>>10 そうか、じゃぁもうひとつw
戦後の台湾美術代表作が一堂に 初の全集を刊行 台北の出版社
作家257人3600点
2005.01.31掲載
【台北31日竜口英幸】戦後の台湾美術界を彩った作家たち、二百五十七人の
主要作約三千六百点と評伝をまとめた初の全集「台湾現代美術大系」(二十四巻)が
台北市の芸術家出版社から一挙刊行された。発行人の何政廣さん(65)は
「世界の新潮流を吸収した台湾の作家たちが個性と自己主張を競った半世紀余りの
足跡をたどるもの」と満足げだ。
全集刊行は同社と行政院文化建設委員会(文化庁に相当)との共同企画。水墨、
版画、陶芸、油彩、水彩、彫刻、塑像と幅広い分野を対象としているのが特色だ。
昨年、作家の代表作を選定し評伝を書く執筆者、四十三人を決定。執筆者の会議で、
五十五歳以上八十代の現役を対象に、全集に取り上げる候補者を選定した。その
上でニューヨーク、パリ、日本など世界各地を拠点に活動する作家たちと連絡を
とりながら、わずか半年で全集刊行にこぎつけた。
全集は初版が三千セットを刊行し、各巻百六十ページで七百元(約二千二百円)。
千セットが市場で販売され、残りは美術館や図書館に納められる。台湾では、
絵画への投資ブームがおさまり、一般の愛好家の間で絵画への関心が徐々に高まって
おり、手応えは上々だという。
同社は十年前に、戦前に活躍した台湾画家二十四人の作家別全集「台湾美術全集」を
独自に刊行。取り上げたのは日本の画壇の影響を強く受けた画家たち。今回の全集に
ついて「台湾人ならではの精神文化を理解できるはず」と、何さんは強調している。
http://www.nishinippon.co.jp/news/World/Asia/shinsen/kiji/050131.html
断交後初、蔡氏に叙勲 台湾の日本語教育に尽力
2005.07.04掲載
戦後台湾の日本語教育の第一人者として、日本語教師の養成や指導教材の作成に
尽力した蔡茂豊・元東呉大学外国語学院長(72)への旭日中綬章授与式が、
台北市内でこのほど行われた。台湾の日本語教師の五割近くが同大出身とされ、
蔡氏は春の叙勲受章者の一人に選ばれた。台湾人への叙勲は、一九七二年の日台
断交後初めて。
蔡氏は、台湾の成功大を六一年に卒業し、東京教育大(現筑波大)に留学、
博士号を取得した。国民党政権が反日色を強め日本語への逆風が広がる中、台湾で
四番目に日本語学科を開設した東呉大学の第一期の学科主任に就任、テレビや
ラジオの成人教育にも携わった。また、九三―九五年には、日本語教育学界の初代
理事長を務めた。
日本の対台交流窓口、交流協会台北事務所の池田維所長から勲章を授与された
蔡氏は「台日に外交関係はないが、両者には緊密で良好な関係がある。今後も、
台日の相互理解が促進されることを祈念します」と語った。 (台北・竜口英幸)
http://www.nishinippon.co.jp/news/World/Asia/
台北でシベリア気分 氷点下20度のバー人気
2005.05.21掲載
【台北20日竜口英幸】ロシアを代表する酒、ウオツカを一番おいしい
状態で楽しんでもらおうと、室温を氷点下二〇度に設定した台北市のバーが
人気沸騰。連日約六十人の客がつめかけ、店が用意した防寒コートを着用
してシベリア気分を満喫している。
同市敦化南路にあるロシア料理レストラン「ソルト・アンド・ブレッド」に
ある「スノー・バー」で、昨年十一月に開店。レストランの一角を仕切った
特別室で、定員六人だ。雪にあこがれる台湾人心理をとらえ、今では予約
なしには入れない状態。女性客も五割近い。ウオツカは一杯約百八十円から
約二千円まで百六十五種類。フルーツ味やチョコレート味に人気があると
いう。
中に入ると、至る所につららが下がり、カウンターには高さ三十センチ
