日垣 隆・総合スレ★17

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50無名草子さん
ガッキーは最近、刑法39条の話してるの?最近忙しいから読んでないけど。
ガッキーの刑法39条についての主張は、ここではあまり批判されてないけど、
最近疑問に思い始めたので、スレの振興も兼ねて書くね。

ガッキーの主張を要約すれば、次のようになると思う。
(刑法39条の問題点)
 ・心神喪失の基準が曖昧。単に犯罪の異常性なり、精神病なりで判定。
 ・心神喪失で無罪になると、治療の強制などフォロー無し。ほったらかし。
(解決策)
 ・刑法39条廃止。精神障害犯罪者に刑事治療処遇の強制。
   ・精神障害犯罪者とは、犯罪を為した精神障害者であり、
    単なる精神障害者とは、(犯罪を為したかという点で)異なる。
   ・よって、刑事治療処遇は、保安処分とは異なる。刑事治療処遇
    を批判する輩は、単なる精神障害者と精神障害犯罪者を混同してる。

※保安処分とは、、「犯罪者もしくはそのような行為を行う危険性がある者」
 を対象に、刑罰とは別に処分を補充したり、犯罪原因を取り除く治療・改善
 を内容とした処分を与える事(wikipediaより。因みにwikiに刑事治療処遇
  の観点は無いようだよ)

次へ続く
51無名草子さん:2007/02/09(金) 01:17:40
>>50より続く。

でもさ、最近ガッキーの主張に疑問に感じた。
刑法39条の問題は、次の三つの論点に分けられると思う。

1.一般論として、そもそも心神喪失者は存在し、犯罪を為しうるか
 心神喪失者を、精神障害などにより、自由意思が無い者、と単純に定義
 する。そう定義すると、やはり精神障害なり痴呆(認知症)なりで、
 心神喪失者は存在すると思う。そして、やはり犯罪を為しうると思う。

2.心神喪失者が犯罪を犯した場合、免責すべきか
 これも私は免責すべきだと思う。心神喪失者は自由意思が無い以上、
 責任は問うべきではないから。他に選択の余地があったかも知れない
 という、有責性が必要だ。緊急避難でも、命の危険があるという意味で
 自由意思が無い、という共通点がある。

3.ある特定の犯罪者が、心神喪失者であると、客観的に判断できるか
 この論点が、ガッキーが、基準が曖昧と非難してる点だと思う。
 私も、ガッキーの主張は正しいと思う。でも、刑法39条廃止は賛成
 できない。例えば、痴呆症は、脳のCTスキャンを取って、客観的に
 心神喪失者であるか判定できる可能性がある。知的障害にも、同様の
 客観性がある。犯罪者に対して自由意思があると推定し、心神喪失の
 客観的な証拠が出てきたら、やはりその犯罪者は免責すべきと思う。

次へ続く
52無名草子さん:2007/02/09(金) 01:33:11
>>52から続く

で、前述の1-3の論点を全て満たすような犯罪者がいた場合、どのように
処遇すべきか、という問題が残る。ここから何だか禅問答っぽいなと、
自分でも思うけど、我慢して聞いてくれよ。

(刑事治療処遇の位置付け)
ガッキーは、この論点をどう考えてるの?実は、すでに発表していて、
私が知らないだけかも知れないけど。

前述の1-3の論点を全て満たすような犯罪者に、刑事治療処遇を科す場合、
何を根拠に科されるのか。論点1-3で、犯罪への有責性はブロックされてる
から、通常の刑法の論理は使えない。

で、私が考えたのが、犯罪を、症例の一つとして構成される病気(仮に
犯罪精神障害)と考え、その病気に対して、治療するのと社会防衛のため
に刑事治療処遇を科すというのはどうだろうか。

これならば、感染病者を強制隔離するのと類似した論理を使えるし、
単なる精神障害者の人権は守られる。

でも、犯罪を、症例の一つとして構成される病気(仮に犯罪精神障害)
などという臨床像は、存在しないと、医者たちに言われるだろうけど。