二死タンのアリガタイお言葉 Part3

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758清水に掘られる二死タン
「いやな雨・・・」

試合のない日はホテルでもものすごく退屈で、無意味に月を見上げたりするものだが今日はその月すら雨雲に隠され、変わりにいつまでも止みそうにない雨音だけが無常に続いていた。寒い冬はあっという間に通り過ぎ、桜は儚く散り、もう雨の季節が近づこうとしている。ここのところ空は俺の絶不調を責めるかのように激しい雨粒を降らしてくる。先頭打者の責任は重い、か・・・。
前が見えずにただぼーっと過ぎていく日々がどれくらい続いただろうか。いっその事・・・・・・自分のすぐ後でバットを振り回しては練習ばかりするどこかの馬鹿でもたまには見習った方が良いのだろうか。
でも今の俺にはそんな事したってさらに悪化するのは目に見えていた。
もうどうでもよくなって重い身体をベッドに放り投げてみる。綺麗にシーツがひかれたホテルのベッドはそんな後ろ向きな俺の思考を否定するように勢い良く跳ね返す。どいつもこいつも・・・などと考えているとやはり脳裏に浮かぶは見慣れたあの顔。あいつは俺がどんなに侮辱的な言葉を並べても滅多に態度を変えたりはしない。
変わらずに優しく受け止めてくれる彼の行動に、何だか照れくさくて素直に身を委ねたことは一度たりともないが、正直なところ、何度もあの腕に俺は救われている。今日だって・・・今日に限って自分らしくもなくその存在を気にしたりするのだがそんな時は必ずヤツは側にはいない。全くどこの後輩のところへ行っているのやら。
面倒見のいい、そんな風景を想像しているのにふと気付き、強く首を横に振る。誰のところへ行ってようが俺には関係のないことだ。心の隅に微かに残る痛みをかき消そうと無理やり目を閉じる。どうせならそのまま眠りについてもいいくらいの勢いだった。

・・・が。

ドンドンドンドン!!

部屋のドアが突然激しく音を立てる。何か事件でもあったかのようなその強い音に俺は飛び上がり、慌ててドアへ駆け寄った。

がちゃ。

「何だよ、何が・・・!って、・・・・・・え??」

ドアの向こうに見える意外な光景に俺はついすっとんきょうな声を出してしまった。
そこにいたのは清水。もう暖かくなってきているというのに長袖の重そうなトレーニングウェア。もう夜遅いこの時間に突然やってきた訪問者は何故かずぶぬれの全身を気にする様子もなく部屋へずかずか入ってくる。
「・・・おい、部屋間違ってないか?」
その姿以上に清水の取った行動の意味がが俺には全くわからなかった。
「・・・間違ったつもりはないっすけど」
ああ、部屋が濡れますね、と入口に戻ってきて次々と服を脱ぎ捨てていく巨体。一体何しにきたというのだ。
「自分の部屋に戻ってシャワーでも浴びてから出直してきたらどうなんだ」
極端に目を細めて、部屋の主に構いもしないその巨体にアドバイスを投げかけてみた。すると答えはすぐに返ってきた。・・・というか近寄ってきた。

・・・危険だ。
759清水に掘られる二死タン2:2001/07/12(木) 08:04
壁に追い詰められ、顔の両横をかすめて大きな手が壁面を強く打つ。大きな音に思わず身体がすくむ。
「何か・・・1秒でも早くここに来たい気分だったんですよ」
乱暴な手とは対照的な優しいその顔がゆっくりと近づいてくる。何となく初めからその意思を悟ってはいたが、わざと今気付いたようにぎりぎりのところで顔を横に叛けてみる。
「近づくな。俺まで濡れる」
バスタオル取ってくる、と長い腕の下をすり抜けて洗面所へ入り、風呂場の棚に乗っているバスタオルを背伸びして掴む。しかしなんだってこんな高いところに置いてあるんだ。俺はともかく女はどうやってこれを取るのだろうか。
そんな事を考えながらバスタオルを広げ戻ろうとすると、背後から見慣れた手が伸びてくる。そのままきつく腕を回された瞬間に、そこから逃げる事はとりあえずあきらめた。ムダである事は俺が一番わかっていた。でもとりあえずその不自然な冷たさに身体を離そうとしてみる。
「おい・・・濡らすなって言って・・・」
振り返って見上げると、俺を包んで見下ろしているその顔は、さっき以上に優しい表情をしていた。
そして俺は、俺の意思とは無関係に、いつものようにその場に押し倒され、服を剥ぎ取られる。上着は強引に脱がされ、カッターシャツに手がかかる。ここで慌てたり、逃げたりしたらこいつの思うツボ。必死に声のトーンを下げ、冷静なそぶりを見せた。
「何やってたんだこんな時間に・・・」
「ランニングです」
「・・・は?」
ますます判らない。ランニングなら室内練習場でだって出来るはずだ。大体俺達はプロであって、わざわざそんな風邪でもひこうかという環境を選んで無理にトレーニングをしたりはしない。

