国税総合管理(KSK)・電子申告システム

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377sage
文祥堂(本社・東京都中央区)が国税当局の税務調査を受け,申告漏れの指摘を受けてい
たことが明らかになった。
コンピュータシステムの開発運用に当たり,マルチベンダーの構成員以外の会社に支払っ
た金銭について,その経費処理方法が問題になったもの。これに対して文祥堂は,「納得
できない課税」として争う構えを見せ,国税当局と火花を散らしている。 文祥堂による
と,今回,申告漏れの対象とされているのは,文祥堂がアクセンチュア(旧アンダーセン
コンサルティング)に対して開発運用費の粗利20%相当額を外注費として支出していた
という点だ。文祥堂がシステムの発注元に差し入れた念書には,マルチベンダーの構成員
が記載されていたが,そこにアクセンチュアの名前はなかった。 しかも,アクセンチュ
アが現場に派遣していた社員は、システムエンジニアでもプログラマーでもないため,プ
ログラムなどの目に見える成果物が全く残っていなかった。 これらの事実をもとに税務
署は,文祥堂が支払った外注費は単なる交際費と認定し、重加算税までかけた。文祥堂は、
「アクセンチュアが派遣していた社員は技術者ではないが発注元との交渉やベンダー間の
調整などに参加していた。 アクセンチュアは共同事業から利益を受けるだけでなく責任
も負っていたことから,実質的にマルチベンダーに参加していた。契約書上は、マルチベ
ンダーの構成員となってはいなかったとしても,マルチベンダーの実質上の構成員として
共同事業に参加している場合には、支出は利益の分配と推認され、交際費には該当しな
い。」と主張して,税務署の処分の取り消しを求めている。しかし,文祥堂にとって不幸
なことは,建設業界ではこのような支出は談合金として交際費課税されるケースがあると
いう事実だ。 ある大手建設会社の営業課長は,「経費として処理することはよくあるこ
とだが,税務署から指摘され交際費課税されれば諦めている」と話している。問題を複雑
にしているのは,システムの発注元が国税当局であることだ。 このシステムは「KSK
(国税総合管理)」と呼ばれる最新ITをフルに利用した新徴税システムで,全国の税務
署に数年前から順次導入されている。関係者によると,「当局は,マルチベンダーの正式
な構成員ではないアクセンチュアが開発運用のインテグレーターとなっていたことを認識
し,黙認していた」と言う。「このような事情があるので,文祥堂は納得できない」(同
関係者)。 これまで文祥堂に対して指摘がなかったという点では,当局の怠慢と言われ
ても仕方がない。なお,この件について当局の広報官は,「個別の事例についてはコメン
トできない」と話している。
www.rondan.co.jp/html/mail/0203/020316.html