1 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:
僕は学院ちょに電話をかけ、短答にどうしても合格したいんだ。
話すことがいっぱいある。話さなくちゃいけないことがいっぱいある。
世界中に短答以外に求めるものは何もない。短答に通って論文を受けたい。
何もかもを短答から最初からはじめたい、と言った。
学院ちょは長い間電話の向こうで黙っていた。
まるで世界中の細かい雨が世界中の芝生に振っているようなそんな沈黙が続いた。
僕はその間ガラス窓にずっと額を押し付けて目を閉じていた。
それからやがて学院ちょが口を開いた。『君、今どこにいるんだ?』と彼は静かな声で言った。
僕は今どこにいるのだ?
僕は受話器を持ったまま顔を上げ、電話ボックスの周りをぐるりと見まわしてみた。
僕は今どこにいるのだ?でもそこがどこなのか僕にはわからなかった。見当もつかなかった。
いったいここはどこなんだ?僕の目に映るのはいずこへともなく歩きすぎていく無数の人々の姿だけだった。
僕はどこでもない場所のまん中から学院ちょを呼びつづけていた。
2 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/08 01:11 ID:jKK9oS9Q
それは我々が学ばねばならない真理の一部でしかなかった。
不合格が僕に教えたのはこういうことだった。
どのような真理をもってしても不合格の哀しみを癒すことはできないのだ。
どのような真理も、どのような誠実さも、どのような強さも、どのような優しさも、
その哀しみを癒すことはできないのだ。
我々はその哀しみを哀しみ抜いて、そこから何かを学びとることしか出来ないし、
そしてその学びとった何かも、次にやってくる予期せぬ哀しみに対しては何の役にも立たないのだ。
3 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/08 01:12 ID:jKK9oS9Q
しかし、僕が脆弱な仮説の上に築き上げた幻想の城は、
全答練結果の返却によってあっという間に崩れ落ちてしまった。
そしてその後には無感覚なのっぺりとした平面が残っているだけ
だった。
4 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/08 01:15 ID:jKK9oS9Q
「ベテの5年後のこともっと知りたい?」
「興味はあるね、いささか」
「ねえ、私は「ベテの5年後をもっと知りたいって質問したのよ。
そんな答えっていくら何でもひどいと思わない?」
「もっと知りたいよ、そのことを」と僕は言った。
「本当に?」
「本当に」
「もうすぐ年齢制限で第2新卒での就職が危なくなるとしても?」
「そんなにひどいの?」
「ある意味ではね」と彼女は言って顔をしかめた。
ピース。 恵美子が言った。
5 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/08 01:16 ID:jKK9oS9Q
何をしているのか? 男はフランス語で訪ねた。
「会計士試験」僕は英語で答えた。
「会計士試験?」
僕は簡単にルールを説明してやった。5月になったらバッターボックスに入る。
金融庁が問題を投げる。僕らがそれをひっぱたく。論述まで走って一点入る。
男はしばらく聞いていたが、僕が短答にダブルプレーを三度くらった話を
聞き終わると、何故就職しないのかと僕に訊いた。
「もうベテだからさ。」
「じゃあフランスでは何の職業が人気がある?」
「キャリアスタッフ」
ありゃ、派遣企業だ。
「公務員。」
「糞(メルドー)だ。」
男はそういうとテーブルに戻った。
6 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/08 01:17 ID:jKK9oS9Q
「完璧な短答試験などといったものは存在しない。完璧な受験生が
存在しないようにね。」
僕が卒5のころ偶然にも知り合った一回合格者は僕に向ってそう言った。
僕がその本当の意味を理解できたのはタクシィ・ドライヴァになってから
のことだったが、 少くともそれをある種の慰めとしてとることも可能であった。
完璧な試験対策なんて存在しない、と。
