踊るさんいらっしゃい 10

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621その1
関係者筋から怒りやさんインタビュー集の一部を入手。
踊るの部分のみ抜粋してみました。
固有人物はもちろん当て字ですよん。

>監督・演出家だけではなく、素人同然の私に手取り足取り教えてくれた
>先輩俳優がいる。尾だゆう二君だ。彼は、下手すりゃ私の孫みたいな年齢だが
>俳優としてのキャリアは私よりはるかに豊富で、才能もやる気も充分の好青年だ。
>尾だ君とは一九九六年に「踊る代走させん」で出会った。
>湾ガン署という警察署を舞台にした、少しコメディ・タッチも入っている
>刑事ものドラマだが、キャリアとノンキャリアの警察官のギャップとか、
>所轄署と本庁の考え方の違いとか、脚本が斬新な視点で貫かれていた。
>また、刑事部屋のセットの壮大さも凄かった。
>仕切りをアクリルにして、遥か遠くの階段を誰かが上り下りしているところまで見せた。
>廊下もひたすら長い。まだ工事中だった、お台場の不二テレビ新社屋の誰もいないスタジオだったから
>あんな大セットが組めたのだろう。
622その2:2001/04/20(金) 14:37
>織田君が主人公のAO島刑事、私は定年になったたたき上げの刑事の枠指導員という役だった。
>AO島と枠のカラミが多いドラマだったから、私はしばしば尾だ君のところに相談に行った。
>AO島と枠は年齢の差を感じさせないツーカーの仲である。
>私も尾だ君と普段からタメ口を利いておかないと、
>いざ本番というときに息が合わないような気がしたからだ。
>「尾だ君さあ、これ、どうしてこういうカット割りにするの?」>
>などとさまざまな疑問を彼にぶつけていった。
>「決まってるでしょ、これこれこうだからでしょ」
>と教えてくれることもあれば、
>「自分で考えなさいよ」
>なんて逃げられるときもある。
>「考えてもわからないから訊いてるんだよ。ちゃんと教えてくれよ」
>こっちも食い下がったりして。
>「あのさ、この世界は年功序列じゃなくて、経験序列なんだよ。俳優としては
>尾だ君の方が先輩じゃないか、教えてよ」
>「はいはい」
623その3:2001/04/20(金) 14:37
>尾だ君は一生懸命にやらないと嫌な男なんで、私が足手まといにならないように
>常にリードしてくれた。ドラマの中で、枠はAO島にだけ、ぽろりと本音を漏らす。
>「俺なんてもう用なしなんだよ」とか。それと同じように、私も尾だ君にだけ、
>弱みを打ち明けていた。
>「俺、まだカメラワーク気にしてると芝居が止まっちゃうんだよ」
>「いいよ。立ち位置、俺がキープするから、俺を信じてよ。俺の周りを回ってりゃいいから」
>「サンキュ」
>もう頼りっぱなし。彼もよく私のワガママにつき合ってくれた。
>こういう関係が画面のAO島と枠の関係のどこかに現れていると思う。
>「踊る代走させん」は最初のクールは平均視聴率が十八パーセントくらいで
>可もなく不可もなくといったところだったが、最終回が二十パーセントを越えた。
>そのころからインターネットなどでマニアのファンが騒ぎ出して、
>じゃあスペシャル(特番)をやろうか、映画もできるかな、という話になった。
>何本かのスペシャルは尻上がりに視聴率を上げ、98(平成10)年秋に公開された映画版は
>大ヒットし、翌年春まで上映されていた。
624その4:2001/04/20(金) 14:38
>成功の原因はすばらしい脚本、凄いセット、本広監督の演出センスなどが挙げられるだろうが、
>もう一つ、何年か同じキャストでやってきて、役者のアンサンブルができあがっていたことも
>一因ではないだろうか。北村総一郎さんら、本庁を気にする湾ガン署の幹部三人組の
>コミカルな演技などまさにいい実例だろう。私の枠も尾だ君のAO島のおかげで
>どうにか形になっていった。
>映画公開の頃、トーク番組で尾だ君相手にこんなことを言った。
>「剣術で何々流ってあるじゃない?坂本龍馬は北辰一刀流、だとか。そういう感じで、
>「おまえの演技は何流?」と訊かれたら、俺は尾だ流と答えるよ」
>さすがに、尾だ君もさかんに照れていた。

以上っす。