「口実・・・とも言えますかね・・・」

聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で清水がそう呟いたが、今の俺はその言葉の意味を理解したくはなくて聞こえてないふりをしてやり過ごした。清水の顔が再び近づいてくると、当たり前のように髪から雫が滴り落ちて俺の頬にかかる。まだ手からは離れていなかったバスタオルを清水の頭にかぶせてその上から手を乗せて軽く撫でた。しかしあろうことか目の前の顔は初めて不機嫌な表情になり、俺の手首を掴んだかと思うとタイルに強く押し付けてきた。

「っあう・・・!」

あまりに強すぎる力に、手首に鋭い痛みを感じた俺は思わずうめいた。そしてその時初めてこの場所がまずい場所だという事に気付いた。ここでこのまま流されてしまったら・・・まずい。
しかしそんな事には気付かないか構わないか、カッターシャツのボタンにかけられた清水の手には力が込められる。
人がせっかく濡れてる身体を拭いてやろうとしているのにこの男は。
「ちょっ、おい!破くなよ・・・!」
「今日は珍しくこういう服なんですね」
「・・・っ!」
・・・自分の顔がとたんに熱を帯びていったのがわかった。ボタンをとめるのが割と面倒なためいつもかぶる服を着ている俺に清水はいつも「脱がしにくい」と文句を言ってくる。・・・今日に限ってカッターシャツを着てしまっていたわけである。
やはり前開きの服は避けるべきだったか。と、今更後悔しても遅く、先程ボタンごと引きちぎりそうな勢いだった清水の手はまともにボタンを外しにかかっている。
・・・いったいこいつはここに何をしにきたのだろうか。俺の方こそ清水の事を気にかけていたが、こんな事をして欲しかったんじゃない。胸を這おうとするその手を、掴まれてない方の手で押し止め、キッと睨み上げて反抗する。
「そういつもいつもお前の都合で大人しく抱かれると思うなよ」
今はとにかくこの場所から逃げ出したかった。何故ここまでここでされる事を嫌うのか・・・というと・・・。
「・・・それは困りますねぇ・・・」
上半身を起こし、狭いこの風呂場から出ようとすると、不意に肩を掴まれる。もう一度同じ場所に押し倒されたかと思うと、俺の両手を頭上に置いて、なんとシャワーのホースでぐるぐる巻きにされる。

「な・・・っ!!」
760清水に掘られる二死タン3:2001/07/12(木) 08:07
・・・いつもこうだ。いつも無理やりこいつのペースにハメられる。俺の苦情を素直に受け入れてくれた事なんてもちろん一度もない。必死でホースから逃れようとしたが清水はシャワーの先をスタンドに固定してしまい、どうにもできない状態になってしまった。動けない俺の身体の上にのしかかってきた大きな身体は息の届きそうなくらい近くに寄ってきて、俺のあごをゆっくり持ち上げる。俺が反論する間を与えず、唇が覆い被さってくる。
「んぅっ・・・・・・んん」
それだけで全身が麻痺してしまいそうなキス。むさぼるようにその舌は俺の領域を侵してくる。
「ん・・・っは、あっ・・・しみ・・・っ」
ようやく俺の口から離れた清水の舌はやがて首筋へとその動きを進める。
「清水・・・だめ、ここでは・・・」
「・・・何か理由でも?」
本当はわかっているんだろうに、俺の口から言わせようとしてわざとわからないというような顔をして聞いてくる。
「・・・っせ、せまいし・・・・それに・・・」
「それに?」
再び自分の顔が熱くなってくる。清水はそれを楽しむかのようににやけながらこちらを覗きこんでいる。

