トゥルーラブストーリー☆補完妄想スレ

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350登場人物

 舞台背景

なかよしルート瑞木あゆみ 告白後3ヶ月
つまりは6月下旬です。

 登場人物

 <瑞木あゆみ>
 主人公より一つ下の陸上部マネージャー。
 主人公の薦めで一年間温めた想いを
 木地本武史に告白するも受け入れられず
 自暴自棄になっての球技大会サボリ中
 心配して探しに来た主人公に叱咤され、立ち直った。
 色白で髪は腰まであるストレート。
 内気、引っ込み思案。
 思いこんだらとことん、というところがあるような。


 <木地本武史>
 主人公の中学以来の親友。陸上部では短距離。
 キザだが面倒見よさそうな良い奴。
 趣味は女の子に声をかけて回ること。
 存在そのものがかなり「濃い」が、特に後ろ髪はうざい。
     
 <君子>
 主人公の義理の妹。主人公と一緒にこの春青葉台から転校した。
 主人公にどの娘との恋愛が進行しているか教えてくれるが
 それ以上アドバイスしたり、誰かとくっつけようとかしない辺り
 なかなかに奥床しいと思う。
351登場人物2:01/10/01 01:24

 <七瀬かすみ>
 主人公の幼なじみ。君子の親友でもある。
 過度の少女趣味。音楽部。
 主人公には絶対の信頼を置いているらしく特に従順。
菓子作りの腕はプロ級らしい。
 おそらく主人公を好きだったのではないか、
 と思わせる節がある。
     
 <波多野葵>
 主人公とは中学以来ウマが合うケンカ友達。
 七瀬かすみの親友。
 中学はテニス部で有望な選手だったが、
 高校では演劇部で男役を演じることが多い。
 家は寿司屋で、飼い犬の名はまぐろ。
 波多野が寿司屋を継いだら美味しんぼの夏子さんみたいになりそうだ。
 改心前ほど荒っぽくもなく改心後ほど丁寧でもなく、中間くらいで。

 <森下茜>
 バスケット部。水際だった美人で、勉強、運動共に出来る。
 陽気で話しやすく、つまらないことでも一緒に笑ってくれるので
 男子に圧倒的な人気があるが
 交際には奥手で撃墜王の異名を持つ。

 <安藤桃子>
 テニス部。
 勉強、ルックス、運動神経と非の打ち所はないのだが
 ちょっと近寄りづらい雰囲気を漂わせている。
 中学時代、テニスで波多野に敗れて以来
 リベンジの機会を窺っているが……

 <丘野陽子>
 超高校級スイマーだが、天真爛漫すぎてトラブル多し。

 <香坂麻衣子>
 この春青葉台高校を卒業し、現在は教職を目指して勉強中。
 元家庭部。常識が少しばかり欠けてそうだが、
 ほんわかした彼女の前に出ると責める気も失せてしまう。
352この時初めて1:01/10/01 01:25

「先輩…」
「あゆみちゃん…」
あゆみちゃんが目を閉じてそっと顎を差し出す。
日中でも厚いカーテンがかけられたままの部屋。

曇り空の今日などは、今が何時であるかもわからない。
それでも毎日グラウンドに立ってる割に焼けないあゆみちゃんの白い顔と
明るいところでは桜色そのものの唇はその存在を強烈に主張している。
家具のほとんど無いこの家では、俺とあゆみちゃんは
ただ一つ残された、布団が敷かれていない
部屋備え付きのベッドに座るしかない。

俺はあゆみちゃんの可憐すぎる唇に吸いつき
舌を入れてあゆみちゃんの口腔を目一杯貪る。
先月はディープキスに驚いてむせかえったあゆみちゃんだが
少しは勝手を掴んだのか、控え目ながらも舌を絡めてくれる。
右手をあゆみちゃんの華奢な肩に
左手をあゆみちゃんのかぼそい顎にそっと当てて軽く固定し、
俺達はより積極的に唾液を交換する。

俺は不用意に侵入してきたあゆみちゃんの舌を吸ったり
唇であゆみちゃんの舌を挟んだりして、少し困らせようとする。
目を大きく見開き、呼吸のリズムを乱しながら
律義に驚いてくれるあゆみちゃんの反応は期待通りの可愛らしさだ。
353この時初めて2:01/10/01 01:26

柔らかくゴムマリのような弾力のあるあゆみちゃんの肌、
きめ細かい質感のあゆみちゃんの舌。
触れた部分から伝わるその優しい温かさ。
触れ合っている時間が与えてくれるこの感覚を
きっと幸せというのだろう。

頃合を見計らって俺はあゆみちゃんの口唇から離れる。
目を閉じたままのあゆみちゃんの薄い唇との間に、
名残りを惜しむかのように透明な糸が引かれる。
あゆみちゃんの頭が遠ざかるにつれて糸は垂れて下向きの弧を描き、
やがてベッドのマットに落ちて沁みをつくる。

もったいない。
それがあゆみちゃんのものであるならば、
髪の毛の一本、唾の一滴に至るまで無駄にしたくないのに。

キスの最中ずっと閉じられていたあゆみちゃんの瞳がゆっくりと開いた。
俺が視線を合わせると、白い頬がぽおっと染まる。
見つめられるだけで赤くなるのがなんともあゆみちゃんらしいと思う。
今さっきまであんなに深いキスを交わしていたというのに。
354この時初めて3:01/10/01 01:27

次はどうしよう。俺の胸は早鐘のように打つ。
あゆみちゃんは真っ赤になったきりうつむいて、俺と目を合わせようとしない。
二人の間に流れている空気は、相当にぎこちないものだった。

付き合うようになった、といっても殆ど一緒の時間を持てないせいだろうか
あゆみちゃんは俺の前でしょっちゅう何かを言いかけては飲み込んだり
下を向いてモジモジしてばかりいる。

お互いに、いざ顔を突きあわせてしまうと
どういう風にふるまったら良いのかがわからない。
なにしろ、付き合っていきなり遠距離恋愛になってしまったんだから。

手紙を交わす。
電話代を気にしながら電話をかける。
二人に許された付き合い方はそれしか無かったのだから。

「……あゆみちゃん」
「……先輩」
あゆみちゃんは上目使いでこっちを見た。
……俺と目を合わせてくれない。
「嫌なら……良いんだよ、そういうことって急がなくたってもさ……」
「いえ、大丈夫です」
間髪を入れない返事。
あゆみちゃんが顔を上げ、訴えかけるような視線を向ける。
「全然嫌なんかじゃありません。先輩ならっ、先輩ならっ!」
きっと口を結んだあゆみちゃんの一生懸命な眼差しを浴びながら
そんなあゆみちゃんの余裕の無さに少し疲れてしまう自分を感じていた。
355この時初めて4:01/10/01 01:29

付き合いだしてからも日常は何も変わらなかった。
もちろん俺は転校したのだから「何も変わらない」わけはないのだが
あゆみちゃんは二年生になったこと以外は、今までと何ら変わりなく生活しているのだった。

彼氏が出来たとはいえ、一緒に帰ることも遊びに行くこともない。
いくら恋愛の形は人それぞれだ、といっても
遠距離恋愛してる人だって少なくはないよ、といっても

会いたい時に会えないもどかしさには
万人共通の処方箋などありやしない。


「ねぇ、あゆみちゃん」
あゆみちゃんが、何ですか、と怪訝な表情をする。
俺は笑顔を作ってあゆみちゃんを手招きする。
「ここに座ってよ」
「え……」
とは言ったもののあゆみちゃんはスカートを手で折って俺の膝の上にちょこんと座る。
あゆみちゃんのすらっとした体から、かすかに柑橘系の香りがした。

あゆみちゃんをゆっくりと抱き締めようとする。
あゆみちゃんが腕をちょっと上げてくれたから、その体に直接手が触れるはずだ。
だが、腰に回そうとしたはずの腕は、なかなかあゆみちゃんの身体に触れない。
やっとあゆみちゃんの温もりを感じることが出来たのは、
それからさらに、長い長い数瞬後のことだった。
その間、俺は一瞬ごとに「まだ身体に届かない」ことへの驚きを叫んでいた。
なんて……なんて細いんだろう。
二の腕だけで抱き締めることだって出来るんじゃないだろうか。
そんな考えすら浮かんできてしまう。
356この時初めて5:01/10/01 01:29

