王家の紋章番外編@2ちゃんねる

このエントリーをはてなブックマークに追加
436名無しさん@お腹いっぱい
>>412の続きです〜。最終回ですがあんまりえすえむじゃないかも・・・。

協議を終えた王子はキャロルを閉じこめてある部屋の前に来た。部屋は居間と寝室からなる。王子はすぐにキャロルの寝室に入ることはしなかった。
王子は混乱し、後悔と恐怖に思い乱れていた。
ここに来るまでの間に王子は、キャロルが王子に与えられた資財を投げうって貧困と病に苦しむ人々のための館を建てたがっていることを教えられていた。
そして若い侍女達の間でイシュタルの神殿詣でが流行っていることも、偶然小耳に挟んだおしゃべりから知った。
(何故、私はあのように激昂したのか・・・。婚儀を前に何とはなしに不安げな姫の様子が不安で)
キャロルの言葉が蘇る。
(私は・・・婚儀を前にして不安で怖くて・・・王子を愛しているけれど、でも王子にただ甘やかされ、守られているだけでは・・・いけないと思って)
王子は小さく身震いした。
(全ては・・・私の思い違いか・・・?もしそうなら私は愛しい姫に何ということを!)
王子は寝室の扉を開けた。寝台の上では逃れようと暴れ回ったせいかうっすらと汗をかいたキャロルが憔悴しきった顔で王子を見つめた。
裂かれた衣装はすっかりはだけてしまい、鞭で縛られたせいで形の歪んだ胸のふくらみも、脚の間の淡い茂みに隠された花もすっかりむき出しだ。
「姫・・・」
その姿に自分の非道も忘れ、キャロルを助け出そうとした王子の耳に鋭い悲鳴が響く。
437名無しさん@お腹いっぱい:2001/07/10(火) 19:23
「いやっ!来ないで!見ないで!」
「姫・・・」
王子はそれを無視してキャロルを抱きしめ、素早く縛めを解いてやった。しっかりと抱きしめ、鞭のあとも痛々しい背中をそっと撫でてやる。キャロルの胸が王子に押しつけられる。
「こうすれば見えぬ。こうすれば見えぬから。・・・姫よ。私は・・・恐ろしい間違いをしていたのではないか?私はそなたを疑い、私の嫉妬で清らかなそなたを汚し・・・」
「私はあなたを裏切るようなことはしていない、できるはずもないと何度も言ったのに・・・あなたは・・・信じてくれなかった。
王子なんて大嫌い・・・恐ろしくて・・・勝手で・・・メンフィスと同じだわ!」
王子はキャロルの罵倒に打ちのめされた。王子はだらりと手を下げた。キャロルは風のように王子の許からすり抜けていった。

キャロルは王子に口を利かなくなった。王子が側に寄るとびくりと体を震わせ、泣きそうな顔になって離れていった。
王子はそれでもキャロルを愛した。もはや永遠に失っていってしまったかも知れない乙女。でもどうして思い切ることができる?つまらない嫉妬と早合点。王子は初めての恋を知った少年のように恋人を閉じこめた。宝物のように。命を持たぬ宝石を大事にしまい込むように。
だがその宝石は生きていて・・・王子を拒絶した。