ほどに氷が盛り上がる。最初の数分ほどは寒さを感じないが、グラスの
冷たさは一杯目でも指を刺すほどだ。ロシア人だと三十分ぐらいは大丈夫
だが、台湾人は十五分ほどで降参するという。バーはガラス張りで、外側に
幅の狭いカウンターと足置きを設置。外の客はここにたたずみ、金魚鉢を
ながめるように中の“景色”を楽しむ趣向だ。
バーテンダーは四人で、四十分交代。キャプテンの劉〓〓さん(31)は
「お客さんはウオツカで体が少しは温まるでしょうが、私たちは寒さが
骨身にしみます」。電話は886―2―2738―2700。
http://www.nishinippon.co.jp/news/World/Asia/shinsen/kiji/050521.html
台湾記録映画「無米楽」ヒット 農と歩む姿感動広がる 総統府でも特別上映へ
2005.06.14掲載
【台北14日竜口英幸】台湾南部・嘉南平野の農村で稲作に従事する老人の
日々を追った記録映画「無米楽」(顔蘭権、荘益増監督)が、自然とともに
生きる古き良き台湾人像を浮かび上がらせ、社会にさわやかな感動を巻き起こして
いる。金もうけ優先の社会風潮への清涼剤ともいえ、李登輝・前総統が絶賛、
陳水扁総統も十五日に総統府で特別上映会を開くほどだ。
題名の「無米楽」は「米づくりほど苦しいものはないが、逆にこれほど楽しい
ものもない」という意味。映画は、六十、七十代の農民四人と一頭の水牛を中心に
据え、ままならない自然の営みの下、米自由化後の国際競争で収入は低いながらも
稲作に没頭する農民の姿を描く。「無米楽」と明るく語ることで、土に生きる人生
哲学を体現しているようだ。
七十五歳の崑濱さんは、日の出とともに祠(ほこら)に出向き家族、国の平安と
五穀豊穣(ほうじょう)を祈る。「稲作は座禅のようなもの」と語り、寝る前には
稲作日誌をつづる。子どもは都会に出たままだが、老妻とのユーモアあふれる会話、
農作業の合間に口ずさむ日本の古い歌謡曲が、映像にほのぼのとした情感を漂わせ
ている。
五月下旬に上映が始まり、全土でわずか五館しか上映していないが、評判が
評判を呼び、記録映画としては異例の人気。古里の友人、祖父母を思い起こさせ
るのか、観客の年齢層の幅広さも特徴だという。
http://www.nishinippon.co.jp/news/World/Asia/shinsen/kiji/050614.html
台北でにわか儒教論争 孔子廟に現代の「賢人」…是か非か
2005.06.22掲載
【台北22日竜口英幸】儒教の祖・孔子とその弟子や、歴代の儒学者、
賢人を祭る孔子廟(びょう)に、現代の「賢人」を祭るのは是か非か
―台北市で今、にわか儒教論争が起きている。管理責任者で祭典を主宰する
馬英九市長が、抗日英雄や台湾大学長など六人を「先賢先儒」として入祠し
「神位」で遇する提案をしたのが発端。中華の知識人の殿堂の開放に「儒教
の伝統に反する」「台湾人を入れたのは政治的なごますり」と批判も起き、
台北市は二十三日から公聴会を開く。
孔子廟は、中国の山東省曲阜にある、孔子の旧宅を廟としたのが本家本元。
漢代から孔子とその弟子を祭る行事が始まり、楊貴妃とのロマンスで有名な、
唐の玄宗皇帝の時代に儀式が完備したという。台北市の廟は一九三九年に
再建、先賢先儒百五十四人が祭られている。最も時代が新しい人物は、
清朝初期の学者・顔元(一六三五―一七〇四)で、一九一九年に入祠された。
馬市長が入祠を提案したのは医師で非武装抗日運動のリーダー・蒋渭水、
台湾初の文学博士・林茂生、「台湾通史」の作者・連横(連戦国民党主席の
祖父)、台湾大学長の傳斯年など。識者は六人とも適格性に欠けると疑問を
投げかけ、特に連横について「馬英九市長が党主席選に出馬しているため」
と鋭く批判。ラジオのトーク番組では「民主主義の世の中に、発想が時代
錯誤」とからかう意見も多い。