「ねぇ、あゆみちゃん」
「……先輩、何……ですか?」
まるで「何か気に障りましたか」といった風に
俺の膝の上でおそるおそる聞き返してくるあゆみちゃん。

「あゆみちゃんってさ、本当に細いね」
ビックリしたかのように目を大きく見開くあゆみちゃん。
あゆみちゃんぐらい細ければ誰だってそう言うだろうに、
どう反応すれば良いのかわからない面持ちだ。
男が女の子を細い、って言う時は、99パーセントは誉め言葉なんだがなぁ。
俺は言葉を続ける。
「三人くらい同時に抱き締めることだって出来ちゃうんじゃないかなぁ」
「三人?」
小さな声で聞き返してくるあゆみちゃん。
「ごめんなさい、身体……私、全然……」
「そういう意味じゃなくてね」
俺は微笑んでみせる。小動物の警戒心を解こうとする時のように。
後ろ向きのあゆみちゃんには見えないかもしれないけど
微笑みが空気となって伝わってくれることを願う。
「スレンダーな、あゆみちゃん、凄く素敵だね、ってこと」

僅かに続いた沈黙を破って
「……その……ダイエットとかは……してないんですけど」
ようやく誉められているとわかってくれたのか、恥ずかしそうに照れるあゆみちゃん。

「母さんは『そんなに痩せてるから貧血になるのよ』って言うんですけどね」
「貧血かぁ。レバーとか食べて克服しないとね」
「……そうですね」
あゆみちゃんは何だかちょっと不服そうだった。
う〜ん、「貧血で倒れちゃうあゆみちゃんも好きだよ」って言えば良かったんだろうか?
いや、それはいくらなんでも非常識だろう、とその考えを打ち消す。

あゆみちゃんの一挙一動に過敏になってしまう自分がいる。
でも、それが、そのソワソワドキドキした感じが
俺にとって、あゆみちゃんは特別である、という何よりの徴(しるし)だった。
357この時初めて6:01/10/01 01:31

転校先で友人は出来たが、俺の恋愛の話をすることはなかった。
聞こえよがしに「俺は遠距離恋愛してる」と吹聴している奴もいたが
話を聞いてみればせいぜい「同じ地区の違う学校に通ってる」とか
「違う地区の学校に通ってるけど家は近い」とか
手を伸ばしても届かないところにいるわけじゃなくて、

またそういう奴に限って
「休日にも会えないなんて、そんなの付き合ってるって言えないよな?」とか
「俺の距離が限界だ」と言わんばかりの口調だったりして、
その想像力とデリカシーの無さに、実のところ俺は少々閉口していた。

だから俺は引っ越し先では、付き合うことには別に興味無い、って顔をして
「連絡を取り合ってる友達は何人かいるけど、恋人はいないよ」なんて言ってた。
実際あゆみちゃんから手紙をもらうのと同じくらいの頻度でかすみから手紙も来るし
森下さんや波多野、波多野に勝ったっていう安藤からの手紙ももらっていた。

やっぱりと言うべきか、一番返事を書きやすかったのは波多野だった。
あいつは手紙にすると女らしい部分が喋る時よりずっと出てきて、
それとあいつ本来のいやみのないサバサバしたところが混じって
手紙を読むのも書くのも楽しめる。

かすみは俺の心配ばかりで、安藤は勝負の話ばかり。
ま、この二人については返事を書く内容には困らない。
安藤には「次は菓子作りでかすみと勝負だ!
審査員は元家庭部の香坂麻衣子先輩」とかそういうノリで書いてる。
しかし安藤も、さすがに丘野さんに水泳で勝つのは無理だったっぽい。
野人丘野は健在だな。きっと今年も全国大会で上位に食いこむんだろう。
安藤もテニスだけやってれば相当いい線行くと思うのだが……でももう三年だしな。

かすみには「俺の心配するより自分の心配しろ」って毎回書いてる気がする。
適当に書いて、行き詰まったら君子に「続きは頼む」って言う。
それが俺のスタイルだ。
かすみも俺と君子に別々に送らないで
俺と君子の二人宛に送ってくれていいのに。
358この時初めて7:01/10/01 01:32

いつも返事に苦労するのは森下さんとあゆみちゃんだった。
森下さんは、おお、テンション高いな、と思えば急に低くなったり
「開かずの教室が開いたの」とか、何だか取り止めがなくて、
そのせいだろうか、こっちも当たり障りのないことばかり書いてしまう。

あゆみちゃんの手紙で困ってしまうのはそれとは全く違う種類の問題で
当然といえば当然なのだが、
陸上部の話題、それも木地本のことが多いことだった。
木地本からは手紙が来たためしがないから、
奴の最新情報が入ってくるのはありがたいと言えばありがたいのだが
あゆみちゃんの近くに木地本がいる、というのは
わかっていてもあまり良い気分じゃなかった。

木地本はあゆみちゃんのことを(女の子としては)何とも思ってない、とはいえ
あゆみちゃんは今、木地本のことをどう思っているのか
そんなことをしばしば考えてしまう。

ただの「三年で一番速い先輩」なのか
「格好良い先輩」だったとしたら、それがまた、別の気持ちに発展しないか
この夏の大会で引退ということもあって、
木地本は今までより格段に練習出てるみたいだし
まるまる一年憧れ続けた人の最後の貴重な時間を
近いところで一緒に過ごしているんだ。
想いが再燃することが絶対ない、なんて誰にも言えないだろう。

俺はあゆみちゃんを信じてる。
でも、信じてる、なんて他ならぬ自分に対して言ってること自体
あゆみちゃんを疑ってる自分もまた存在してる、ということだ。

かといって、直接彼女にそれを問うことは出来ない。
信じてるから。
信じてる、という言葉で疑問を覆い隠してるだけなのかもしれない、とも思う。
でも、疑いの言葉はきっと互いを傷つけるだけだろう。
ならば、覆い隠すだけでもいい。
疑問を眠らせたまま、目を覚まさないままにしていたい。
359この時初めて8:01/10/01 01:33


制服のあゆみちゃんの背中が、俺の胸に、腹に当たっていた。
肩幅は、俺より二回りも小さい。
膝の上に座ったあゆみちゃんのお尻も、やっぱり一回り半くらい小さい。
明るいところでは奇麗な天使の輪を見せてくれる、光沢のある髪。
渦を巻く白いつむじに口付けする。髪からは少し汗の匂いがした。

「あゆみちゃんって、頭の形もすごく可愛いね」
「えっ……先輩ったら……もう……」
あゆみちゃんの語尾が次第に小さくなる。

陸上部の皆の活躍のために、自分の時間を割いて悔いることないあゆみちゃん。
陸上部の皆のことを心から心配できるあゆみちゃん。
君がゴールで待ってくれるのなら100メートル11秒でだって走れるだろう。

健気で一途な頑張り屋さんのあゆみちゃん。
照れるとすぐに髪をいじる、恥ずかしがり屋のあゆみちゃん。
そんな君をもっと見ていたい。

動物にも優しさは伝わるんだろう。ユゲに人一倍なつかれてるあゆみちゃん。
驚く顔が、微笑む顔が、緊張した顔も可愛らしいあゆみちゃん。
そんなあゆみちゃんをこうして抱き締めていられることに、胸が詰まった。
「あゆみちゃん、会いたかった、本当に」
俺の視界がにじんだ。
360この時初めて9:01/10/01 01:34

最初からこの形だったから、
距離が離れていても、二人はもっているのかもしれない。

半年とか一年を恋人として一緒に過ごして
それから距離が開いてしまったのなら
きっと……きっと寂しすぎるよ。

「……先輩」
あゆみちゃんが体を左にひねる。
俺達はそのまま、今日二度目の情熱的なキスをする。
両手であゆみちゃんの肩を正面から掴んだ。
少し力を加えたら折れてしまいそうな細い肩。
あゆみちゃんは力を抜いて、俺にその華奢な身体を任せてくれている。

俺の家が引っ越した直後、団地の権利者が亡くなった、とかすみに聞いた。
なんでも、あの団地の土地は、個人で所有していたのだという。
なにしろ田舎だからな……そういうことも往々にしてある。
しかしあれだけの広さの団地だ、遺産相続は揉めに揉めているらしい。
詳しいことまでは知らないし、さほど知りたくもないが、
委託されていた不動産業者も身動きが取れなくて困りはてているらしい。

ゴールデンウィークに一日だけ帰ってきた俺と君子は、
家の鍵がまだ使えることに驚かされた。
勿論正規の鍵は大家に返したのだが、
物を無くしやすい俺と君子は、一つずつ鍵のコピーを持っていた。
かすみと君子と三人で俺の家だったところを訪れた時
新しい入居者もいないみたいだから、と
懐かしさも手伝って悪戯半分に鍵を入れてみたら
ガチャリと鍵は回り、扉は元の主を迎え入れてくれたのだった。
361この時初めて10:01/10/01 01:36

