アイと怒りで活路を開け!『Z.O.E Dolores,i』12
214 :
あらすじ:
第25話「嘆きの天使」
セントラルステーションに近づきつつあるエンダー号のメンバーは、軌道エレベーターの
第一アジャスターホイールが移動しているのを目撃する。
それはアンカーに万一があった場合、静止衛星軌道の外周方向に移動してエレベーターの
重量バランスを取るためのもので、それでも駄目な場合は内周側のミドルステーション、
セカンドステーションも切り離し軽減しなければならない。
エンダー号は被弾、排除したコンテナを敵の囮にしてステーションへ強行突入する。
一方、レベッカを引き上げたジェイムズは代わりに落下(?)するが、復帰したドロレス
に受け止められた。エレベーター外部に降ろされるジェイムズ。が、その直後レベッカに
拳銃を突きつけられる。不敵な笑みを浮かべるレベッカ。
「何で手前はそこまで馬鹿なんだよ!」「黙れ! 父様のために死ぬ、それが私の家族の
絆だ!」「馬鹿野郎!」
振り向きざま右アッパーで銃を払い、左ストレートが彼女のボディーに炸裂、一瞬にして
攻守は逆転する。ジェイムズは怒鳴りつける。
「手前のために子供を犠牲にする親なんざ、親じゃねぇ!!」「うるさい、貴様に何が」
「わかるね! 俺も人の親だ! 親子の絆はそんな冷たいものじゃねえんだよ!!
…いい加減、インチキな大人に振り回されるのは止めちまえ…。」
ドロレスと去るジェイムズ。レベッカには彼の言葉と肩にかけた彼の手の感触が残った。
215 :
あらすじ:01/09/23 01:26 ID:pqxG.7XI
第一ホイールは敵の攻撃によって崩壊、アンカーの損壊率はすでに20%にも達した。
グランドステーションは水没を始め、エレベーターの振動は大気に揺さぶりをかける。
地上では嵐が吹き荒れた。第二ホイールも起動し、敵と護衛部隊の交戦が始まる。
セントラルステーション管制室にたどり着いたレイチェル達は、ミドル、セカンドの強制
排除を司令に提言するが、作戦司令部の沈黙に敗北を感じた司令はそれよりも退避すべき
だと返した。レイチェルは司令を押しのけ、オペレーター達を一喝する。
「逃げたい者がいるなら止めないわ。でも、私達の後ろには120億もの人達がいる。今
逃げたらその人達を見殺しにすることになるのよ。後悔したくなかったら最後までここ
で戦いぬくの。さあ、あなた達どうするの? 逃げるの? 戦うの!?」
この言葉に決意を固めたオペレーター達は誰一人逃げず、パージの準備に入った。
しかし、システムの起動は中央管理室でのマニュアル操作が必要だ。司令から起動キーを
もぎ取ったレオンはシンディに誘導を頼み、ノエルと共にそこへ向かった。
レイチェルはジェイムズに状況を報告、応急処置を施してもラダムを倒さない限り事態は
収拾しないと念を押される。
「ったく、どうにも尻に敷かれてるって感じだぜ。」
苦笑するジェイムズ。
216 :
あらすじ:01/09/23 01:29 ID:pqxG.7XI
アンカーへ急ぐ中、ドロレスは尋ねる。どうしてラダムはこんな非道いことをするのかと。
「それはな…奴も希望を持っていたんだ。」「希望?」「希望を持っている限り人はぎり
ぎりまで頑張っちまう。だがな、その希望が断ち切られた時、頑張った分絶望する。」
「それじゃあ、あの人は頑張ったから…。でもあの人のしていることは悪いことです。」
「人の心には魔物が棲んでいるんだ。」「魔物?」「そいつがある時、ふと言うのさ。
『あなたを、この絶望から救い出してあげましょうか?』ってな…。」
「だがよ! 人が絶望から這い上がるには手前の手で上がるしかねえ! どんなに立派な
