夏目先生、レスを付けていただき、ありがとうございます。
そういえば、小林氏に訴えられた上杉氏が4月に出版した
「脱・戦争論」(東方出版)に掲載されている北村行夫
弁護士の文章で、夏目先生について一部触れられている
点がありました。(「笑う長島」の件です。名前が
誤植で「夏目房之助」になっていますけど。)
北村氏は、小林氏がいい加減な著作権の知識で引用封じを
しようとしたことに対して、かなり憤っておられるようです。
私は、最近の漫画家たちの動きの裏には、大手の出版社が
黒幕として噛んでいるのではないかという気がします。
(上記の小学館の姿勢なんかを見ていると。)
しかし、こんなことをやっていると、そのうち本当に
漫画文化はつぶれるんじゃないかと思います。漫画作品を
立ち読みもさせず、中古流通も潰し、漫画喫茶も潰し、
引用にも事前許諾を強要すると(この点に関しては
今回の裁判で否定されましたが、小学館は小林氏のデマを
未だに垂れ流しているのですから、従来の意見を全く変えて
いないのでしょう)、漫画家に都合が良いチョウチン評論
ばかりが横行し、結局自分で自分の首を絞めることに
なるのではないかと思います。
以前、ゲームソフト会社が中古流通に圧力を加えて、
中古市場を潰そうとして、一時期新作モノの
中古ソフトが流れなくなった時期がありました。
(中古業者側が自粛したということですが)
その後、中古ソフト業者側が訴訟を起こし、
東京地裁で中古ソフトの販売を肯定する判決が出て、
(現在係争中)新作ソフトの中古流通が一応可能に
なったのですが、その結果、中古流通を自粛していた
ころと比べると、新作ソフトの売上数が伸びる結果が
出たんだそうです。
このことから分かるのは、中古の著作物が流通して
いたとしても、新品の売上に影響を及ぼすわけではなく、
むしろ相乗効果さえある、ということですね。これは、
「引用」や漫画喫茶にしても同様のことだと思います。
漫画家たちがこのことを理解する日は来るのでしょうか…
では、このへんで失礼します。
あと一つだけ、付け加えておきます。
実は、松沢さんは「書影を直接論評しない限り、書評に
書影を引用することはできない」ということを
「脱・戦争論」の中で述べていますが、今回の判決が
出た後に、その認識が誤っていたということを昨年の
「週刊金曜日」(1999年9月17日号)で述べています。
http://www.jca.apc.org/kinyobi/mokuji/W283.html 今回の「ゴー宣」裁判の判決を考えると、書評とともに
書影を掲載することは、「引用」として認められると
思います。
(「週刊金曜日」って名前を出すと、左翼だ〜!と思う
方もいるでしょうから、言い訳がましく述べておきますが、
私は「週刊金曜日」自体は嫌いですよ。ただ、上記の
松沢さんの文章は著作権に関する重要資料として、
一読の価値はあると思います。)