それでも婚儀の日はやって来た。キャロルは人形のように婚儀に臨み、抜け殻のように初夜の寝台に導かれた。
(私はどうなるの?愛したのは王子だけ。でも王子は私を信じてくれなかった。恐ろしい目に遭わせたわ。許せない・・・!王子、何故?あなたは私を抱くの?心も通わないのに?
ああ、でも!それでも私は王子をうち捨て忘れることなんて出来ない!あんなにも愛して・・・全てを預けたあの人を・・・!)
「姫・・・」
やがて王子が寝台にやって来た。キャロルは王子の方を見もしない。
(この人は・・・私を求めるだろう。子供が必要・・・だから。力でもって・・・。私は抗えない・・・)
「姫よ・・・。そなたを愛している。そのように怯えるな。私はそなたに許しを請いに来たのだ。無論、許してはもらえまい」
「でも・・・あなたは私に・・・子を・・・産ませるのね」
「・・・そうだ・・・」
苦い苦い吐息と共に王子は言った。
438名無しさん@お腹いっぱい:2001/07/10(火) 19:23
(欲しかったのは姫の心。身体などではないに!だが明日には初夜が無事済んだことを披露する定め。私は・・・姫の心を得られぬまま・・・身体を開かねばならぬ)
王子は身体を固くするキャロルを一糸まとわぬ姿にした。
白い白い身体。固い冷たい身体。陶器のような。その強ばった身体を接吻で覆い、優しく味わう。胸の頂を飾る苺は王子の舌で固い紅玉に変じ、日に当たることなく育った薔薇は手荒に押し開かれて王子に執拗に吟味された。
「嫌、嫌、嫌・・・!こんなのは・・・嫌っ!」
最後の瞬間にキャロルは悲鳴をあげ、王子を押しのけた。
王子は怒りと哀しみの混ざった表情でキャロルを見つめた。だが泣き濡れるわすれな草の瞳を見て・・・ゆっくりと身を引いた。
王子は小刀を取り出すと腕の内側の目立たない場所を軽く切り裂いた。
溢れる赤い血。王子は無造作に血を寝台の敷き布になすりつけた。
「これで・・・そなたが妃になったことを疑う者はあるまい・・・。
私はそなたの心が欲しいのだ。いつかの暴言は・・・私の醜い心が言わせた妄言。私は・・・そなたを・・・」
王子は帳で覆われた寝台を出て、長椅子に横たわった。
「安心いたせ、姫。私はそなたを守る。それが私の心の証」
439名無しさん@お腹いっぱい:2001/07/10(火) 19:25
王子とキャロルは表向き仲睦まじい夫婦として過ごした。だがキャロルは自分の殻に籠もったきり。王子は哀しく恋人の姿を見守った。
(私・・・王子を愛している。でもどうしたらいいの?)
迷い悩むキャロル。寝苦しい夜。王子は長椅子に、キャロルは広すぎる寝台に。
ある夜、キャロルは夢を見た。あのイシュタルの神殿での夢。道案内をしてくれた男が囁く。
(案ずるより産むが易しってさ。あのな、一人でこんな所に来るくらいなら、その男に話ししてみろよ)
水盤に大きく王子の顔が映った。
(姫・・・私はそなたを愛している・・・!どうか私の許に・・・!)
キャロルは起きあがった。
(私・・・大きな幸せを・・・自分の本当の心を殺してしまおうとしている)

王子は暖かな空気の揺らぎを感じて目を開けた。キャロルが控えめに長椅子の横に跪いている。
「姫・・・?」
「王子・・・私・・・あなたを愛しています。ずっとそうだったの。でも・・・それを認めてはいけないような気がした。あなたが私を侮辱して恐ろしい目に遭わせたこと許しちゃいけないと思ったの。
でも・・・あなたは私を気遣ってくれた。私を待っていてくれた・・・」
「姫・・・!」
「どうか・・・王子・・・。私をあなたの妃に・・・」
キャロルはそう言って薄物の夜衣を脱ぎ捨て王子に縋った。
王子はキャロルを抱きしめた。そのまま自分の身体の下に敷き込み、愛しい娘を女に、妻にした。
「姫・・・いや、妃よ。そなたを女にする時をずっと待っていた。そなたに私の心を捧げよう。変わらぬ愛と忠誠を。
私はどうしようもないほどに、そなたに絡め取られている・・・」
王子を永遠に虜にしたたおやかなキャロルは、そっと王子の唇に自分の唇に触れた。
「私たちは・・・お互いを永遠に虜にしているのね。きっと・・・」
幸せな虜囚達はしっかりと抱き合い、眠りに落ちたのだった・・・。
440名無しさん@お腹いっぱい:2001/07/10(火) 19:26
ちゅうわけで腰砕け〜。
すみませぬ、逝かせてください。