7 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/08 01:18 ID:4iyoR8Ad
幻想の白の頂上に水着で登れ。
そして「スペシウム光線@天国」と言って飛び降りろ。
散乱する脳みそと曲がった死後硬直の顔。
8 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/08 01:20 ID:jKK9oS9Q
「君のこと大好きだよ」と僕は言った。「心から好きだよ。もう二度と放したくないと思う。でもどうしようもないんだよ。今は身うごきとれないんだ」
「短答のことで?」
僕は肯いた。
「ねえ、教えて。短答受かったことあるの?」
「三年前に一度だけね」
「それから受けなかったの?」
「二回受けたよ。でも受かってない」と僕は言った。
「それはどうしてなの?あなたは会計士に向いていないんじゃないの?」
「僕にはなんとも言えない」と僕は言った。「とても事情が込み入っているんだ。
いろんな判定が絡みあっていて、それがずっと長いあいだつづいているものだから、
本当はどうなのかというのがだんだんわからなくなってきているんだ。僕にわかって
いるのは、会計士試験受験がある種の人間としての責任であるということなんだ。そして僕はそれを放り出すわけにはいかないんだ。
少くとも今はそう感じているんだよ。たとえ周りが結婚して子供を持ちはじめても」
9 :
二村 ◆624h3Ir6 :02/03/08 01:28 ID:2SABPDy6
「そんなもんだよ」
鼠は言った。
霧雨で濡れそぼるニューハンプシャーの芝生の上にこぼしたオレンジジュースみたいな言い方だった。
「短小なんて糞食らえさ」
僕は右手の10セント硬貨と左手の新渡戸稲造をもう一度正確に数えた。
「短小のいいところはションベンになって皆出ちまうとこさ」
10 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/08 01:34 ID:0f6fBvDd
春樹を読んでるね。春樹っぽいよ!
11 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/08 01:40 ID:HADEuXzt
結構好きかも
もっと書いてくれ
12 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/08 01:42 ID:+AI3k2yj
1995年、僕はまだ受験生ではなかった。
それから起こったことを認めたくないのなら、
水道橋駅のホームから飛び込むしかない。
13 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/08 11:39 ID:LlX7e6bU
なかなかいいです。続きお願いします。
これって、村上春樹の何ていう本のパロディー?
ノルウェイの森?
15 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/08 12:07 ID:0izG5Vxl
村上先生の"1973年のピンボール"では
またもやスレ違い?
16 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/08 16:20 ID:mURsoKqR
「本当に合格するって思ってるの?」
「僕はきっと合格すると思う。どうしてかは分からない。でもそんな気がするんだ。」
「でもね」
と彼女が言いかけると、それを遮るように大音量で曲が流れてきた。
ジャクソン5の「アイ・ウォント・ユー・バック」だった。
17 :
擦地 概太:02/03/09 00:01 ID:HiaAWdgP
>14
1は「ノルウェイの森」の結末、12は「風の歌を聴け」の冒頭でしょう。
あとは知りません。
18 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/12 18:32 ID:p6i7X2SU
短答前の貴重な通学時間が、「神の子供はみな踊る」のために消えてしまった、、、
19 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/12 20:49 ID:BFrv9F/X
>>18 「神の子どもたちはみな踊る」
ってオレ的にはさっぱり分からんかった。
みんなはどうよ?