奴だろうと、その誘惑に乗ったら人間失格だ!」
キッと目を開き、顔を上げるジェイムズ。
最終防衛ラインを突破し、敵・無人LEVが侵入する。レオン達はその追撃を受ける。
途中のシャッターを閉鎖し、時間を稼いで装置にアクセス、2つのスイッチを同時に押し
パージの始動に成功する。その直後攻撃を受けるも、味方LEVによって排除された。
地上では両ステーションの破片による流星雨が観測された。
217 :
あらすじ:01/09/23 01:31 ID:pqxG.7XI
アンカーの破壊を進めたラダムはその内部に侵入、そこで幻を見る。
−無人の教会に拍手が響き渡り、神父もいない祭壇で花嫁姿のドリーと口づけを交わす。
鳩が飛び立つウェディングロードを進む二人、しかし出口には男が待ちかまえていた。
「幸せそうなところ悪いがここまでにしてもらうぞ。」
ジェイムズ・リンクス。
「お前をな、この先へ行かすと…みんな不幸になっちまうんだ!!」
アンカーステーションの内部で対峙するハトールとドロレス。
−「僕らのハネムーンを邪魔するっていうのか?」「そうだ!」
「駄目だよ、そんなことさせない。」
花婿のラダムに抱きかかえられたドリーがジェイムズに向けて手を広げる。
ハトールの掌からビームが放たれる。回避したドロレスはハトールに殴りかかる。
−ジェイムズの拳がラダムの顔に炸裂する。はじけ飛ぶ花嫁ドリー。
ドロレスの一撃に体勢を崩すもののすぐに反撃、ドロレスを蹴り飛ばすハトール。
218 :
あらすじ:01/09/23 01:33 ID:pqxG.7XI
−長椅子を砕きながら倒れるジェイムズ。立ちはだかるラダム。
「さあ、どうした!?」「…まだまだ!」
不敵に笑い、飛びかかるジェイムズ。
アンカー内のコンテナ群に突っ込むハトールとドロレス。
バリアの発動で後退するものの、ベクタートラップから銃を取り出し連射するドロレス、
しかしすべて弾き返される。
−ラダムの拳がジェイムズの顔面に炸裂する。二人の闘いを不気味な笑顔で見守るドリー。
ハトールの刃がドロレスの銃を切り裂く。
−ラダムの連打がジェイムズに決まる。
ハトールの剣に押されたドロレスは内壁に激突する。
−倒れるジェイムズ。とどめをさそうとするラダムの目の前に、もう一人誰かが現れた。
ヴァイオラ?
「また僕らの邪魔をするつもりなのかい?」
銃を向けるラダム。それに気づいたジェイムズは叫んだ。
「止めろーっ!!」
銃弾を受け倒れるヴァィオラ…いやそれはレベッカ!
219 :
あらすじ:01/09/23 01:35 ID:pqxG.7XI
ハトールが撃ったのは駆けつけたレベッカのOFだった。
半壊したコクピットで放心するレベッカ。
−ウェディングロードに横たわる娘の亡骸をあざ笑うラダム。
「この世界で意味のあるのはドリーだけだ!他の者などゴミ屑に過ぎないんだよ!
だから、俺とドリーの邪魔をする者は全て消えればいいんだ!」
ハトールのビームをシールドで受け止めるドロレス。驚くレベッカ。
「ドロレス、お前なぜ…?」「決まってるじゃないですか、私達は友達だからです。」
「ともだち…。」
「自分の友達が傷つけられるのを黙って見ているなんて、私には出来ません!」
ジェイムズにも怒やされ、後退するレベッカとアクセル。
ハトールの攻撃を防ぎきり一息つくドロレス。心配するジェイムズに、このくらい平気と
気合いを入れ直す。
「私、どうしてもこの人だけには負けたくないです!」「俺もだ! こんな、人を道具に
して使い捨てる野郎に負けたら、子供らに笑われちまうからな!」
.
邪魔する者は誰もいなくなった。いよいよ二人の最終決戦が始まる。
<つづく>