>>405 TVシリーズ云々という話は、完結して提示された作品世界とは無関係の
議論だと思います。そのような希望をもつことはかまいませんが、作品を味わう
上ではどうでもいいことだと考えます。
異界に残されたものについて。特にリンについて考えます。
リンが、ふと漏らす、いつかこんな仕事はやめて、向こうの世界に行きたいんだ、
という台詞が妙に心に残ります。不本意ながら、異界に囚われているが、いつかは
向こうに見えている憧れの世界に戻っていきたい、本来の自分を取り戻したい、という
ささやかな夢です。
作品にはリンの過去も今後についても何も説明がありません。でも、異界にあって、
ぶっきらぼうな口ぶりだけど、何かと千尋をおもいやる、やさしいい姐御肌。
このような人物像は、水商売でよく見かけるタイプではないでしょうか?
極端なことを言いますが、歌舞伎町で不本意に命を失った「キャバクラ嬢」たちを
思い起こします。彼女たちは、あそこで人生が終わるとは夢にも思っていなかった
でしょう。不本意だったに違いありません。その悲しみをリンに見るのです。
歌舞伎町に見るように、そのような異界が、私たちの身の回りに隣接して口を開いて
いるのだ、と感じて戦慄します。