日垣隆・総合スレ★26 日垣隆を嗤う・本&ツイート

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380無名草子さん
新「ガッキィファイター」 第37号   2003年5月11日発行

■■一読即決■■ 「文藝春秋」6月号の巻

 さて肝心の「文藝春秋」6月号ですが、ラストページの「社中日記」には恒例により、
新入社員の「あることないこと」が紹介されています。卒業大学・学部名は真実である
はずですが、そうしてみると、文藝春秋では東大早稲田慶應以外は人じゃあねえのかよッ。
田中康夫のイモつ橋もあったか。

 私のお薦めは、3本あります。
 1、麻木久仁子 父の万年筆
 2、甲野善紀 「車内暴力」誰でもできる護身術
 3、森光子 生きていく私と東山君のこと

 麻木さんの「父の万年筆」は、添削不可能の域に達した名随筆です。タイトルも、
これ以外には考えられません。《別の女性》と家庭をもった父上の、葬儀には出なかったと、
ここには書かれています。小さいころから接触が少なかっただけに、あるべき「父親像」を
胸中ずっと模索されたのかもしれません。家族を「捨てた」わけですから、恨まれても当然
なのですが、向こうの家庭では「優しい」方だったのでしょう。ある人への優しさは、
他の人にとっては優柔不断でしかない、という真理は普遍的にあると思います。
 文章というものは、まず書く側にとって深い意味がある、ということを教えてくれる
随筆でした。