20 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/12 21:55 ID:5Bn/mU0k
8もノルウェイの森。
すごく懐かしい。もう、12年前ぐらい前に出た本だと思う。
もっと書いて下され。
21 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/13 01:14 ID:N6Ta8/tj
僕がジェイズバーに入った時、鼠は電話帳ほどもある岡本清の
恐ろしく長い本を読んでいた。
「面白いかい?」
鼠は本から顔を上げて首を横に振った。
「でもね、ずいぶん本を読んだよ。この間あんたと話してからさ。
『創発ループが存在しない場合は新たに作り出す必要がある』
知ってるかい?」
「いや。」
「河合忠彦。日本の経営学者さ。こんなのもあった。『実査とは
被監査会社の保有する特定資産について監査人が自ら実物検査を
行うことである、そういうものである。』」
「誰だい?それは?」
「忘れたね。本当だと思う?」
「嘘だ。」
「何故?」
「夜中の3時まで仕事して、監査証拠がないとする。倉庫を
開けても何もない。どうすればいい?」
鼠はしばらく考えてから大声で笑った。
22 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/13 01:26 ID:N6Ta8/tj
会計士試験のパンフレット「1にはわけがある!」の
序文はこのように語っている。
「あなたが会計士試験から得るものはほとんどなにもない。
数値に置き換えられた企業価値だけだ。失うものは実にいっぱい
ある。歴代試験委員の似顔絵が全部書けるくらいの下書き用紙と
(もっともあなたに十川廣國の似顔絵を書く気があればのことだが)
取り返すことのできぬ時間だ。
23 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/13 01:36 ID:N6Ta8/tj
「何かお祈りの文句を言って。」
「お祈り?」僕は驚いて叫んだ。
「お葬式だもの。お祈りはいるわ」
「気が付かなかった。」と僕はいった。
「実は手持ちのものがひとつもないんだ」
「なんだっていいの。」
「形式だけよ」
僕は爪先までぐっしょり雨に濡れながら適当な文句を捜した。
双子は心配そうに僕と配電盤を交互に眺めた。
「取締役の義務は、」僕は阿部レジュメを引用した。
「善管注意義務と忠実義務があり、両者は同質的なものである。
・・・・・・配電盤よ貯水池の底に安らかに眠れ」
「投げて」
「ん?」
「配電盤よ」
僕は右腕を思い切りバックスイングさせてから、配電盤を
力いっぱい放り投げた。
24 :
あやや:02/03/13 01:42 ID:IlJppwXn
>>21-23 駄目だよ。単に科目の知識を織込むだけじゃ。
もっと、受験生の自虐さとかベテの悲しさみたいなのがかいま見えないと。
「僕」がキャラ立ちしない。
そんなただ単にはめこんだようなのじゃ、60点もいかない。
25 :
二村 ◆624h3Ir6 :02/03/13 01:47 ID:hHskycqr
エレベータのドアが閉まるシュウッというコンプレッサー音を背中に確かめてから、おもむろに目を閉じる。
そして意識の断片をかきあつめ、TACの廊下を自習室に向かって十六歩歩いた。
目を閉じたまま正確に十六歩、それ以上でもそれ以下でもない。
長期間に渡る勉強のおかげで頭はすりきれたネジみたいにぼんやりとして、口の中は煙草のタールの匂いでいっぱいだった。
それでも、何度落ちても、目を閉じたままものさしで線を引いたみたいにまっすぐ十六歩あるくことができる。
長年にわたる意味のない自己訓練の賜物だ。
落ちるたびに背筋をしゃんと伸ばし、顔を上げ、TACの空気と廊下の匂いを思いきり肺に吸い込む。
そして目を閉じ、不合格の霧の中をまっすぐ十六歩歩く。
その十六歩的世界にあっては、僕は「もっとも礼儀正しいヴェテラン」という称号を与えられている。
簡単なことだ。
不合格という事実を事実として受容すればいいのだ。
26 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/13 09:52 ID:bZs1nY1N
会計士受験生に村上春樹は人気ないのかな?
