だぁ!だぁ!だぁ!

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429すごい泉
庭のどこかで虫が鳴いてる。
あ…障子、開けっ放しにしてるんだった。
…いま中庭に誰か来られたら…ぜんぶ見られちゃうな…
そんなことがふと頭に浮かんだけれど、まるで他人事みたいな気がした。
頭の中がマヒしちゃったのかなぁ…。
…でも、なぜだか、しあわせだ。
彷徨は、おれのこと愛してるか、なんてことは訊かないんだね。
私がいつか自分の口から言うのを信じてるんだ。
うん…。私もいつか言うよ。きっと。私も彷徨のこと、愛してる…って。

…ごめんね。ひきょうな子で。

「彷徨…」
「…未夢…」
「……彷…徨…」
もっと彷徨の体温を感じていたかった。
立てひざだった足を彷徨の腰に巻きつけて、離さないようしっかりと挟み込んだ。
重くて深いキスをしながら、両手をたすきがけにして彷徨のからだを抱く。
私のからだの脂肪がクッションになって、彷徨の胸…おなか…下のところまでを
やさしく密着させる。バストを押しつけると、胸の先の内側でふしぎな感覚がした。
私の上の彷徨は、少し前かがみ気味になって、私のからだを完全に包んでしまった。
彷徨の右腕が私の背中にまわって、私を力強く引き寄せる。
…私のはじめてみる、こんなに激しい彷徨。
たった右腕一本で、私の肋骨が砕けそう。
彷徨は腰を動かしてはいなかったけど、深いところまで届いていたのでつらかった。
なんだか振り落とされるような錯覚がして、泣きそうになりながら必死でしがみついた。

やがて…彷徨が苦しそうに小さく息を詰まらせると、ものすごい力で私を締めた。
私は少しだけ耐えたけど、あきらめて、彷徨の中で落ちていくことにした。
意識が遠のく直前、彷徨が絶え絶えの息になって小さく沈んでいくのがわかった。
430すごい泉:2001/07/08(日) 00:41 ID:hUvZT3JE
…どれくらい経ったのかな。
ふと気がつくと、いつのまにか私たちのうえにはタオルケットがかけられてて、
横では彷徨がひじを付いて添い寝している。
起きあがろうとすると、からだじゅうの筋肉とあそこに痛みが走った。
起き上がるのはやめて横になった。

「…起きたのか…」
「あ…うん…」

…おふろ、入りたいな…汗が冷えて寒くなってきたし。
「…彷徨…」
「ん…なんだ?未夢…」
「………もし…」「赤ちゃん…できてたら…」
彷徨が、痛いところをつかれたように目線をそらす。
「………おれ…自分のセーブができなかった…」
「…彷徨………」
「……ごめん…」
私は、それ以上聞くのはやめた。

彷徨がおふろを沸かせてくれてたので、二人で入った。
まだあそこから彷徨の出したものが出てきてて、肌にくっついて困ったよ。
彷徨が、さっきよく拭いたんだけどなぁ、なんて言うから、
急に恥ずかしくなって彷徨のこと思いっきり叩いちゃった。
…で、ちょっとどなりあってから、顔をにらみあわせてるうちに
そのうちだんだん可笑しくなってきて、二人でおなかを抱えて笑った。
それからパジャマに着替えて、子供みたいに手をつないで一緒に寝た。

次の朝、彷徨が先に起きだして、コーヒーを淹れて持ってきてくれた。私が
「これが“一緒にモーニングコーヒーを飲む”ってことなんだねぇ」
と言ったら、彷徨もはじめて気がついたみたいで、しきりに感心していた。


あれから月日が過ぎ、私には無事に生理もきたし、彷徨はちゃんと避妊をしてくれる
ようになった。時々けんかもするけれど、それと同じくらい、二人の夜を過ごすように
なった。それ以外は、いままでと変わらない、いつもと変わらない毎日…。

私、まだ、彷徨に告白できないままでいる。

<おわり>
431すごい泉@終わった…:2001/07/08(日) 00:54 ID:hUvZT3JE
最終回はエピローグが30行目を超えてしまいました。
とりあえず、二人のお初の回想SSはこれでおわりです。
連続で読むと、つながりが悪い部分がありますね…。
加筆訂正したい気分。
何はともあれ、楽しみにしてくださってた方、
レスつけてくださった方、ありがとうございました。
失速してんじゃねぇよと思われたかた、すみません。
少しづつ構成力というものを身につけていきたいです…

顔文字星人さん、AA期待してますので〜(笑)