『千と千尋の神隠し』X

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>>405 TVシリーズ云々という話は、完結して提示された作品世界とは無関係の
議論だと思います。そのような希望をもつことはかまいませんが、作品を味わう
上ではどうでもいいことだと考えます。

異界に残されたものについて。特にリンについて考えます。
リンが、ふと漏らす、いつかこんな仕事はやめて、向こうの世界に行きたいんだ、
という台詞が妙に心に残ります。不本意ながら、異界に囚われているが、いつかは
向こうに見えている憧れの世界に戻っていきたい、本来の自分を取り戻したい、という
ささやかな夢です。
作品にはリンの過去も今後についても何も説明がありません。でも、異界にあって、
ぶっきらぼうな口ぶりだけど、何かと千尋をおもいやる、やさしいい姐御肌。
このような人物像は、水商売でよく見かけるタイプではないでしょうか?
極端なことを言いますが、歌舞伎町で不本意に命を失った「キャバクラ嬢」たちを
思い起こします。彼女たちは、あそこで人生が終わるとは夢にも思っていなかった
でしょう。不本意だったに違いありません。その悲しみをリンに見るのです。
歌舞伎町に見るように、そのような異界が、私たちの身の回りに隣接して口を開いて
いるのだ、と感じて戦慄します。
407:01/09/06 10:57 ID:MXdwhBFQ
隠蔽されたセックスについて。
リン=「キャバクラ嬢」説で顰蹙をかいついでに、悪夢のような作品世界の性的隠喩
について見てみたい。坊は暴言の坊だからな。
森のわき道を突き進むアウディから千尋だけが見つける無気味なかえるの石像。
固さ形状ともに、勃起したペニスだ。その石像が車止めとして屹立する後ろには、
赤く塗られて黒い穴のある「門」。女性器そのものだ。
その暗いトンネルをくぐることは性交を示し、くぐり終えると、素晴らしい快感を
表わす「気持ちいい草原と青空」が広がっている。やさしく風に草がそよぐ、たおやかな
丘陵は女性器だ。ペニスの石像も所々に立っているのが、まさしく淫夢のようだ。
さらに、水の無い川。まだ、快感を得て潤っていない女性器の隠喩だ。
出だしのところにこれだけ隠喩が見て取れる。油屋では、風呂と酒食の接待のほか、
セックスも満たしているに違いない。描写され得ないだけで。