司法試験板の方がもっと盛り上がってたぞ。
>>二村氏、応援アゲ
27 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/13 14:12 ID:+wkOTzBl
もっとやれ
28 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/25 23:45 ID:aaY+MJyt
誰か続き書いて。
29 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/26 00:00 ID:kPwL5uG8
桜が散り水道橋の街が春めいてくる頃、僕は毎年TAC自習室の壁の望楼にのぼり、
ベテが予想いう名の嘘を吹いて入門性たちをあつめる儀式を眺めたものだった。ベ
テからは長く一度、短く三度連結がくる旨の警告があった。それが決まりだった。
ベテの声が聞こえると僕はいつも目を閉じて、そのやわらかなベテの言葉を体の中
にそっと浸みこませた。ベテの電卓の響きは他のどのような音の響きとも違ってい
た。それはほのかな無職を帯びた透明な魚のように入学式に沸く大学生達の多い街
並みをひっそりと通り抜け、答案返却BOXや自習室の石壁や休み時間に廊下に並ん
だ澱んだ眼の受験生達をその響きでひたしていった。大気の中にふくまれた不合格
時の絶望をすりぬけるように、その音は静かに自習室の隅々にまで響きわたってい
った。
30 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/26 00:04 ID:kPwL5uG8
ベテの声が自習室にひびきわたるとき、ベテたちは入門の記憶に向
かってその首をあげる。千頭を超える数のベテたちが一斉に、まっ
たく同じ姿勢をとって電卓の音のする方向に首をあげるのだ。ある
ものは大儀そうにフリスクを噛んでいたのをやめ、あるものは悪戯
書きだらけの机に向かってひづめでこつことと電卓を叩くのをやめ、
またあるものは不合格の日だまりの中の午睡から醒め、それぞれに
空中に首をのばす。
その瞬間あらゆるものが停止する。動くものといえば夕暮れの風
にそよぐ彼らのフケだけだ。彼らがそのときにいったい何を思い何を
凝視しているのかは僕にはわからない。ひとつの方向と角度に首を曲
げ、じっと黒板を見据えたまま、ベテたちは身じろぎひとつしない。
そして電卓の響きに耳を済ませるのだ。やがて電卓の最後の余韻が淡
い夕闇の中に吸いつくされたとき、彼らは立ちあがり、まるで何かを思
い出したかのように一定の方向を目指して叩きはじめる。束の間の呪縛
は解かれ、部屋はベテたちの叩きならす無数のひづめの音に覆われる。そ
の音はいつも僕に地底から湧きあがってくる無数の細かい泡を想像させ
た。そんな泡が街路をつつみ、家々の塀をよじのぼり、短期合格の希望
さえをもすっぽりと覆い隠してしまうのだ。
31 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/26 00:10 ID:kPwL5uG8
「俺は俺の弱さがすきなんだよ。短答不合格や論文不合格も好きだ。水道橋で迎える秋や風の匂いや受験生の声や、そんなものが好きなんだ。どうしようもなく好きなんだ。君と飲む自販機のコーヒーや・・・・・・」鼠はそこで言葉を呑みこんだ。「わからないよ」
僕は言葉を探した。しかし言葉はみつからなかった。僕はレジュメに穴を開けながら暗闇の奥をみつめた。
「我々はどうやら同じ年の合格目標講座から全く別の合格目標を作りあげてしまったようだね」と鼠は言った。
32 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/26 00:13 ID:kPwL5uG8
「水道橋があんたのための世界だからだよ」と人生相談返答男
は当然のことのように言った。「何も難しく考えることなんて
ないのさ。あんたが求めていれば、それはあるんだよ。問題は
ね、水道橋があんたの為の場所だってことなんだよ。わかるか
い?それを理解しなくちゃ駄目だよ。それは本当に特別なこと
なんだよ。だから我々はあんたが上手く戻って来られるように
努力した。それが壊れないように。それが見失われないように
。それだけのことだよ」
「僕は本当に水道橋に含まれているんだね?」
「もちろんだよ。あんたも水道橋に含まれている。おいらも
水道橋に含まれている。みんな水道橋に含まれている。そして
水道橋はあんたの世界なんだ」と人生相談返答男は言った。そ
して指を一本上にあげた。巨大な指が壁の上に浮かびあがった
。
「君は水道橋で何をしているの? そして君は何なんだろう?」
「おいらは経営者だよ」と彼は言ってしゃがれた声で笑った。
33 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/03/26 00:27 ID:lwIlrx9j
イイ感じ!