今、俺とあゆみちゃんはこの部屋、つまりかつて俺の部屋だったところにいる。
夜行で向こうを出てきたからこっちに着いたのは朝九時半だったものの
午後三時には駅に行かないと、今日中に家に帰ることは出来ない。
今回の帰郷(この言葉で語弊は無い、と思う)は強行軍だった。
君子も相当来たがっていたが、何だかんだと理由をつけて断った。

君子と一緒にいると、どうしてもかすみと過ごす時間が増えてしまう。
GWの時あゆみちゃんと君子を会わせたのだが、なんとも微妙な雰囲気だった。
あゆみちゃんと君子は同じ学年だけあって、変に遠慮しあうのだ。
あゆみちゃんはそのことについて特に何も言わなかったが
君子が帰りの電車でポツリ漏らした「なんだか疲れちゃったね」という言葉は
あゆみちゃんとのことを指していると思えて仕方なかった。
俺自身、あゆみちゃんと別れる時に
なにがしかの解放感めいたものがあったことを否定できない。

そういったわけで、俺は君子を一緒に来させないために
あえて夜行日帰りの強行軍を選んだのだった。
362この時初めて11:01/10/01 01:37

午前中はあゆみちゃんが部活に行ってたので
かすみと波多野と三人で会っていた。
意識過剰かもしれないが、俺はかすみとは二人きりで会ってはならない気がして
だから無理を言って波多野に来てもらったのだった。
「まぐろの散歩がな……」とか「邪魔しちゃ悪いよ」とか
来る前は散々ゴネてた波多野だが
「ヨォ、けっこう髪伸びただろ」ってカツラ被って現れたり、
安藤に勝つまでは髪を切らない、と宣言したり
こちらの期待通りにピエロを演じてくれて
終始黙りこみがちなかすみをリードし、場を盛り上げてくれた。

別れ際も、かすみはひどく名残惜しそうだった。
そんなかすみの肩を波多野が絶妙のタイミングで叩く。
「……じゃあな」
「ああ、また来月おいでよ」と波多野。
「……元気でね」とかすみ。
俺は二人に手を振った。
かすみは大丈夫だろう。何といっても波多野がついてる。
……でも、俺が引っ越してからもう三ヶ月近く立ってるんだぞ。
いい加減立ち直れよ、な。

あゆみちゃんとの待ち合わせは12時半に神社で、だったのだが
神社に向かう道で、不意に後ろから声がした。
「せっ……」
えっ?この声は……。
聞いた瞬間、心臓がドクンと一際大きく打った。
電話線越しじゃない「ナマ」の声。
俺は振り返る。
「先輩!?」
やっぱりあゆみちゃんだ。
こんなところで会えるなんて……。
自分がドラマの一場面に入ったような気分。

せいぜい十分ちょっと、会うのが早まっただけだってのに。
こういう時に、俺は自分があゆみちゃんを本当に、本当に好きだってことを
否応なしに自覚させられるんだ。
363この時初めて12:01/10/01 01:39

「ふぅ、ちょっと時間が浮いたね」
「えぇ、良かったです」
俺を下から見つめるあゆみちゃんの視線はこの一月半の変化を探しているのだろうか。
俺が見つめかえすとあゆみちゃんは肩口の髪をいじる。
気付いてるかどうかわからないが、照れてる時のあゆみちゃんのクセだ。
……俺の好きなクセだ。
「先輩と……少しでも長くいたいから……」
今度は俺が照れる番だった。
照れてる俺を見て、あゆみちゃんは口元をクスッとほころばせる。

「こ、これからどこ行こうか?あんまり時間無いんだけど」
「え……」
あゆみちゃんが俺とは逆側に首を少し捻る。
何か考え込んでる風情。
遠くを見つめている視線。
その端正な横顔に俺は見入ってしまう。

先月から、また綺麗になったんじゃないかなぁ。
会う度にあゆみちゃんは綺麗になってるような、そんな気さえする。
近くにいたらこのことには気付かないかもしれないな。
近くで日一日綺麗になるあゆみちゃんを見ていることが出来ない
そんな俺の精一杯の強がりと慰めだ。

何処に行くかをすぐには決められなくて
ただ何となく、俺とあゆみちゃんは街に向かって歩いた。
ウィンドウショッピングかな、カラオケが良いかな。
それとも浜辺だろうか。ゲーセンってキャラじゃないし…。
やっぱり話が出来るところが良いよな。
喫茶店かケーキ屋かそれともファーストフードが自然だろうか?
もう繁華街まで少ししかない。それなのに行き先を決められないこと、
うまくあゆみちゃんをリードできていないことに俺は焦りを覚える。
364この時初めて13:01/10/01 01:40

ふと、肩口に見えていたあゆみちゃんがいなくなる。
慌てて振り返ると、あゆみちゃんは俺の二歩後ろで足を止めていた。
うつむき加減のあゆみちゃんからは何やら思い詰めた雰囲気を感じる。
前髪に隠された瞳は、俺を見ているのかどうかわからない。
「どうしたの?あゆみちゃん」
呼びかけると、ゆっくりとあゆみちゃんの顔が上がる。
あゆみちゃんは真っ赤になって、でも表情は真剣そのもので
それを見た俺はあゆみちゃんの言葉を待たなくちゃいけない気がして
何も言えなくなってただ唾をゴクリと飲みこんだ。

あゆみちゃんの口がゆっくりと小さく動く。
彼女はたしかに「私、先輩の家に行きたい」と言った。


そういえば、あゆみちゃんを家に招いたことは一度も無かったな。
とはいえ、あゆみちゃんがどういうニュアンスでそう言ったのか
俺は真意をはかりかねていた。

誰もいない俺の家に行く、ということは……。
ただ俺たちの住んでいた処を見たいだけなんだろうか?
それとも……そういうことなんだろうか?
ただでさえあゆみちゃんといるだけでドキドキするってのに
予想だにしなかった展開に、俺は激しい動揺を感じていた。

いや、いつかそうなることは勿論考えないわけじゃない。
ただ、その考えが現実味を帯びたことは無かった。
きっとそれは俺とあゆみちゃんの約束
「瑞木あゆみは俺が戻ってくるまで他に誰も好きにならないこと」が
守られた後にあるものだと思っていたから。
俺があの街に戻ってきてからのことだと思っていたから。
365この時初めて14:01/10/01 01:41

あゆみちゃん、何を考えているんだろ。
さりげなさを装いながら、横目でちらっと見てみる。
さっきよりさらに目深に俯いてるあゆみちゃん。
前髪の向こうで、あゆみちゃんが下の方ばかり見ていることはわかる。
これ以上露骨にやると、見ていることをあゆみちゃんに気付かれちゃうかもな。

こんな時に話しかける言葉が、見つからない。
あゆみちゃんの真意が何処にあるのか探るには、
話をどう振るか、を決めなくちゃいけない。
でもあゆみちゃんがどう思ってるのかによって
話の振り方も違ってくる。

家を見たいだけだよね、ってつもりで話を振って外すのも
エッチするんだよね、って確認取るのも勿論そこで外すのも
どちらにしてもこの沈黙を更に重くするだけだろう。
家を見に来ただけだよね、って振って、その通りだった場合のみ
気まずい雰囲気を続けないで済むんじゃないかと思うのだが
どうもその選択肢に自信を持てなかった。

無言で歩いているうちにあゆみちゃんと俺は団地に着いてしまう。
近所に住んでいた誰かと会ったらどうしようか、と思ったが
結局誰ともすれ違わないまま俺の家だった部屋の前に着いた。
相変わらず新しい表札は無いままだ。
鍵穴にコピーの鍵を差す。
鍵が開かなければ、入らなくても済む。
これから先の展開が読めない俺は、どうも弱気になってしまう。
あゆみちゃんは先ほどのあの一言から終始無言で、今はじっと俺の手元を見つめている。
その沈黙が俺には重い。
ちょっと力を入れるとガチャリと音を立てて鍵は回り、扉は開いてしまう。

「お邪魔します」
久しぶりにあゆみちゃんの口から出た言葉がそれだった。
家には他に誰もいないというのにあゆみちゃんはひどく神妙そうな面持ちだ。
366この時初めて15:01/10/01 01:42

あゆみちゃんは玄関からリビングだった処に入るとキョロキョロ見回した。
「ここに先輩は住んでたんですね…」
何も無くてごめんね、と言うと
そんなことないですよ、とあゆみちゃんは笑ってくれた。