「・・・・・・・・・声が・・・・・・・・」

そう、この風呂場は吐き気がするくらい声が響く。自分の喘ぎ声にエコーがかかって再び自分の耳に入るなんて、とてもではないが恐ろしかったのだ。だから早くここから逃げ出したかった。

     ◆

しかし清水はそれがどうしたという風に舌の動きを止めようとはしなかった。
「いいんじゃないですか?・・・その方が仁志さんも感じるでしょう?」
耳元でそう囁かれ、反論する気も失せる。顔が熱すぎて今にも意識を失って倒れそうな気がした。
「・・・変態。サイアク」
せめてこれは取ってくれよ、と戒められた手首を差し出すと、意外や意外、あっさりとホースを解いてくれた。自由になった手を清水の背中に回す。床に倒れこんだまま、清水の唇が自分の唇に、今度は優しく重ねられる。
「ん・・・っ」
こんな行為だけで俺はイカされそうになる。結局相手のペースに流されるのが悔しくて、早めに口を離した。
「いつも・・・奥さんにもこんなキスしてんのかよ」
すると清水は珍しく素直に驚いている。・・・そんなにまずいこと言ったかな俺。
「やきもち・・・ですか?」
「!!・・・んなんじゃねぇよっ」
どうせまたニヤニヤしてるんだろう。目線を合わせたくなくて視線を右方向へ向ける。
「・・・それはこっちの台詞ですよ・・・」
・・・え?予想もしない清水の一言に、俺は耳を疑った。何か聞き逃したのかと思って視線を戻すと・・・先程も見せた・・・不機嫌な顔。
「あんな事を俺以外のやつにしてるのかと思うと・・・」
・・・あんな事??何の事だ。そんな風に言われる覚えは全くない。ふと、清水の視線が一瞬だけ横に放られたバスタオルに向けられる。まさか・・・さっきバスタオルで髪を拭こうとした事だろうか。その時も清水はこんな表情を見せた。
「で、でも何で・・・、ってコラ!!」
不機嫌な顔に気をとられて清水の手が下に伸びている事に気付くのが遅れた。ベルトを器用に外していくその手を慌ててとめた。
「調子に乗ってんじゃねぇよ!!大体お前なぁ・・・」
「うるさい」
「!」
明らかに清水の口調が変わっている。その視線に全身が固まってしまう。・・・まるで心臓の音だけにエコーがかかったみたいに。俺の手を簡単に払いのけ、ベルトの外れたズボンを下着ごと剥かれた。
761清水に掘られる二死タン4:2001/07/12(木) 08:10
今までに何度もこんな姿をさらされてきて今更思うのもなんだが、恥ずかしさに目をきつく閉じる。太ももを掴まれて大きく広げられる。その体勢を見られるだけで背筋がぞくぞくし、反抗もできなくなってしまう。もう待ちきれないのか、清水の指は俺のモノではなく、秘部の方へと伸びてきた。
「う・・・ぐっ!!」
突然の激痛に背中が大きく反り返る。その声が響いて返ってくるのに気付き、慌てて手で口を塞いだ。二つの指が中で激しく動く。反応する俺をみて微笑んでいる清水・・・気が狂いそうになる。何も塗ったりしてないそこは、指が微かに動くだけでいつも以上の痛みが増してゆく。
「うっ・・・・・く、んん・・・・!」
「ちゃんと声出してくださいよ・・・」
必死に声を抑えようとしている俺のその手を清水の手が捕らえ、無理矢理口から離される。堰を失った俺の口からは吐き出すように声が漏れるようになる。
「あっ、あ・・・・!!やっ」
例によって声は壁に反射して倍になって返ってくる。羞恥心をかきまわされ、俺の目尻に熱い感覚がつたう。やがて指は抜かれ、足を高く持ち上げられる。清水の意図を察した俺は激しく身を捩るが、もはやどうにもならなかった。
「清水!ツライって、何も・・・っ、なかったら・・・・」
「そうですか」
清水は怪訝そうな顔をして自分の唾液を自分のモノに塗りたくる。まさかそれだけで入れるつもりなのだろうか。
「おい、それじゃあんまり変わんねぇ・・・っ」
「何もしないよりはましでしょ」
俺の太ももを倒したかと思うと、躊躇することなくそれは無理矢理俺の中に挿入された。
「あぐ・・・っ!!!」
ものすごい圧迫感、引き裂かれるような痛み・・・。俺はたまらず声にならない悲鳴を上げた。自分でもどこからこんな声がでるのか不思議なくらいだった。しかしどんなに苦痛に喘いでも清水はお構いなし。むしろ俺の反応を楽しむかのように激しく突き上げてくる。両手は軽く押さえられ、押し殺したい声をどうすることもできずに漏らすしかなかった。
「あ・・・っあぅ!!しっ・・・あ、はぁっ」
風呂場中に俺の声と俺の中を犯していくいやらしい音が響き渡り、更に俺の身体を刺激する。全身は痙攣したようにがくがく震え、ただただ激しく揺らされながら悶え続けていた。
「仁志さん・・・いいですか」
規則的な動きを続けていた清水の状態に少し変化が起こる。まだ続く痛みと快感に唇を噛んで耐えながら清水を見上げる。
「や・・・っあ、だめ、中に・・・出すなっ」
願ってはみたが清水はもちろん抜いてはくれない。やがて頂点に登りつめると、熱い液体を俺の中に打ちつける。