完璧な税務調査なんて存在しない、完璧な脱税が存在しないようにね。
僕がまだ、駆け出しの調査官だった頃、かつて査察の鬼と言われた統括官はにこに笑いながらそう言った。
「完璧な税務調査なんて存在しない」
僕がその本当の意味を知ることができたのはずっと後のことだったが、それは一種の慰めとして受け取ることも可能であった。
「完璧な税務調査なんて存在しない」と。
35 :
村上龍:02/03/26 05:22 ID:CMshGpG8
ポップアートなデカダンスエロスだ
36 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/04/02 04:32 ID:xY6zjIGE
村上春樹は読んだことないけど面白いのでage
37 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/04/02 04:40 ID:JrrDDuS1
38 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/04/02 05:30 ID:EJWEM/Ls
「あとひとつだけ聞いておきたいことがあるんだ。さっきふと思ったんだ。
ふと気がついた。僕はこれまでのリース会計の中でずっと借手の見積購入価額
をで答えを求めてきたような気がするんだ。そしてこれまでいろんな専門学校
でリース会計の問題で間違えてきたような気がする。問題がいろんな形をとっ
てそこにいたように思えるんだ。その姿はすごくぼんやりとしていた。あるいは
リース債務のほんの一部に過ぎなかった。でも今になって思い返してみると、そ
れは全部割引現在価値をリース取得時の金額にするべきだったように思えるんだ。
僕はそう感じるんだ」
羊男は両手の指で卑猥な形を作った。「そうだよ、あんたの言うとおりだよ。
あんたの思っている通りだよ。あんたは授業の時寝ていた。おいらはテキストとして、
レジュメとして、そこにかいた。」
「でもわからないな」と僕は言った。「今僕はこうしてはっきりと君の板書や
テキストを見ることができるようになった。昔見えなかったものが、こうして今見え
るようになった。どうしてだろう?」
「それはあんたがヴェテで既に多くの物を失ったからだよ」と彼は静かに言った。「
そして行くべき専門学校が少なくなってきたからだよ。だから今あんたにはおいらの
姿が見えるんだよ。おいらのテキストにはリスクヘッジのためにあらゆる論点があるんだ。」
〜『リース・リース・リース』
39 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/04/02 05:46 ID:EJWEM/Ls
自宅の部屋に帰ってきてからは特にすることもなく
ひとりで電卓を叩きながら簿記の問題を3本ばかり解いた。
4本目の解答用紙を開き、電卓に左手を置いたところで
双子が帰ってきた。ランチは何を食べたのかを聞くと
双子は黙ったまま俯いた。そして、何かを決意したような表情で
>>1が言った。
「ごめんなさい。わたしたち去年までの簿記の問題を使わないで貯金してたの。今年の
問題は間違えて全部捨ててしまったの。
それで今まで貯めた簿記の問題に退職給付会計を合わせて、やっとあなたが気付かないような
今年の問題ぽいのができたの」
僕は別に驚かなかった。とても素敵なことだと思うし、 女の子が大人の女性に変化する過程で簿記
を解くことは、 むしろ当然だと思ったからだ。
「そうか。僕も去年に一度経験してるよ。焦って古い基準で解いちゃうんだ。今ではいい思い出だけどね」
「あなたももう一度解いてみたら? きっと幸せになれるわ」
僕は苦笑した。僕が去年の簿記を解くには、もう随分と受験回数を取りすぎた。
そこで僕は気がついた。「ということは、僕は今まで去年の問題に退職給付だけが入った
問題を何回も解いていたということになるんだね」できるかぎり冷静を装った。