「それに、こういう風に家具が置かれてない部屋って、
新婚さんが家を見に来たみたいで……その……」
頬を赤らめるあゆみちゃん。
その仕草を見ていると、何だか俺まで照れてしまう。
あゆみちゃん、そんなこと考えてるのかぁ。
たしかにそういう機会でもないと、
家具のまるっきり無い家を見ることなんてなかなか無いだろう。

あゆみちゃんは俺の住んでいたところを見たかっただけなんだ。
俺はちょっぴり失望しながら、でもホッと息をついていた。
これで良いんだ、そうだ、これで良いんだ。
水も出ないし電気も止まってるから、何も出せないことに今更気付く。
こんなことなら帰り道で何か買ってくれば良かった。
相変わらず気が回らない男だなぁ、俺って。
「あゆみちゃん、何か飲み物買ってくるけど、何が良い」
集合住宅の強みだろう、自販機は団地の中にある。
往復してもせいぜい五分くらいだ。
俺は玄関で、靴を履くためにかがむ。

「先輩!」
特に大声だったわけじゃない。
だが、声の響きに俺は凍り付いてしまう。
明らかに今までと違う雰囲気。
「私…子供じゃありませんから」
こんな俺で良いのだろうか。
気まずい沈黙に支配されるばかりの俺で。
367この時初めて16:01/10/01 01:43

付き合い始めて初めてわかったことだが、
他の奴らと話す感じであゆみちゃんと話してても、妙に噛み合わない。
何だか生まれもったリズムが違うんじゃないか、って思ったりする。
あゆみちゃんは俺を持て余しているのではないか。
そんな想像が頭をよぎる。苛々する。

そうした時にふと木地本を意識した喋り方をすると、
あゆみちゃんは本当に嬉しそうな声になる。
会話のテンポも良くなる。話も弾む。
だが……そんなのは木地本の出来の悪いコピーでしかない。
木地本の出来損ないのコピーの方が、
「自分らしくしてる」時の俺より話が弾む、ってのは妙に屈辱的で、
あゆみちゃんが喜んでくれてるのならそれで良いじゃないか、って気持ちと
それでも拭えない自尊心の瑕疵がないまぜになって
ある時はそんなこと全然気にもならないのに、ある時はそれがひどく苦しい。

仕方ないとも思うのだが、それでは何の慰めにもならない時もある。
あゆみちゃんは言う。
「やっぱり親友なんですね。先輩と木地本さんって喋り方が似てます」
違う、意識して似せてるんだよ、あゆみちゃん。
頭に浮かんだその言葉が口から出るのをようやく自制する。
368その時初めて17:01/10/01 01:47

こういう時、俺の顔があゆみちゃんに見えないことを
心底ありがたく思う。きっと、その時の俺は
口調ほどには表情を隠せていない。
嫉妬が作る無様な表情を。

こんな顔、あゆみちゃんには見せられない。
そう思うと、二人を隔てる距離さえ肯定的に思えてきてしまう。

もしかしたら、この形だったから、
こうして距離が離れているから、二人は保(も)っているのかもしれない。
とはいえ

だからといって離れていることが寂しくない、とは言えない。
だから俺は、そしてきっとあゆみちゃんも、
出会った時間の密度をできるだけ濃くしようとする。
互いに話したいことは山ほどあるのだが
あまりにそれが多すぎるみたいでうまく噛み合わない。

お互い「かけがえのない時間」だと思ってるから
充分すぎるほどそれを自覚してるから、
限られた時間にお互いの精一杯を出さなくちゃと焦って……
残るのは自己嫌悪ばかりだった。
369この時初めて18:01/10/01 01:48


セーラー服のスカーフをほどいてそっと引っ張る。
赤いスカーフがふわっと宙を舞って、床に落ちる。
胸元から覗くあゆみちゃんのブラは、暗い部屋にあってなお眩しいほど白かった。

正面からあゆみちゃんの胸に手を這わせる。
あゆみちゃんはわずかに悩ましい吐息を洩らしてそれを受け容れた。
キスしたまま胸をゆっくり揉むと、
口の中に入ってくるあゆみちゃんの息のリズムが乱れる。

子供っぽく見られがちなことを気にするあゆみちゃんだが、
その身体は別に幼児体型ということはないし
胸だってまだまだこれからにしろ、存在感が無いわけではない。
手のひらサイズともちょっと言えないかもしれないが
俺の手の動きに合わせて自在に変形する胸は
今しか味わえない手触りを与えてくれている。


俺の両手は揉む力の入る位置を、徐々に変える。
指が円に似た軌道を描きながら、
胸の中心にあるだろう突起に近づくごとに、
あゆみちゃんの腕に力が入ったり
体がぴくっと反応したり
口の中で息が止まったりする、
こういうちょっとした意地悪をあゆみちゃんに仕掛けるのが堪らない。
370この時初めて19:01/10/01 01:50

胸の中心に近づくにつれ、焦らすように進みを遅くしていた俺の指が
あゆみちゃんの両乳首を同時に刺激した。
「ん……ふぅっ!」
あゆみちゃんが体をのけぞらせる。

勢いで唇が離れた。
俺はあゆみちゃんの腰を抱え、布団の無いベッドに仰向けにそっと倒す。
「あゆみちゃん…」
下から見つめてくれるあゆみちゃんの目には涙がにじんでいた。
あまりにも涙が溜まった目元が綺麗だったから
溢れた涙を唇で拭ってあげる。


相手を大事に思うばかりに、相手を思いやりすぎて
相手好みの自分になろうとしすぎて
結果本来の自分を出せなくなってしまう。
いやというほど味わったそんなもどかしさ。

あゆみちゃんといると「こうしなきゃ、こうしなくちゃ」という
焦燥感ばかりに俺は苛まれる。
あゆみちゃんにはこうした方が喜ばれるんじゃないか。
あゆみちゃんはこういう話が好きなんじゃないか。
それがどんどん木地本を意識したものになっていくことに焦りながら
あゆみちゃんはこういうのが好きだろう、という
マニュアル的なものがあることに、
俺はもしかしたら寄りかかっていたのかもしれない。

今だって実はそうだ。
あゆみちゃんの涙を拭きながら、
「あゆみちゃんこうされるの嫌いじゃないだろうな」と、
「木地本ならこうするんじゃないかな」と、
そんなことばかり考えてしまっている。

あゆみちゃんが素の俺をもてあましているのと同様に
俺だってあゆみちゃんをもてあましてしまっているのかもしれない。
だからあゆみちゃんが木地本を意識させるのではなく。
俺が自ら木地本を意識してしまう……のだ。
371この時初めて20:01/10/01 01:51

互いの感情はあの屋上の時から変わってない、と思う。
ただ、普段一緒の時を過ごせないから、いざ二人になってみると

すれ違う。

どこか空回りしてる。

それが俺からただでさえ少ない余裕と理性を奪い
おかしなことばかりさせてしまう。


俺はあゆみちゃんの制服の上着に手をかける。
目を合わせると、あゆみちゃんは今にも泣きだしそうな顔をして、口元だけで微笑んだ。
そんなあゆみちゃんを前にして、
俺は自分の鼓動の速さと身体を循環する体液の熱さをひしひしと感じる。

あゆみちゃんは腕を上げて俺が制服を脱がすのを手伝ってくれている。
白いクロップトップブラが顔を出した。
制服やブラジャーも勿論白いのだが、それと比べると
あゆみちゃんの肌の色って、白ではなく透明だって気がする。

次は俺が服を脱ぐ番だ。
一瞬あゆみちゃんに脱がしてもらうのもいいんじゃ?と思ったが
俺自身がどれだけドキドキしてるのかを悟られたくなくって
やっぱり自分で脱ぐことにする。
まもなく俺はトランクス一丁になった。
股間の怒張がはっきりわかるのが恥ずかしい。

さっき触った時、ブラの上からでもあゆみちゃんの乳首の場所がわかった。
別にそこだけ固く尖っていたりはしなかった。
あゆみちゃんはまだ感じてないんだろうか。
俺は自分の息子が固くなる一方で
あゆみちゃんは感じていないんじゃないかと不安を覚える。
このままじゃあゆみちゃん置いてきぼりで、
俺一人だけ気持ち良くなっちゃうんじゃないか。
372この時初めて21:01/10/01 01:53

