ヘタレ脚本マンセー!シスプリ考察スレッド

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27朝日新聞5/15朝刊より
シリーズ 心を閉ざす若者 第3回(全4回)

「最近の若者は対面によるカウンセリングでは心の内を
正直に話してはくれないんですよ」と語るのは医師の山
田明夫博士(38).山田博士は電子メールによるカウンセ
リングの効果について研究している.「重度の精神分裂
症の場合,まずいかにして自分の存在を相手に認識させ
るかが障害になってきます.医師と患者という関係では
相手に警戒心を抱かれてしまうので,私の場合,年齢の
似通った友人という関係を築くことを最初のアプローチ
にしています」

山田博士が最近扱った症例では,自分には12人の妹がい
ると思い込んでいる分裂症患者のWさん(24)の例がある.
「普通の分裂症患者の場合は"他人がどう見える"とか"
自分がどうだ"とか,現実に存在する対象物に対して異
常な認識をするものですが,今回のケースのWさんの場
合は全く何も存在していないところから12人の妹を作り
出してしまっているところです.この12人の妹はそれぞ
れ人物像が定義されているのですが,面白いことにアニ
メやマンガからの影響が大きいのが現代的とも言えるで
しょう.中には和服を着て昔の言葉で喋る妹なんていう
荒唐無稽な人物もいるのですが,これも調べてみるとテ
レビゲームにそういうキャラクターが登場するものがあ
るのです.」
28そにょ2:2001/08/19(日) 03:15
そのような重度の分裂症患者はどのような生活をおくっ
ているのだろうか?
「Wさんが入院しているのはいわゆる風光明媚な観光地
の様な雰囲気のある病院です.今までの精神病院の暗い
とか閉鎖的というネガティブなイメージを否定するよう
な場所で,ホスピスのような所を想像してもらえればい
いでしょう.環境を閉鎖的にすると,精神まで閉鎖的に
なってしまいます.患者の自由と安全を約束し,周囲の
住民のためにある程度の隔離も必要なので"約束の島"な
んて呼ばれてますよ.今回は実験的に進められている計
画ですが,よい結果が残せるようならば,今後もこのタ
イプの病院は増えていくでしょう.」
29そにょ3:2001/08/19(日) 03:16
今回の研究には山田博士の研究室に所属する大学院生の
鈴木真美さん(25)も参加している.
「私の仕事はWさんの実際の行動を観察する事です.そ
の観察結果をもとに山田先生がWさんからのメールの内
容と異なる点を調査します.患者さんの行動を観察する
為にはある程度近づかなければならないので,私は看護
婦という立場で近づくことにしたのですが,どうやら13
人目の妹として認識されてしまったようです.Wさんに
悪い影響を与えないために妹として振る舞うようにして
いるのですが,長い時間がたつと知らず知らずのうちに
Wさんに干渉してしまい,観察者としての立場を忘れて
しまいがちになって,先生から注意を受けています.」
30そにょ4:2001/08/19(日) 03:16
最後に今後の治療方針について聞いてみた.
「今回のケースでは,Wさんが高校受験に失敗し,それ
が自分に対する信頼を失わせたのが全ての始まりになっ
ています.彼の場合は何かに対する依存ではなく,自分
が一人の人間として自立し信頼してもらうために12人の
妹という妄想を築いてしまったのです.彼の自信を取り
戻すことが治療のポイントなってくるので,とりあえず
成長が目に見える部分で現れる肉体の鍛錬に焦点を置き,
水泳やマラソンなどを取り入れています.これは良い成
果を上げていて,彼が少しずつ新しい事に挑戦しようと
するきっかけになってきました.半年も治療を続ければ,
彼も一人の人間として自立する意志を持てるでしょう.」
31そにょ5:2001/08/19(日) 03:17
今回,Wさんへの取材許可はおりなかったが,山田博士
の話からその人物像が見えたような気がした.誰しも自
分の生活の欠落した部分を補おうとする心の動きはある.
Wさんの場合はその動きが普通の人よりも大きかっただ
けなのだろう.彼を治療する事と,12人の妹と暮らして
いく事のどちらが彼の幸せになるのか,現時点では判断
できないが,12人の妹っていうのはどうかと思うよ(笑).
(社会部:網屋正治)