「そうよ、あなたはいつも真剣に電卓をたたいていたもの。何度も何度も去年以前の問題
を解いていたわ」
僕は体が動かなくなった。そうだ、今年の試験には平成13年11月14日時点で施行されて
いる法律が適用されるはずだ。まるで古い基準で解いていたことになる、、、。
「実は、あなたにはもう一つ言わないといけないことがあるの。商法のテキストも
一部捨ててしまった、そこには3年前の問題をいれといたの。」
そういえば、最近額面無額面の違い、相互転換についての論点を完ぺきに書けた気がする。
僕は何も言うことはなかったが、何か言わずにはいられず「そろそろ財務局へいってくるよ」
とだけいって苦笑した。
40 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/04/02 10:11 ID:aoiSRhS7
応援あげ
41 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/04/05 01:15 ID:n0ewfm/6
期待あげ
42 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/04/19 14:54 ID:G1fvdvj2
僕も就職活動をするべきなのかもしれないな、と
全答練の解答を見ながら僕は思った。
でも僕には自分がスーツを着て働いている姿が想像できなかったし、
いまから就活するのは明らかに手遅れだった。
第一、僕は4回も短答を受験して1回しか受かっていないのだ。
やれやれ、就職か、と僕は思った。
でも、まず願書提出を先に済ませなくてはいけなかった。
物事には順序というものがある。
そして、大抵の場合、僕はいつも順序を見失うのだ。
受験撤退、と僕は口に出して言ってみた。悪くない。
実際、それは悪い響きではなかった。「恋愛」や「存在」に通じるものがある。
ただ、甘酸っぱさも耐えがたい軽さもない、苦くて重いものであるという点では
違っていたのだけれど。
43 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/04/19 15:00 ID:G1fvdvj2
そして、その人はこう言った
「あのですね、あなた、あなたは今2ちゃんをやっておられますがね、
正直に申し上げまして、まともな人にはそんなことなかなか出来ないんです。
そういうことをお考えになったことはありますか」
ない、と僕は答えた。 そ ん な こ と 考 え も し な か っ た 。
44 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/04/19 16:44 ID:PuKkwdsT
村上春樹の文章は中身が無いところが最高。
tesu
昨日、僕は近所の吉野家に行った。吉野家、だ。そうしたら(何故かは分からないが)人が大勢いて座れなかったのだ。
よく見てみると何かの垂れ幕が下がっていて、150円引き、とか書いてある。やれやれ、だ。
なるほど世の中にはいろんな希望があり人生の目的があるんだなあと僕はあらためて感心した。 150円引き如きで普段来ていない吉野家に来ているのだ。
「150円」僕は口に出して呟いてみた。何故か親子連れの姿もそこにはあった。一家4人で吉野家、か。まったくもっておめでたい。
よーしパパ特盛頼んじゃうぞー、などと言ってる。もう見ていられない。僕は激しく混乱していた。
まるで世界中の細かい雨が世界中の芝生に振っているようなそんな沈黙が続いた。 僕はその間ガラス窓にずっと額を押し付けて目を閉じていた。
それからやがて定員が口を開いた。『君、今どこにいるの?』と彼女は静かな声で言った。
僕は今どこにいるのだ? 僕は受話器を持ったまま顔を上げ、電話ボックスの周りをぐるりと見まわしてみた。
僕は今どこにいるのだ?でもそこがどこなのか僕にはわからなかった。見当もつかなかった。 いったいここはどこなんだ?