http://www.nishinippon.co.jp/news/World/Asia/shinsen/kiji/050622.html
伝説の歌声 初のCD化 大地の叫び、魂を力強く 2カ月で1万枚超 台湾・胡徳夫さん
2005.07.12掲載
【台北12日竜口英幸】三十年を超える音楽活動を続けながら、テレビやラジオ
にはほとんど登場しなかった台湾の伝説的歌手、胡徳夫さん(54)が、初のCD
アルバム「匆匆(ツォン・ツォン=瞬く間に)」を発売した。台湾の大地の叫び、
魂の輝きを力強く歌い上げ、売り上げ枚数は二カ月で一万枚を突破。FM放送で
流れる歌声は聴衆を魅了し、台北市は「台北文化奨(賞)」を贈ると発表した。
胡さんは台湾南東部の先住民の村出身。父はピュマ族、母はパイワン族で、
幼少から祖父母や村人の歌声に包まれて育った。台北近郊の淡水のキリスト教の
中学・高校で学び、毎日、賛美歌や黒人霊歌を歌う中で、心の中に息づく音楽に
目覚めたという。台湾大学外国語学部時代に、駐留米軍基地や、大使館のカフェ
などで歌い始めた。
一九八〇年代、先住民が建設労働者として過酷な労働環境で働かされている実態
を知り、「台湾原(先)住民権利促進会」を結成、会長として台湾各地を奔走する
など、人権活動家でもある。
アルバムには「太平洋の風」「遠くはるかな道のり」など、自作を中心に八曲
収録。標題の「匆匆」は、「瞬く間に季節は移り、瞬く間に人生は終わる。時を
惜しみ、自分の道をめざせ」との内容。「若者が先住民の誇りを取り戻し、豊か
な人生を送れるように」CD録音を決意、来年には二枚目のCDを出すという。
(ホームページ=
ttp://www.ignitefire.com)
http://www.nishinippon.co.jp/news/World/Asia/shinsen/kiji/050712.html
強権政治の後遺症重く 台湾・蘭嶼島
核廃棄物の移転が難航 島外候補地で反対運動
2005.07.18掲載
台湾南東部の台東市から約九十キロメートル沖の太平洋にある蘭嶼(らんしょ)
島は、先住民ヤミ族の島として知られる。人口約二千人のうち、九割強が先住民だ。
島には台湾で唯一の低放射性廃棄物の貯蔵場があり、反対運動の激化で島外への
全面移転が決まっている。しかし、四カ所の移転候補地ではいずれも反対運動が
起き暗礁に乗り上げた状態。蒋経国総統時代に、住民への説明なしに貯蔵場を
建設した、強権政治の後遺症を引きずっているといえる。 (台北・竜口英幸)
貯蔵場は島の南端にあり、三方を山に囲まれ、南側は海に面している。五キロ
以内に人が暮らしていないことや、輸送ルートの安全性に優れ、戒厳令下の
一九七六年に建設決定、八二年から貯蔵を始めた。地下三メートル掘り下げた
鉄筋コンクリートの貯蔵壕が二十三座あり、ドラム缶約十万缶が貯蔵できる。
廃棄物は溶かしたガラスで固めてドラム缶に詰め、現在約九万七千七百缶が貯蔵
されている。九割近くが台湾電力の原子力発電所から出た廃棄物で、その他は医療
機関や放射線を扱う研究機関からのもの。九六年五月から廃棄物の搬入を停止、
現在は台湾電力が受託管理している。
黄添煌場長は「一部のドラム缶が腐食し始め、詰め替え作業を行っている」と
説明。同時に、環境測定調査や島民の健康診断について、数値を上げながら「一切
問題はない」と語る。
しかし、島民の反発は根強い。建設当時に郷長(町長に相当)を務めた張人仰
さん(83)は「国家機密といわれ、説明はなかった。反対運動に来た人から危険
と教えられた」と語る。
若者たちも「政府はうそつき」と、不信感をあらわにする。移転先の交渉を含め、
原子力行政への理解を求める取り組みが、陳水扁政権の課題といえる。
http://www.nishinippon.co.jp/news/World/Asia/
Kyushuさん、乙!
