまったわ。
 どうしていたの?誰も教えてくれないんだもの。」
「………。」
無言の答えにナディアは身体を離し、もう一度カルロの前にまわる。
「そうね。無駄口は好きじゃないんだったわね。」
甘い視線を絡ませるようにしてカルロの首に手を回し
彼の脚を跨ぎ向かい合わせに座る。
首筋に口付けようとすると、カルロの手が制する。
「もうこういう事はやめだ。」
「…え…?」
カルロはナディアの肩を掴んで離し、ソファから立ち上がる。
「私には心に決めた女がいる。」
まるでそこにその相手の姿を見ているかのように
今までナディアが見た事のない優しい表情で語り始める。
「優しい娘…。弱いけれど強い…。
 長い黒髪、ひたむきな瞳…。
 愛しい女 ランゼ…。」
一度結婚した相手の時はこんな表情を見せた事はなかった。
暖かく、儚い笑顔。
「…そ…う。あなたらしくないわね、ダーク。」
「フ…自分でも驚いている。…それに…」
「それに…?」
「私は不能になってしまったようだ。」
「そんな…!」
出かかった言葉を飲み込み、ナディアは部屋のドアに向かう。
「せいぜい頑張るのね。その女を振り向かせるように。」
背を向けたまま言い部屋を出て後ろ手に扉を閉める。
その瞬間に涙が溢れ出した。

(バカだわ。あんな顔をして…!)
あの時のカルロの儚い微笑を思い出しながらソファに手を掛ける。
(遠い異国で独り命を落して遺体すらも残らず…。)
涙が頬を伝う。
(どんな風に最後を迎えたのか…。
 こんな事ならどんなに格好悪くても正直な気持ちを伝えるべきだった…!)
涙は後から後から溢れ出す。
窓の外の空に視線を移す。
(ねえ、ダーク。あなた幸せだった?)

―――――
終わりデス。
スマソ。主役はカルロ様じゃありません(汗
しかもエロじゃない…(大汗