僕の目に映るのはいずこへともなく歩きすぎていく無数の人々の姿だけだった。
僕はどこでもない場所のまん中から定員を呼びつづけていた。 お前ら、150円やるからその席を空けろ。
吉野家というものは、もっと殺伐としてるべきではないのだろうか。
Uの字テーブルの向かいに座った奴といつ喧嘩が始まってもおかしくない、
刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいのだろう。女子供は、すっこんでいて欲しい。やっと座れたかと思ったら、隣の奴が、大盛つゆだくで、などと言ってる。
そこでまたぶち切れ、だ。つゆだくなんてきょうび流行るわけがない。
得意げな顔をして何が、つゆだくで、だ。お前は本当につゆだくを食いたいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。お前、つゆだくって言いたいだけなのではないのか。
吉野家通の僕から言わせてもらえば今、吉野家通の間での最新流行はやっぱり、ねぎだく、これだろう。大盛りねぎだくギョク、これが通の頼み方なのだ。
ねぎだくっていうのはねぎが多めに入ってる。その代わり肉が少なめ、これ、だ。それで、それに大盛りギョク(玉子)、か。悪くない人生だな、と僕は言った。
しかしこれを頼むと次から店員にマークされるという危険も伴うのだ。
「完璧な頼み方など存在しない。完璧な文章など存在しないのと同じようにね」素人には決してお薦め出来ない。
お前らド素人は、牛鮭定食でも、食べていればよいのだろう。
47 :
村上:02/06/21 21:48 ID:MCvjsme5
村上春樹からの手紙
拝啓。会計士受験生の皆様、本試験直前の頃、いかがお過ごしでしょうか。僕はあいかわらず
毎朝4時に起きてジョギングをこなしています。よく「走りながら何を考えているのか」というような
ことを訊かれますが、そういうときには僕はきまって、会計士受験生の幸多き未来を祈りながら
走っている、と答えます。そう言うと相手は、「あれ?」という顔をしますが、本当のことなのだから
仕方ありません。
さて、ここにこういう掲示板があって、いわゆる「ネタ」で皆さんが楽しんでおられるという話は
安西水丸さんから聞きました。早稲田大学文学部キャンパス前にある、「レトロ」という今風の
カフェのご主人が昔、乃木坂のバーで働いていたころ安西さんと知り合って、それ以来そのご主人
を通して司法試験受験生やら公認会計士受験生やら、いろいろと苦労なさっている若い人達の話を
聞いていたのです。
僕も一応早稲田大学を卒業したことがある身なので、それなりに関心をもってそれらの話しを
聞き、僕の知らない世界で日夜、電卓をたたいたり、分厚いテキストを読んだり、試験委員の論文を
読みこんだりしている人達がいるんだなあ、と思いながら自分の学生時代のことを思い出したり
しています。でもどの話も、僕にとっては遠い世界のことで、いまひとつピンとこなかったんですね。
すこし自分の事を話し過ぎたかもしれません。21世紀の会計士を目指している方々に、何か励みに
なるような文章を書いてくれ、と言われたのですが正直言って何を書いたらよいものか、こうしている今も
僕にはよくわからないのです。
でも今日、大磯の海岸前の国道を、近くにキャンパスを持つ有名私立大学の学生らしき若者達が
サーフボードを車の屋根に載せて、意気揚揚と通りすぎていくのを見ているうちに、君達のことを思いだし
いてもたってもいられない気持ちに駆られて、パワーブックの電源を入れたのです。
僕は君達に与うべき知識を何も持ってはいません。だから試験直前の時期に、なにか気の利いた言葉を
臆って君達にリラクゼーションをもたらす、という芸当はできません。あるいは誰かが言っているように
企業会計原則前文−”まえぶん”と読むんだそうですね。今まで知りませんでした。―を読むのが効果的なのかも
知れません。
企業会計原則を作った人達の理想を思い出せ、とか言う人もいますが、さすがにそれは違うんじゃないかと思いますが。
そんなものはロバのウンコです。どんなときでも、大切なのは熱いハートとクールな論理です。鋭くあろうと
思わないでください。理論なんて結局間に合わせのものに過ぎないんですから。
そういうわけで、僕は僕の仕事をし、君達は君達の課題をなんとかこなしながら時間というのは過ぎていく
わけですが、どうか最後まであきらめないでください。
最後に、羊男世界がいつまでも平和でありますように。
平成14年6月21日 大磯にて
48 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/06/21 23:36 ID:VVm01CpY
↑これは本当に村上春樹なの???
49 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/06/23 21:24 ID:PcRreh1E
偽者にしても文章うまいなぁ。
モノ書きになった方がいいかもよ。
50 :
名無しさん@そうだ確定申告に行こう:02/06/23 22:22 ID:6xvdJBbN
51 :
50:
>>48-49 オリジナルは司法板。
キーワードを会計士用に変えただけ。