学生食堂=台湾・台北
暮れの二十八日に引っ越し、元旦は新しい支局で迎えた。東側に台湾大学、
西側に師範大学があり、学生街にはさまれた場所だ。どちらも台湾を代表
する国立大学だが、学生街の雰囲気はまるで異なる。師範大学周辺はしゃれ
たレストランや喫茶店、パブも多く、女子学生の服装も華やか。ところが
台湾大学側は、レストランというよりは学生食堂的な店が多く、街の様子も
庶民的。女子学生のファッションは自己主張が控えめというか、地味な人が
多い。
双方の学生街で食事を重ねるうちに、面白いことに気付いた。台湾大学
周辺は、四川料理の店がやたらと多いのだ。台大の学生グループの隣の席に
何度か座り、事情が理解できた。マーボー豆腐や内臓のトウガラシ煮込み
など辛い料理だと、ご飯が何杯も食べられるというわけだ。
確かに「ご飯とスープは無料。料理は一品七十元(約二百二十円から)」
などという看板もある。七、八人が一緒だと、おかずの種類も増やせる。
食事を終え、割り勘で一人百元を満足げに出している様子は、何ともほほ
えましい。
(台北・竜口英幸)
[2004/1/16朝刊掲載]
http://www.nishinippon.co.jp/news/World/ReportersEye/taipei/bn02.html
口先の平和=台湾・台北
シラク仏大統領が、中国の胡錦濤国家主席との会談で、台湾の陳水扁総統が
三月二十日に実施予定の住民投票を強く批判した。台湾海峡に緊張を生じさせる、
いかなる方策にも反対するというのだ。米国、日本に次ぐ中国の外交攻勢の
“成果”なのだろうが、台湾に対しては逆効果のような気がする。
それにしてもピエロはシラクさんだ。かつてドゴール大統領は池田勇人首相を
「トランジスタラジオのセールスマン」とやゆした。シラク大統領はさしずめ
「武器セールスマン」になりたいらしい。同大統領は天安門事件を機に欧州が
決めた対中武器禁輸を「もはや意味がない」と言明。赤い巨大市場に幻惑されて
いるのが見え見えだ。「台湾海峡の緊張」うんぬんは口先だけで、自分でも信じて
いないだろう。
台湾に向けたミサイル本格配備は江沢民前主席時代に始まり、年々増強。台湾
当局によると、今やその数は四百九十六基。胡主席は「平和的統一」を強調するが、
「ミサイルを減らす」とは言えない。「平和」は“口先”か。明らかに中国は、
台湾住民の意思が、民主主義の手続きである投票で示されることを恐れている。
多くの人が「自分たちは台湾人」と言っている現状では、両岸の“中国人”を前提
とした「統一」の土台が崩れると思っているのだろう。
(台北・竜口英幸)
[2004/1/30朝刊掲載]
http://www.nishinippon.co.jp/news/World/ReportersEye/taipei/bn02.html
屈原流聖人=台湾・台北
中国首脳との会談で、天安門事件を契機とした欧州連合(EU)の対中武器
禁輸措置を「もはや意味がない」と発言したフランスのシラク大統領に対し、
米政府がすかさず反撃した。米欧による禁輸は「中国の深刻な人権侵害という
共通の理由からではなかったか」と。ワシントン・ポスト紙は外交レベルで米政府が
巻き返し活動を開始したことを報じている。
台湾にとって、この事態は深刻な意味を持つ。ヨーロッパの優秀な近代兵器が
中国に流れ込むと、台湾海峡をはさむ軍事バランスが中国優位へと変化するおそれが
ある。いざとなったら台湾を防衛すると台湾関係法で約束している米国にとっても、
米の“庭”である太平洋を脅かされる事態が危ぐされる。
それにしても、EU内で禁輸撤廃の急先ぽうが、米のイラク攻撃に猛反対した
仏、独というのが何とも皮肉。米にしてみれば「またか」の思いだろう。
「世の中すべてが濁り、私一人が澄んでいる」と政治に絶望して入水自殺した
古代中国の大詩人・屈原は「聖人はよく世と推移す」と喝破した。道徳は時代と
ともに変わる。仏、独の指導者はさしずめ「屈原流聖人」の典型か。
(台北・竜口英幸)
[2004/02/02朝刊掲載]
http://www.nishinippon.co.jp/news/World/ReportersEye/taipei/bn02.html