ふと新しい発見に気付いた。
「ねぇ、あゆみちゃんのおへそ見るの、初めてだね」
「や……やだ、先輩……恥ずかしい」
あゆみちゃんが少し顔を上げる。

こうしたことに気付くのだから、こんなにドキドキしながらも
俺はまだ冷静さを失っていないじゃないか。
それが俺を安心させ、積極的にさせる。

制服のスカートのボタンを外す。
あゆみちゃんの飾り気のないショーツが顔を覗かせる。
俺はあゆみちゃんのスカートを下ろした。

グラスに注がれた牛乳の色を湛える細い太腿、可愛い膝小僧。
滑らかに指を押し返す、弾力に富んだ手触り。
触れているだけで何ていうか……そう、単純に気持ちいい。

「初めてなので……優しく……してください……」
勇気を振り絞って告白するあゆみちゃん、でも
「お、俺だって……初めてだよ」
「えっ……」
ただでさえ不安げな表情をよけい曇らせてしまった。
「お、俺の初めても……あゆみちゃんだからさ」
あゆみちゃんは暗い部屋でもわかるくらい真っ赤になってる。
きっと、俺もだろう。

あゆみちゃん、俺が誰かと経験あるって思ってたのか……?
こんな時「経験がある」のと「俺の初めても君だ」ってのは
どっちが良いんだろ、としょうもないことを考えてしまう。
373この時初めて22:01/10/01 01:54

今の反応を見る限り、多分今この場では、
あゆみちゃんに安心してもらうには
俺があゆみちゃんをリードするためには
俺に経験があったらきっと良かったんだろうなぁ。
嘘でもそう言った方が良かったのかなぁ。
まぁ、今更言ってもしょうがないことだが。

「……先輩」
何時の間にか俺は俯いていたらしい。
俺の眼前にあゆみちゃんのブラが映っていた。
あゆみちゃんの声で俺は顎をあげる。
あゆみちゃんは今までに見たことがない優しい目で
下から俺をじっと見ていた。
「先輩……ずっと私だけを……見て………」
あゆみちゃんの表情がゆがむのは苦痛からではない。
その顔はこれ以上ないくらいには赤く染まっている。
「……ずっと……私だけを………あ、愛してください」

先のことなんて誰にもわからない。
そう思ったこと、言ったことは一度や二度じゃない。
でも今は、あゆみちゃんのその気持ちに答えたい。
あゆみちゃんが「ずっと」と言うのなら、
その通りにずっと、あゆみちゃんだけを見て
ずっと、ずっとあゆみちゃんを愛してあげたい。
374この時初めて23:01/10/01 01:55

あゆみちゃんのブラを脱がせる。
後ろにあったホックを取るのに少し手間取った。
さきほど、存在感が無いわけではない、と思ったものの
ブラを取った白い胸はやはりお世辞にも大きいとは言えない。
球とかメロンとか形容されるような丸みは当然無く
胸元から乳首までのラインはスキーの上級者コースを思わせる急勾配で
逆に乳首とアンダーバストは垂れることなく身体にほぼ垂直で
横から見ると直角に近い三角形を描く。
「あんまり見ないでください……」
頬を染めたあゆみちゃんはひたすらに可憐だった。
先ほど慈母を思わせた目は、今は汚れなき少女のそれだ。

もしかしたら二度とこの目に巡り会うことは無いのかもしれない。
この後のあゆみちゃんは、どこか変わってしまうのかもしれない。
俺が大好きな今のあゆみちゃんを永遠に失ってしまう、
そんな不安が胸に渦巻く。止まらない。

俺は正面からあゆみちゃんの可愛いおっぱいに手を伸ばす。
少なくとも「今」「触れているもの」だけは確かなものだと思えるから。
手の中に収まった白い乳房から、あゆみちゃんの鼓動の速さが伝わる。
俺は鼓動二拍につき一回を意識しながら、
親指側を動かすようにしてあゆみちゃんの胸を弄んだ。

愛撫を重ねるうちに、乳房の中心がツンと尖ってくるのがわかる。
右手の人差し指と親指であゆみちゃんの乳首をつまんで
料理に塩を振るときのように指を擦り合わせて刺激を加えると
あゆみちゃんの乳首はコリコリと固い感触を伝えてくれた。
375この時初めて24:01/10/01 01:56


「……ん……私の胸、まだ小さくて……」
あゆみちゃんが俺から目をそらす。
「とっても良い触り心地だよ。それに、大きさじゃなくて、
あゆみちゃんだから、あゆみちゃんの胸だから気持ちいいんだよ」
「……先輩」
あゆみちゃんが目を細めて息をつく。
馬鹿だな、あゆみちゃん。
胸が小さいとかそんなことで嫌いになったりしないよ。
「それに……さ……俺が大きく……してあげるから」
あゆみちゃんの方を見ないようにして、恥ずかしい台詞を何とか言い切った。

有言実行とばかりにふにふにっとあゆみちゃんのおっぱいをこねる。
「ふぅ……ぅっ……はっ、ぅんっ……!」
あゆみちゃんの息が切なそうな響きを帯び、俺はその声で硬度が増すのを感じる。
ああ、あゆみちゃんのこの声は俺にとって凶悪な娯楽だ。
「ふぁっ……先輩っ……っ……やっ……ぅん!」
もっと聞いていたくてたまらなくなる。
力を入れすぎないようにこね、寄せ、中心をつつく。

あゆみちゃんの胸は弾力に富んでいて
俺が手を離すとぷるっと揺れてくれる。
張りがあって、それでいてしっとりとした肌。
鼓動は俺より数段早い。

右手であゆみちゃんの左の乳首をつまんだまま、
空いている彼女の右の乳首に口をつける。
「えっ……やだっ、先輩っ!」
あゆみちゃんが声をあげたが、
俺は構わずあゆみちゃんの桜色した突起をちゅっちゅっと吸いたてる。
「……あっ!……あぅっ!」
声を出すたびにあゆみちゃんの白い喉が震える。
あゆみちゃんの細い両腕が宙をまさぐる。
何か掴むものを探してるようだった。
376この時初めて25:01/10/01 01:57

俺はあゆみちゃんの小さな乳首を吸い、小さめの乳輪に沿って舐め回し続けた。
汗の塩味のほかに何の味がするわけでもないが、
あゆみちゃんが感じてくれてる、というのが俺にとって最高のエッセンスだ。
「くぅっ……っ!……やっ、くすぐっ……ふぅっ!」
あゆみちゃんが嫌々をするように首を振る。
あゆみちゃん、なんて可愛いんだ。
あゆみちゃんの悶える姿を見ながら、俺はペースを少し上げてみる。
「……やっ……あっ……あっ……あぁ」
あゆみちゃんの腰が上に跳ねる。
俺はその腰をしっかり押さえる。
あゆみちゃんの両腕が、やがて俺の首に巻き付いた。

俺はあゆみちゃんの右の乳首から首を離して
今度はもう一方の乳首を舌先で転がした。
左手は当然あゆみちゃんの右乳首をクリクリといじくってる。

「……っ……ぅん!」
あゆみちゃんの綺麗な突起に歯を立てた。
苦痛と快感に眉を寄せるあゆみちゃんの目から涙が綺麗な滴となって
やがてこぼれる。

俺は体を今までよりも斜めにして、
空いてる右手をあゆみちゃんのショーツのラインに沿って軽く横に走らせた。
そして、いよいよ白いショーツの中に右手を滑り込ませ……ようとしたその時
熱い胸とは裏腹に、ひんやりと冷たい左手が俺の手首を掴んでいた。

俺が顔を見ようとすると、あゆみちゃんは首を左に振って目をそらした。
「あゆみちゃん……」
俺は、良いよね、と耳元で囁いた。
少しの躊躇いの後、あゆみちゃんの冷たい手の感触が離れる。
377この時初めて26:01/10/01 01:58

解放された俺の右手は一度あゆみちゃんの形の良いおへそまで戻り、
ノロノロと侵攻を開始する。
最終防衛戦を突破した俺の手があゆみちゃんのヘアをかき分ける。
自分以外の手が身体の大事なところに迫っている違和感に
腰をピクピクッと小さく反応させながら、
あゆみちゃんはそれでも健気に俺にその身を委ねてくれている。


「ふぅっ!」
あゆみちゃんの目が大きく見開かれた。
指があゆみちゃんの割れ目まで到達したのだ。

俺は乳首を口に含んだまま
割れ目を手のひらでグリグリと圧迫した。
熱。
そして少し湿っぽい空気を手のひらで感じる。
力の入る位置をこまめにずらして刺激してみる。

目を合わせると、あゆみちゃんは両肩で大きく息をした。
「もう一度息を吸って……吐いて……」
俺の指示にあゆみちゃんは忠実に従った。
そうだ、もっとリラックスするんだ、あゆみちゃん。
もっともっと、気持ちよくなろう。

