パルマ@惑星ベジータ

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「ヒデ」こと中田英寿の姿がそこにあった。
背番号10番を背負う事になった彼は、
不安と期待をかかえながら
霧の中パルマの練習場に出発した。

そして練習場に到着した彼は
ゆっくりとロッカールームに向かう。.
そこには見慣れない顔、ローマで共にした顔。
たくさんの顔がある。
皆新しいチームの顔「NAKATA」を
笑顔で迎えてくれていた。
そんな皆の期待を感じ中田もグッと気が引き締まえる。
そして着替えようとしたその時
金髪の青年が中田に話し掛けてきた。

「ヘイ!ナカタ!!よろしくな。」

彼の名フレイ
話を進めていくうちに
彼が日本のアニメ好きという事が分かった。
髪型もスーパーサイヤ人を意識したものらしい。
その話を聞いて中田は一気に打ち解けた。
彼も当然日本人。ドラゴンボール位メジャーな物は読んでいる。
共通点があると言う事は、新しいチームに慣れると言う意味でも
素直に嬉しかった。

そして二人で話を進めていると
フレイがこんな事を言いだした。
「なぁ。やっぱりドラゴンボールと言えば悟空だよな。クリリンみたいなのはナンセンスだぜ。」
軽いジョークのノリだ。
しかしその言葉を聞いて中田は黙りこくる。


そう、中田はクリリンが好きだったのだ。

確かに決して強くはない。
しかし影で悟空を支え、ムードメーカーとして場を盛り上げ
幼少期から常に行動を共にしてきた。
言わば縁の下の力持ち。
そんなクリリンを馬鹿にする事は
中田には絶えがたい事だった。

そしてその時からフレイと中田は口を交わす事は無くなった。
451続き:2001/07/18(水) 17:28 ID:???

フレイは悩んだ・・・。
「あぁ・・・あの時あの言葉を言わなければ・・・シェンロンがいるなら今すぐあの言葉を取り消したい。」
しかし願いは簡単には届かない。

そんな複雑な関係を持ち込んだまま望んだCL予選。
チームとして円陣を組むが二人ともどこかそっけない表情。
中田も大人気ないと分かりながらも、
今更話し掛けるのも気まずかった。

そして無情にも試合開始のホイッスル!
序盤、中田の動きがあまり冴えない。
やはり心の迷いがプレーにも影響しているようだ。
中盤でもボールをカットされ速攻をかけられ、
DFラインを整えたい所も、フレイがの指示がうまく機能しない。
あっという間に一点取られてしまった。

ドラゴンボールは確実にチーム内の輪を乱し始めていた。

ハーフタイムでこの状況ではまずい。
と感じた中田はフレイに話し掛けた。
「フレイごめん。今までクリリンの事で・・・反省してるよ。」
それを聞いたフレイは
「いや。クリリンを馬鹿にしが俺悪かったんだ・・・。一点取られたのはしょうがない。こうなったら後半スーパーサイヤ人になって頑張ろうぜ!」
と覇気よく答えた。そして中田も
「お、おう。頑張ろうぜ!!」
と生きた返事をした。

そんな二人を見て他のチームメイトが近づいてくる。
「おい。お前ら二人だけでスーパーサイヤ人になろうなんて・・・・ずるいぜ。」
と言いながら、ドラゴンボールの話を持ちかけてくる。
意外な展開に驚く中田とフレイ。
そして二人の目の前で、
かめはめ波のポーズや太陽拳のポーズをしてみせるチームメイト達。
「ドラゴンボールが好きなのはお前達だけじゃないんだぜ。」
とにこやかに答える。
どうやらチームメイトが二人の間柄を気にして
ワザワザ読んでいてくれていたようだ。

暖かいチームメイトの心に
涙をうっすらと浮かべる二人。


そして後半開始の円陣。
皆の気持ちは一つだった。
「皆。相手はセルみたいなもんだよな!!」
「おう!!」
「俺達はスーパーサイヤ人より強いよな!!!」
「おう!!!」
「悟空を越えようぜ!!!」
「おう!!!!」


ここに2001年。新生パルマが誕生した。



こんな実話キボンヌ。