台湾の「侍」=台湾・台北
「私たちは、先住民ほどには台湾を愛してこなかったのだと思いました」
―九日から台湾の公共テレビで始まった大型歴史ドラマ「風中緋櫻―霧社事件」
に出演した女優、韋苓さんの感想だ。
台湾中部の山地、霧社で一九三〇年に起きた先住民タイヤル族による日本人
大襲撃事件。韋さんはオビン・ナウイ、日本名・川野初子役を演じた。日本同化
教育により先住民の模範家庭を築くことを期待され、事件後に夫とともに自殺
した人物だ。
事件の原因は諸説あるが、彼らの生活と文化の基盤である広大な「共有地」の
山野を、日本が「官有地」にしたことが大きいようだ。
連続二十時間のこのドラマづくりを指揮した萬仁監督は「彼らこそ武士道精神
を体現したサムライだ」と絶賛する。韋さんにとっても、固有文化を守ろうと
圧倒的な強者に立ち向かうタイヤルの精神は、新鮮な衝撃だったのだろう。
多くの台湾人にとって、自分たちの精神文化から「中華」的なものを取り除い
たら何が残るかは、悩ましい問いかけだ。だからこそこのドラマは、台湾人の
これからの生き方に何らかの指針を与えるのではないか、という予感がする。
(台北・竜口英幸)
[2004/02/10朝刊掲載]
http://www.nishinippon.co.jp/news/World/ReportersEye/taipei/bn02.html
24 :
美麗島の名無桑:2005/07/30(土) 08:36:25
>>12 今回は外国の日本語教育従事者3人に叙勲したらしいよね。12の記事を読めば
とてつもなくすごいことのように見える(事実すごくないことはないんだけど)
が、国が今回は海外の日本語教育従事者にあげよう、って決めたのなら、まあ
こういうことにはなるよね。元TB大学のKH先生とかも後押ししてるだろうし。
でもHNKのニュースでは「今回は○○氏(西洋人)、○○氏(西洋人)海外など
海外の日本語教育関係者3人にも叙勲されました」みたいなこと言ってた。
なんでこんな叙勲するんだろう、という点では疑問だけど、3人の内1人だけ、
名前が省略されてるのが、腹立たしかった記憶がある。
なつめ考=台湾・台北
台北の果物屋では今、棗(ナツメ)が旬だ。ニワトリの卵よりやや大きく、
淡い緑の果実はさくさくして、さわやかな食感がある。白酒(アルコール度数の
高い蒸留酒)のつまみにすると、悪酔いせずいくらでも飲めるから不思議だ。
茶道の茶入れの棗は、この果物の形をまねたという。
ところが、茶道の元祖である陸羽の「茶経」には、「羅合」という茶入れの
記述はあるが、棗はない。抹茶が流行した中国・宋の第八代皇帝、徽(き)宗は
芸術家として有名で、文人が屋外で詩を詠む「文会図」という絵がある。作品の
下部には野だてが描かれているが、ひき立ての抹茶は、つぼから茶しゃくで取り
出している。また、台北の故宮博物院の展示品の中にも棗はない。
モンゴルの宋への侵攻で、中国の抹茶は滅び日本独自のものとなったから、
茶入れの棗は日本人の発明だろうと思う。しかし、果物の棗は中国原産で、生の
果実は日本では手に入らないはず。だれが果物の形から優美な茶入れをデザイン
したのか、手がかりがつかめない。白酒の杯を重ねながら、思いを巡らすばかりだ。
(台北・竜口英幸)
[2004/02/10朝刊掲載]
続なつめ考=台湾・台北
台湾で今、旬の果物のナツメと、抹茶(薄茶)を入れる茶器、棗(なつめ)
についてこの欄で書いたら、日本にもナツメはあると指摘を受けた。そこで
続編を。
抹茶は中国・宋の時代、十二世紀末に日本に伝わり、禅寺の喫茶儀式から
茶道へと発展、本家・中国では滅亡した。棗は漆塗りで、陶器の「唐物」
茶入れと区別されるが、どちらも台湾の故宮博物院の所蔵品には見当たら
ない。宋、元、明の茶書のうち明・張謙徳の「茶経」には、茶の香りを
逃さないための「茶壺」や「茶瓶」の記載がある。しかし、明代の絵画では
急須で茶を出すせん茶が描かれており、日本に伝わったような陶器の茶入れ
はないようだ。
福岡市美術館には、千利休と同じ桃山時代の「天下一」の塗師、盛阿弥作の
棗が所蔵されている。利休の時代に「茶室」が確立し、茶をたてる場所と茶を
飲む場所が一体化した。棗は、茶室の登場で必要となった茶器というわけだ