「う・・・・はっ、ああぁ・・・・っ!!」

同時に俺の方も頂点に達し、更に大きくのけぞって天を仰いだ。だんだん意識が薄れていってよく覚えてないが、清水のぬくもりにしばらく包まれていた気がする・・・。

     ◆
762oshimai:2001/07/12(木) 08:12
「・・・・・うっ・・・」

目を覚ますと・・・ベッドの中にいた。身体が思うように動かない。声を出しすぎて喉が痛い。ふと、その光景を思い出す。結局俺は清水の都合のいいように抱かれてしまった気がする。
今は顔に張り付いた邪魔な前髪を振り払う体力さえ残っていない。精一杯の力で顔だけ横に向けると・・・
すぐ側で清水が眠っていた。いや・・・どうせ起きているだろう。そっと名前を呼ぶとすぐに目を開いた。清水はそっと手を差し出して俺の前髪を優しく掻き分けてくれる。その微かな感触と体温が心地よかった。
「・・・ちょっとした独占欲ですよ」
清水はそうささやいたが、そうだろうか。独占というより個人的な欲求を満たしたいがために俺が犠牲になってるような気もするが。
「お前の行為からは何も感じられない」
そう言い放って、視線をそらした。清水が俺のこの言葉をどう受け取ったかはわからない。しばらくそのまま沈黙が続き・・・それを破ったのは清水だった。

「仁志さんが感じ取ろうとしないからじゃないですか?」

その台詞に思わず視線を再び合わせてしまい、焦りだす俺。清水はいつもと変わらない優しい笑顔で俺に語りかけてくる。
俺が・・・俺の方がこの想いを否定しているというのか。いや、確かに素直でないのは認めるが・・・。
「俺は逃げたりなんかしてねぇよ」
いつだって気付けば清水をどこかで必要としてしまっている。また性懲りもなく救って欲しいなどと思ってしまう。ただ・・・、いつもそうやって手を引いてもらって、逆に俺が何も出来ないのが苦しかっただけ。
「全く仁志さんはぁ〜、素直じゃないんだから」
清水はもう・・・この俺の気持ちに気付いているんだろうか。全てを見透かすような優しい目。発せられる一言ひとことには全てエコーがかかって俺の心に響いてくる。そんな清水に、形は多少違えど、俺の方が少しずつ惹かれていってるという事を。
「・・・愛してますよ」
こんな重い言葉をこいつはさらっと言ってのける。しかし軽い気持ちで言っているのではない事くらいわかる。俺は・・・素直じゃないから、いつも伝えられない。でも俺は俺のやり方で清水を愛せればいいと思う。もちろんこんな事、本人には絶対に言えないのだが。
「清水・・・俺、身体動かねぇんだ・・・」
わかってますよ、と微笑んで、清水の方から顔が近づいてきて唇がそっとあてられる。一瞬だけ・・・手に残る痛みも消えた気がした。
窓を見るともう日が昇り始めていた・・・。

fin