身体を下にずらして、両手であゆみちゃんのショーツを下ろす。
あゆみちゃんの丘にはポワッとした毛が一掴みあった。
これがあゆみちゃんのあそこなんだ……。
下ろしたショーツを膝の下くらいで止めて、
ショーツと開いた脚の作りだす三角形に顔を突っ込む。
「やっ、いやっ!」
「これが……あゆみちゃんのあそこなんだ……」
近くでマジマジと観察する。
眼はとっくに慣れた、といっても部屋は暗い。
ピンクというよりはひたすら白いそこには、
一直線にスジが描かれていた。
俺は両手を使ってそれを広げてみる。
無彩色の世界では明るい灰色の、ヌメヌメした肉ビラがあった。
「ぁ……あぁ……ぁぁ……。」
あゆみちゃんは泣きそうな声を出して手のひらで顔を隠している。
ただでさえ恥ずかしがり屋のあゆみちゃんだ。
自分のいわゆる「恥ずかしいところ」が人目に触れているなんて
きっと死ぬほど恥ずかしいのだろう。
378この時初めて27:01/10/01 01:59

だが、こうやって意地悪をしていることに、
俺は背筋が麻痺してしまいそうな興奮を覚えている。
それにここの構造をよく把握しないと、次にどうすれば良いのかわからない。
まだ他の誰も見たことのないだろうあゆみちゃんの大事なところに
俺は軽く息を吹きかけた。
「嫌ぁ……ひくっ、先輩、嫌ぁ……」
あゆみちゃんは涙混じりに声をあげて、腰を浮かせて逃げようとする。
だがあゆみちゃんの脚は中途半端に下ろされたショーツで動きを封じられ
また極度の緊張からか、力が殆ど入らない様子だ。

「あゆみちゃん、怖くない、怖くないから……」
俺はあゆみちゃんの秘所に舌を這わす。
「……ひっ!」
あゆみちゃんの内股に力が入ったのを感じながら
綺麗に折り畳まれたあゆみちゃんの肉ビラに舌を這わす。
「あっ……ああっ、先輩、いやっ!」
濡れた粘膜を左、右、左と小刻みに刺激しながら駆け上がった俺の舌は
包皮に守られたクリトリスを発見する。
舌先を尖らせて皮の上からコロコロと転がすと
あゆみちゃんの腰がモジモジと動くのを確認する。
「ね、あゆみちゃん、気持ち良くない……?」
「……んふっ……あっ……い、嫌……」
あゆみちゃんの目尻から、また涙が跡を引いて流れた。

クリトリスをいじりながら、俺は顎に熱い液体を感じていた。
さっき舌ですくった液体を口の中で転がす。
これが愛液なんだな……。
少し粘り気がある
うん、飲めない味じゃない。
チュパッ、チュチュッ……レロレロ……チュババッ……。
音をたてて啜ってみる。自分でもエッチな音だと思う。
あゆみちゃんは両手で顔を覆って
また嫌々をするかのように首を左右に振った。
俺と目を合わせようとはしてくれない。
379この時初めて28:01/10/01 02:01

あゆみちゃんが腰を捻って逃げようとする。
俺はその細い腰を両手で掴んで動きを止め、
皮に包まれたままのあゆみちゃんの肉芽にしゃぶりつく。
「嫌ぁ……いやっ……あっ、嫌ぁぁ……」
あゆみちゃんがゴクッと唾を飲む音がした。
なんであゆみちゃんの「嫌」という言葉はこんなに俺をゾクゾクさせるんだろう。

「あゆみちゃん、そんなに嫌?」
俺はあゆみちゃんの秘唇から口を離し、半分真面目に訊いてみる。
「……!」
あゆみちゃんは絶句した。

俺は視線をあゆみちゃんの顔から外さない。
長いようで短い数秒後、俺の方を見ないままあゆみちゃんは答える。
「すいません……先輩」
答えになっているのかなっていないのか俺にはわからない。
だから
「嫌なら……やめるけど。急ぐことは無いしさ……」
股間で血液とそれ以外のものが熱く脈打っていることを自覚していた。
このままじゃ蛇の生殺しだ。そう思ってる俺もいた。
でも、あゆみちゃんが嫌がるのなら、
ここでやめてもきっと悔いはない……はずだ。
「その……………………やめないで……ください」
最後は消え入るような声だったが、俺にはわかった。
あゆみちゃんはあゆみちゃんなりに覚悟を決めたのだ、と。

自分の唾を飲み込む音が驚くほど大きく聞こえた。
飲み込んだ唾が、食道を伝っていくのをコンマ単位で認識できる。
心臓が胸を突き破りそうにバクバクと収縮する。
俺の意識は過敏に思えるほどに覚醒していた。
その意識が俺に告げる。俺も覚悟を決めるんだ、と。

もう一度唾を飲み込む。
あゆみちゃんが後悔しないのなら
俺が後悔するわけがないじゃないか。
380この時初めて29:01/10/01 02:02

俺が目を合わせると、
あゆみちゃんは細い喉を震わせながら、
それでも力強く頷いた。

あゆみちゃんも、俺と同じ気持ちなんだ。
見つめ合うだけで温かい気持ちになる。
きっと俺の思いもあゆみちゃんにも伝わってる、そんな確信があった。
だってほら、こんなに自然に微笑みを交わし合える。

俺はあゆみちゃんのショーツを最後まで下ろした。
顔に感じ続けるあゆみちゃんの視線に微笑みで返す。
あゆみちゃんの全身を視野に刻み込みたくなって、俺はベッドの上で立ち上がった。

暗い部屋に白く浮かび上がった一糸纏わぬあゆみちゃんの裸身は
幻想的と言えば良いのだろうか。
俺は、一生忘れられないくらい強く、深く深くその姿を心に刻み込む。
今この瞬間が人生最良の時だ、という気がする。
更なる悦びが待ち受けていることを疑いようもない今この時が。

あゆみちゃんの少し居心地の悪そうな視線に絡め取られるように
俺はまたあゆみちゃんの股間にひざまずいた。
もうあゆみちゃんは抵抗しない。
太股に入る力は、おそらく羞恥と緊張のためで
それを示すように、力は「その場にとどめる」ためだけに働いた。
俺は舌先でくちゅくちゅとあゆみちゃんの花芯をいじり
沸き出す蜜を味わいながら
一刻ごとに変化するあゆみちゃんの表情を眺める。
「ひっ……あっ……あ、あぁんっ!」
掴むもののないあゆみちゃんは、両手で自分の肘を抱える。
両腕で囲まれたためにあゆみちゃんの胸が寄せられ、こんもりと盛り上がる。
その下には盛り上げられた胸とはアンバランスな程に細い腰と
小さく可愛いお尻が繋がっている。
381この時初めて30:01/10/01 02:02

あゆみちゃんの膣に指を這わせた。
「ぅん……」
あゆみちゃんは歯をギュッと食いしばって
敏感なところをまさぐる異物の感触に耐えている。
熱くムンムンと湿ったあゆみちゃんの中を探る。
これだけ濡れていれば、痛みは和らぐだろうか。

「……先輩?」
俺の迷いがあゆみちゃんにも伝わったのかもしれない。
大丈夫だよ、と囁いてもう一度キスをする。
今度はかすかに触れるくらいに、軽く。

唇を離す。
あゆみちゃんはディープキスを期待してたのだろうか。
離れていく瞳がちょっと拗ねているようだった。

でも、そんなあゆみちゃんがまた可愛くて
俺は不意打ちであゆみちゃんの唇をこじあけて
痺れるほど舌を吸ってあげる。

あゆみちゃん。あゆみちゃん。あゆみちゃん。あゆみちゃん。
あゆみちゃん。あゆみちゃん。あゆみちゃん。あゆみちゃん。
あゆみちゃん。あゆみちゃん。あゆみちゃん。あゆみちゃん。
あゆみちゃん。あゆみちゃん。あゆみちゃん。あゆみちゃん。

俺の脳内にいつもある言葉は、これだけで良い。


あゆみちゃんを固く抱き締めてもう一度キスをした。
あゆみちゃんも俺の首をしっかり抱いてくれる。
そのキスは、これまでのどんなキスよりも、ずっと、ずっと長かった。
二人がドロドロになって混じり合う。
そんなイメージが浮かぶ。
あゆみちゃんに舌を強く吸われて今、俺の眼に映る世界は限りなく白い。
部屋の暗さなんかに関係なく。
俺たちは吸い、吸われ、真っ白な頭でゴロゴロとベッドを転がりながら
お互いの身体中を擦り合わせた。
382この時初めて31:01/10/01 02:03