ろうか。
台湾の与党・民主進歩党の長老議員、陳唐山さんは「今のナツメは改良型。
昔は梅の実ぐらいで、苦くて食べられたものではなかった」と教えてくれた。
利休の時代に、それと同じナツメがあったのだろうか。
(台北・竜口英幸)
[2004/3/5朝刊掲載]
政治と民衆=台湾・台北
台湾総統選の抗議行動について、「温和な台湾人が何で激情的になれる
のか」と知人に尋ねたら、「あそこにいるのは中国人」との答え。本省人
(蒋介石・国民党政権以前からの台湾人)と外省人(蒋政権とともに中国
大陸から逃れてきた人たちとその子孫)との対立感情は、誠に根深い。
現場で感じた“中国人”的行動のエネルギー源は、「メンツを保つため負けを
認めない」「一を得るため十を主張する」「官が不正を働かないわけが
ないとの確信」だろう。
だが、連戦・国民党主席はいささか要求を拡大し過ぎたようだ。二十七日の
「五十万人集会」で、選挙のやり直しを主張した連氏。隣に立った宋楚瑜・
親民党主席は「もし再選挙になったら、自分は副総統候補にならない」と
宣言したのだ。最初から勝ち目がないことを知る宋氏が、責任を連氏に
押しつけて“逃げる” 余地を残した、との観測がもっぱらだ。
抗議行動で、トラックを運転して検察庁の正門にぶつけたり、中央選管
ビル前で「革命」を叫んで民衆をあおったのは、親民党の立法委員(国会
議員に相当)。台湾のメディアはほとんどが国民党系だが、さすがに
「政治家が民衆を利用しているだけ」との批判的論調も登場し始めた。
(台北・竜口英幸)
[2004/3/30朝刊掲載]
南低北高=台湾・台北
司法による票の再集計が行われることが確実な台湾の総統選。焦点は前回の
三倍近い約三十万票の無効票だ。陳水扁総統は「どっち側に投票しようとした
票なのか、自分も知りたい」と自信満々に語った。なぜか。
投票用紙には、候補者の氏名と顔写真が印刷されており、上部の四角の空欄に
選管が用意した印鑑を押す仕組み。前回は顔写真の上に印鑑を押しても有効票
として扱われた。しかし、昨秋、野党が多数を占める立法院(国会に相当)で
選挙法が改正され、判定基準が厳格に。今回は顔写真の上の印鑑は無効だ。
中・南部は北部に比べて教育水準が低く、字を読めない人の割合も高い。
開票所の立会人の報告では、顔写真の上に印鑑を押した票が相当数に上る
という。陳氏の自信の裏付けはここにある。
国民党政権時代、政策は同党が基盤とする北部重点。北は工業地帯、
中・南部は農業地帯となり経済力、教育水準、生活水準のすべてが
「南低北高」となった。この言葉は台湾社会の“亀裂”の象徴であり、
無効票もまた、重い歴史を引きずっているといえる。
(台北・竜口英幸)
はなに酔う=台湾・台北
「夢にまで見た桜吹雪の中に立つことができました」と、知人のWさんは興奮
冷めやらぬ表情で語る。三月に入ると毎日、インターネットで日本の天気予報を
調べ、開花宣言とともに京都に行くほどの人だ。
今年は一分咲きから花が散るまでの十八日間、カメラ、交換レンズ、三脚を担
いでひたすら花を追った。会社の経営者だが、この間、仕事は部下に任せっきり。
「サクラと暮らせたから倒産してもいい」と豪快に笑う。
日本のサクラが台湾人の心をかき乱すのが何ともほほえましく、ちょっとけし
かけた。「サクラを見るなら夜中ですよ。なまめかしく狂おしい美しさにとり
つかれますよ」
一瞬、ショックを受けたWさん、「来年は夜中の撮影にする」と宣言した。
台湾で、春を告げる花は「木綿花」とされる。コブシのような、オレンジ色の
大きな花だ。だがWさん、「あれは蒋介石が街路樹に植えさせた花。台湾人の
感性には合わない」と即座に切り捨てたのが、また面白い。
(台北・竜口英幸)
[2004/04/22朝刊掲載]
京人治港=台湾・台北
イギリスの作家、ジョージ・オーウェルの「動物農場」は、極め付きの
政治寓話(ぐうわ)。農場主の人間を追い出し、七つの戒律で平等な動物
農場が始まる。しかし、ブタのナポレオンの指導下、戒律は骨抜きに。
「およそ動物たるものは、ベッドで眠らないこと」は、こっそり「シーツ
をかけたベッドで眠らないこと」に改められ、指導階級のブタはベッドで
