173 :
京一:
離れない…一定の間隔でついてくる…!?。
そういう事か…
奴のゲームはイベントが薄いからな…
初めは限界いっぱいでのプレイをしていなかったんだ…。
だがオレのプレイを後ろから見れば
Kanonのイベントを参考にシナリオを妄想できる…
たいしたもんだぜ、あの貧弱なCGで…。
そしてKanonとときメモのイベント間隔の差を考えれば
奴はオレよりも速いスピードでコマンドを繰り出している…
信じられない事だが…神業のようなマシンコントロールだ!!
どうする…!?
萎え覚悟で麻枝シナリオに突入して奴を混乱させるか…
それともこのまま久弥シナリオでイージーにキャラ萌えで振り切るか…
…フン、答えは初めから決まっている。
攻略ルートを変える事はしない。
ここでカッとなって意味深な謎掛けシナリオに走るのは愚の骨頂だぜ。
コンプ後にグッズ買いに走るほどキャラに萌えてこそ一流。
普通のキャラを普通にクリアして…
勝つのみ!!。
絶望的な状況へのまさに抵抗だった。
演出まかせの余裕のプレイで付かず離れず逃げるKanon!!。
拓海が必死でデートイベントを脳内補完して萌える横で
京一は単なる朝食シーンで苦もなく萌える事が出来るのだ。
よくここまで妄想プレイを続けられたな。
褒めてやるぜ、まるでSS作家だ。
オレの右手もそろそろ本格的に仕事をしたがってるんでな
頃合いだぜ。
攻略キャラ確定セクションもちょうど終わる。
次の一日をクリアすればシナリオ全開!!。
オレ自身もここからが全開プレイだ。一瞬で終わるぜ!!。
その時Kanonのシナリオの流れが豹変した事を
直感的に拓海は感じていた。
このプレイで初めて出なくなったKanonのモノローグは
攻略ルートが決定した事の現れなのだ!!。
キャラ単体で完結できるシナリオとは言えないが…
ときメモを振り切るには十分だ!!。
目前の画面に出現する巨大な切り株
狂ったように穴を掘るカチューシャの少女
拓海の意識にもその少女の絶望感が伝わった!!。
その直後!!
………。
ゲーマーとしてゲーム機を壊すのは負けなんだがな…
初めに言ったとおり、オレはバトルをしたつもりはないからな、
勝ちも負けもねぇ。
現実ってもんがよく分かっただろう、そのゲーム機はもう寿命だぜ。
完全にPCエンジン終わってるだろう、
いい機会だからときメモはもう封印したらどうだ?。
オレと競い合えるだけのギャルゲーを始めるまで
勝負は預けておいてやるぜ。