ふっ、とあゆみちゃんの温もりが離れる。
それは、次のステップに進め、という
俺たちに対する何かの意志のように感じられた。

俺はあゆみちゃんの脚を抱え込んで、正常位の格好で
あゆみちゃんの秘所に狙いを定めた。
あゆみちゃんは体を少し硬ばらせて俺を待ち受ける。
あゆみちゃんが浮かべた汗か俺の手に滲む汗なのか
あゆみちゃんの腰を掴んだ手が、どうにも滑った。

「じゃあ、行くよ、あゆみちゃん」
俺は先ほどのキスからまだ覚めやらぬ頭で
「はい……先輩」
あゆみちゃんもとろんと恍惚の表情を浮かべて
俺たちは遂に一つになる。

俺はあゆみちゃんの膣口に先端をあてがい、腰を沈み込ませた。


「あっ……あああぁっ!うっ……くっ……ぅん」
あまりにも悲痛な叫びだった。
一瞬にして現実に引き戻されて、
麻痺していた俺の感覚が急速に回復する。

あゆみちゃんの今の表情を表現する言葉を
苦悶以外に俺は知らない。
俺のが入ったらあゆみちゃんは痛いだろう。
そんなことは十分にわかっていたつもりだった。
でも、あゆみちゃんの表情を苦痛に歪ませる片棒を担いでいるのは
ほかでもない俺だってことを結合部から否応なく知らされると
とても平静でなんていられない。

先ほどまでの興奮と恍惚はどこかに行ってしまって
ただ罪悪感で壊れそうだった。
やっぱり取り返しのつかないことをしてしまったんじゃないか?
どうしよう!?どうしよう!?
鼓動の一拍ごとに、俺の身体を疑問符がかけ巡った。
383この時初めて32:01/10/01 02:04

俺の亀頭があゆみちゃんの中にめり込んでいる。
身体はこんなに熱いのに、金縛りにあったように動けない。
とにかく、考えるんだ。
ドクンドクンと心音が頭に響く中、およそ三呼吸ほどで考えをまとめる。

抜いちゃ駄目だ。
これを、奥まで入れなくちゃいけない。
ここまで来てしまった以上、そうしなければあゆみちゃんは納得しないだろう。
ともすればあゆみちゃんから抜いてしまいそうになる腰をどうにか抑える。
少し落ち着いたのか、身体は動いてくれた。
でも、あゆみちゃん、本当に大丈夫なんだろうか。
俺にはその答えが出しかねた。

なにしろ予想以上にきつい締め付け、どころの騒ぎではないのだ。
入れてる俺が痛みを覚えているのだから、
膨張した俺のを体内に入れられているあゆみちゃんの苦痛は
果たしてどの程度なのか、想像もつかない。
膣がこれほど狭いとは……俺の喉がゴクリと鳴った。
これじゃ最後まで行く前に果てちまうんじゃないか、って。

「せ、先輩、大丈夫……です。だ……から……もっと……」
あゆみちゃんの途切れ途切れの声。
そんな……痛いはずなのに。
あゆみちゃんの言葉に、俺は躊躇いを覚えつつ
前進を開始した……が、あゆみちゃんの中はきつくて
俺は一向に進んでいかない。
俺が腰を前に差し出すと、その分だけあゆみちゃんの身体が
ベッドの上をズルズルと前に動いてしまう。
ちっとも奥に入っていきそうもない。
384この時初めて33:01/10/01 02:06

これじゃ駄目だ。
俺は掌に浮かんだ汗を拭って、
あゆみちゃんの細い腰を掴みなおす。
こんな状態を長く続けたくない。
痛みに歪んだあゆみちゃんの顔が、俺に新たな覚悟を決めさせる。

両腕と腰、全身の力を三カ所だけに込めた。
飲み込んだ唾がゆっくりと喉を降りていく。
力比べのような瞬間があって、
「……っ……あぅっ……ぅ……」
重い扉をゆっくりと押すように
俺のはあゆみちゃんの中に沈んでいった。

結合部からは愛液混じりの破瓜の血が幾筋か伸びていた。
人差し指で太股を撫で、指に絡めた鮮血を嘗める。
これは、世界で俺だけが味わうことの出来る味だ。

あゆみちゃんの血は、俺とは違う味がした。
もしかしたら、破瓜の血の味だからなのかもしれない。

まとわりついてくるあゆみちゃんの襞を掻き分けて
俺のがあゆみちゃんの中を切り開いていく。
入り口を過ぎれば締め付けもそこまできつくない。
今はむしろ、締め付ける弾力が心地よい。
そして何よりあゆみちゃんの中は凄く熱い。
俺は前人未踏のあゆみちゃんの膣内を突きほぐしながら
少しずつ、本当に少しずつ進んでいく。
385この時初めて34:01/10/01 02:07

「あっ……あぁん………ふぅん……」
荒いあゆみちゃんの吐息に、今までには無かった響きが交じる。
喉から、というよりむしろ裏声のように頭に響かせる声の出し方。
……感じてるんだろうか?
「あっ……あぁぁっ……うぅっ……」
違う。
あゆみちゃんの顔を見ればわかる。
棒読みともいえそうな苦しげな声を聞けばわかる。
俺は初めてだから、あゆみちゃんがどういう時に感じるのかわからない。
でも、そんな簡単には快感が得られないことくらい知っている。
初めての時は本当に痛い、ってことも。

「ふぅ……っ……あっ……あぁん……」
「あゆみちゃん……」
痛みで、感じる余裕なんて無いだろう。
あゆみちゃんのこのわざとらしい喘ぎは
もしかして……いやきっと……俺に心配をかけさせまいとしてのことだ。


あゆみちゃんはもっと痛いのだから。
そのあゆみちゃんが耐えているのだから。
拙い演技までして先に進めと言ってくれてるのだから。
その期待に応えるには、俺は腰を動かすしかほかにない。
俺のに反発する力があるので、出来るだけゆっくり、とはいかないが
出来るだけ丁寧にあゆみちゃんの中を進む。
あゆみちゃんの襞が俺を包み込んで、きゅうきゅうと締め上げ
俺の腰をぞわぞわっとした感覚が昇ってくる。
狂おしく発射してしまいたくなる、射精感の大きな波。
アキレス腱と足首に力を入れ、踏ん張って何とかやりすごす。

微速前進の果てに、先端がコツコツとしたものに当たった。
これが子宮だろうか。
硬いのだが、有機的な硬さとでも言えばいいのか
当てること自体が気持ち良い。
「うっ…………あっ」
俺は深々と挿入した後、腰を止めてあゆみちゃんの温もりと感触を味わった。
あゆみちゃんの速い心音が俺のに伝わってくる。
あゆみちゃんも身体の中で俺の鼓動を聞いているのだろうか。
386この時初めて35:01/10/01 02:09

「……先輩」
あゆみちゃんが弱々しい声で俺に囁いた。
俺はあゆみちゃんによく聞こえるように、
ゆっくりと一言一句耳元で囁き返す。
「入ったよ、奥まで」
あゆみちゃんは、食いしばっていた口元を歪めて、僅かに微笑んだ。
涙の溜まった目尻にもう一度キスする。

「……それじゃ……まだ痛いだろうけど、動くよ」
「……はい」
ここまで何とか出来たという自信と更なる決意を
あゆみちゃんの目が雄弁に語っていた。

俺はあゆみちゃんの両膝を上から押さえつけM字形に開くと、
身体をあゆみちゃんと殆ど水平にして
腰を前後させ始める。
先ほどよりあゆみちゃんを固定するのは難しい体勢だが
結合する角度はフラットになるから、
あゆみちゃんの痛みは幾分かマシになるはずだ、と思う。

と、あゆみちゃんの子宮に俺のがコツコツ当たる感触で
俺は大変な忘れ物をしていることに気付いた。
俺はゴムをしてなかったのだ。
財布の中にいつも入れていたのだが、肝心の時に付けるの忘れるなんて……。
ここであゆみちゃんを心配させるのも何だし、
やるだけやって、早く外に出そう。
387この時初めて36:01/10/01 02:09

「はあぁっ……んふぅっ」
相変わらずのあゆみちゃんの痛々しい喘ぎ。
特に退くときに襞がびっしりと吸い付いてくる。
「……ん、せん、先輩っ。もっと……ゆっくり……」
「……ご、ごめん」
俺は抽送の速度を少しを落とす。
俺は何を焦ってるのだろうか。
ゆっくりと、替わりに深く刺し抜きするように動いた。

「ふぅ……はぁっ……はぁぁっ」
またあゆみちゃんがわざとらしい快感の声を上げる。
その度に俺は胸が痛くなり、
「あゆみちゃん、無理しないで。痛い時には痛いって言っていいんだよ」
「せ、先輩、気持ちいい……ですから」
少なくとも不自然に歪んだその表情は、そうは言っていない。
苦しそうな顔で、でも俺はあゆみちゃんが精一杯心配かけまいとしているのを
無碍にしたくなかった。

「ふぁっ……ひぃぃっ……いっ、先輩っ」
俺が動く。粘膜が擦れる。
俺にとっては快感を覚える行為だが
あゆみちゃんにとってはきっと、
焼け火箸で内臓を掻き回されているに等しい。
388この時初めて37:01/10/01 02:10

だが、やめることも出来ない。
あゆみちゃんの苦痛を誰よりも近くで見ながら
その苦痛に早く慣れるのを祈ることしか俺には出来ない。
祈りながらゆっくり腰を引く。
祈りながら腰を深く差し込む。
何十度繰り返したことだろうか。
あゆみちゃんの中は少し滑らかになり、
何時の間にか俺の腰はスピードを上げていた。
少しスピードを落とさなくちゃ……。
その時、何度目かの射精感の高まりを覚えた。
腰砕けになりそうな感覚。
膝裏と尻、足首、下腹に力を入れて、しっかり踏ん張ろうとしたが
快感は今までにない速さと強さで、俺の腰を駆け巡った。

やばっ、いっちまうっ。
引き抜こうとするが、俺の急な動きにあゆみちゃんの膣が反応し、
きゅきゅっと収縮する。襞がざわざわっと絡みつき
「……そんな、くぅっ!」
「あっ………あぁっ……ぁぁ……」
爆発した。
耳がキーンとする。目の前が白く霞む。
だくっ、どくっという感覚とともに、俺のが搾り取られる。
皮肉なことに今までの人生で一、二を争う、大量の射精だった。
それが……あゆみちゃんの……膣に……。
389この時初めて38:01/10/01 02:12

すっかり小さくなった俺のものがズリュッとあゆみちゃんの膣から出てきた。
……白く樹液にまみれながら。
俺は、あゆみちゃんに中出ししてしまったのだ。


……最低だ……ゴムも付けないで中出しなんて……。
ほら、あゆみちゃん、口きいてくれないよ……。

クスッと笑い声が聞こえた。
あゆみちゃん?

泣き喚くあゆみちゃんは想像していた。
何か言われたら、ただ謝るつもりだった。
罵声、拳、なんでも受け止めるつもりだった。だけど

笑うなんて、思っていなかった。
390この時初めて39:01/10/01 02:12

「……ハァ……大丈夫ですよ、先輩」
あゆみちゃんがゆっくりその顔を上げる。
俺は乱れた髪がかかったその顔をまじまじと凝視する。
何が起こったのだろう。何が起こってしまったんだろう。
呆然とする俺をよそに、あゆみちゃんは、またクスリと笑った。
「私、今日……一応安全日ですから」
俺は自分の鼓動を感じながら、大きく肩で安堵の息をついた。
あゆみちゃんは少しだけぎこちなく微笑んで
でも先輩が何も付けずに入れたときは本当にびっくりしましたけど、
と付け加えた。

助かった。これが本音だった。
「ホッとしたよ。」
「うふっ、なんか、先輩って、可愛いですね」
あゆみちゃんに「可愛い」なんて言われて、何だか俺は妙にドギマギしたりしてて。
あゆみちゃんはそんな俺を見てか今度はニコッと笑って、
でもすぐに今までにないくらい真剣な顔になって
「先輩、私、どうでしたか?」
言葉は語尾に向かってかき消すように小さくなった。
それはやっぱりいつもの恥ずかしがり屋のあゆみちゃんっぽくて
「俺も初めてだから……でも、すごく良かった」
誤って中に出しちゃうくらいにね、と言うとあゆみちゃんは
もう、先輩ったら、と形の良い眉をつり上げ、でもすぐに
気をつけてくださいよ、先輩も困るんですから、と言ってその眉をひそめた。
391この時初めて40:01/10/01 02:13

なんだかあゆみちゃんに借りを作っちゃった気がするが
この時初めて俺はあゆみちゃんを対等なパートナーとして
意識できた気がする。

最初は多分同情だった。
俺はあゆみちゃんに立ち直ってもらいたくって
ずっと一緒にいたのだった。
あゆみちゃんの心に出来た大きな隙間。
それは木地本の存在が作ったものだ。
たとえあゆみちゃんの中で勝手に膨らんだものとはいえ。

その隙間を抱えて生きるには、あゆみちゃんはあまりに弱く見えた。
……今思えばその時、俺はもうあゆみちゃんに惹かれていたのかもしれない。
放っておくことも、突き放すことも結局出来なかったのだから。

あゆみちゃんは、自分で言うような、何も出来ない人間じゃない。
それをどうしても伝えたかった。
立ち直ってほしかった。
そのための告白〜あゆみちゃんを肯定すること〜だった

いなくなってしまう俺が言うその台詞に説得力を感じてもらうためには
離れても付き合う、という形を提案するしか無かった。
だから……。
392この時初めて41:01/10/01 02:14

だから、負担だった。

あゆみちゃんの保護者として
あゆみちゃんの相談役として
あゆみちゃんだけのエンターテイナーとして
その全てを兼ね備え、使い分けながら
あゆみちゃんを見守り、導き、笑わせ、
掌中の玉のようにただただ大切にしてあげたいという想いと同時に

噛み合わない会話のリズム、
木地本の話題、
あゆみちゃんといる時の独特の徒労感、
それらがいつもいつも俺を疲れさせた。

でも今は違う。
そしてきっと、これからも。
393この時初めて42:01/10/01 02:15

身繕いをする。
シャワーなんて気の利いたものは無いので、
せめてあゆみちゃんのスポーツタオルで汗の滲んだ俺たちの身体を拭く。
まず俺の身体を一通り拭う。それからあゆみちゃんにタオルを渡して、
あゆみちゃんのあそこだけは、あゆみちゃんに自分で拭いてもらった。
今どの程度痛いのか、どう触れば良いか俺にはまるっきりわからなかったから
そうするしかない。
あゆみちゃんからもう一本タオルを拝借して
大人しくしてくれているあゆみちゃんの端正な顔を、いい匂いのする髪を、
色っぽいうなじを、透き通る喉元を、滑らかな背中を、
呼吸の度に隆起する胸を、くびれた細い腰を、白いお腹を、
形の良い小さなお尻を、華奢な太股を拭く。
涙の跡も汗も愛液も精液も血も、俺とあゆみちゃんの今日を
乾いたタオルはいっしょくたにして吸い込んだ。

二人の水分を吸い込んだタオルを丸めてビニール袋に入れる。
ズシリ、とした重み。
気がつけば俺もあゆみちゃんも、相当汗をかいていた。
まぁ、そりゃそうだろう、もう夏の気配が濃いってのに
空調の無い部屋でくんずほぐれつしてたんだから。
この部屋、においが残ったりしないだろうか。
カーテンは閉めたまま、窓をちょこっとだけ開けておこう。

ゆっくりと時間をかけてあゆみちゃんは制服を着込んだ。
あまり、時間が、ない。
「さぁ、行こうか」
コクリと頷くあゆみちゃん。
それにしても、本当に思いもかけない帰省になってしまったな。
394この時初めて43:01/10/01 02:15

あゆみちゃんはまだ股間に痛みが残ってるようで、
ゆっくりと、ぎこちなくしか歩けなかった。
その痛々しい歩き方は、見る人が見れば
処女を失ったばかりの女の子だってわかっちゃうんじゃないかと
並んで歩きながら俺は、俺やあゆみちゃんの知り合いに出くわさないことを願う。
「先輩、これじゃあ三時の電車に遅れちゃいますよ?」
あゆみちゃんの声にこもる控えめな響き。
「……」
ただ、あゆみちゃんの声が耳に心地よかった。
「なんでタクシー呼ばなかったんですか?」
ああ、俺を気遣ってくれるんだね、ありがとう、あゆみちゃん。
「……良いんだよ」
「えっ?」
「あゆみちゃんと……少しでも一緒にいたいから、さ」
今までになかったほど、俺はそう感じていた。
素直な気持ちが伝えられる存在として
こうして一緒に歩いていることが、とても、とても自然だった。
395この時初めて44:01/10/01 02:16

「……駄目です」
「えっ」
「御家族の方が心配します。行ってください」
あゆみちゃんは真っ赤になって俯いたが、やがて顔を上げ「でも…
…」
ぱっと大輪の花のような笑みを見せて
「夏休みになって、大会が終わったら、
きっと私が先輩のところに会いに行きますね」



僅かに開いた隙間から、風がカーテンを揺らす。
混じり合った俺とあゆみちゃんの匂いは、
薄く、広く、街中に広がっていった。


<FIN>