眠るという具合。スターリンばりの独裁体制が完成するところで話は終わる。
先月末、中国の全国人民代表大会(国会)の常務委員会が、香港の行政
長官と立法会(議会)議員選挙について、普通選挙を認めないと決めたとき、
この話が頭をよぎった。
一九九七年に香港がイギリスから返還されたとき、江沢民主席は「一国
二制度と高度の自治」を確約した。今、「高度の自治」とは普通選挙では
ないと定まった。返還時「港人治港」(香港人による統治)と華々しく宣伝
された看板は、わずか七年で「京人治港」(北京人による統治)と変わった
ようだ。多くの台湾人は「それ見たことか」との反応。メンツにこだわる
余裕がないほど、中国は内部に難題を抱えているのだろうか。
(台北・竜口英幸)
[ 2004/05/04朝刊掲載 ]
「尖閣は台湾領」 陳総統が演説 台湾最北の離島
【台北10日遠矢浩司】台湾の陳水扁総統は十日、日台双方が領有権を
主張し漁業権紛争の舞台にもなっている尖閣諸島(台湾名・釣魚台列嶼)
から西南西約百三十キロにある台湾最北部の離島「彭佳嶼」で演説し、
尖閣諸島について「釣魚台の領土と主権は台湾に属する。疑う余地はない」
と述べた。台湾の従来の主張を繰り返したものだが、総統が尖閣近くの島を
訪れて演説するのは異例。
総統府や台湾メディアによると、陳総統は李傑国防部長(国防相)らと
ともにヘリコプターで島を訪れた。総統は「彭佳嶼と釣魚台は大陸棚を守る
要所にあり、好漁場でもある。経済的、戦略的価値は高い」と語り、領土
問題で譲歩する意思がないことを強調した。
一方で、日台漁業交渉については、これまで通り領土問題とは分けて交渉
する方針を明言。「国際法の規則に従い、漁業交渉チームを通じて話し合う。
一方的な対抗措置を取ることはない」とした。尖閣水域をめぐる日台の漁業
交渉は、七月二十九日に東京で開かれたが、合意をみず継続扱いになって
いる。
http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/morning_news033.html
「故宮」若者にアピール 台湾
所蔵品テーマに学生創作展 皇帝の宝もアレンジ
2005.08.15掲載
中国歴代王朝の玉器や陶磁器、文書など約六十五万点を収蔵する台湾の故宮博物院は、
若い世代を博物館に引き付けようと新しい試みを始めた。第一弾として、大学と協力し
服飾・産業デザイン系の学生たちが故宮所蔵品からアイデアを得てデザインした品物の
展示会を、五日から十四日まで台北市中心部の書店ギャラリーで開いた。 (台北・遠矢浩司)
「Old is New 時尚(流行)故宮 Y世代設計新主張」と銘打ったこの
催しには、故宮から依頼を受けた台湾芸術大学や輔仁大学など六大学の学生や教師らが
二十点を出品。清代の器に描かれた鳳凰(ほうおう)のデザインを取り入れたバッグや、
古代・商王朝の青銅器から発想を得た果物皿、皇帝が使った品をアレンジしたアクセ
サリー、時計などが並んだ。
今年八十周年を迎えた故宮博物院は、世界的な所蔵品を見ようと多くの人が訪れるが
「若者世代の人気はもうひとつ」(関係者)という。七日にあった発表会は若い世代に
アピールしようと、出品作を女性モデルたちが一点ずつ持って入場するファッション
ショーさながらの演出。地元マスコミや大学関係者らが熱心に撮影していた。
学生たちの作品は商品化も検討。今秋には、第二弾の企画としてプロのデザイナーらが
故宮所蔵品をモチーフにデザインした作品展を開く。
林曼麗・故宮副院長は「博物館は単に古い物を集めているだけの場所ではない。
所蔵品に若い感覚のデザインや創造性を加えることで現代性を持ち得る。これからの
博物館は現代人の生活の中に入り込んで、新たな生活スタイルを提案していくことも
重要だ」と話した。
http://www.nishinippon.co.jp/news/World/Asia/
緑色台商=台湾・台北
「白ネコだろうと黒ネコだろうと、ネズミを捕るのがよいネコだ」―中国の
カジを現代化へと切り替えた故トウ小平元党副主席の有名な言葉。失脚と復活を
繰り返した人ならではの、重みとユーモアのある言葉だと感心したものだ。
ところが現在の指導部は、この「太っ腹」路線を放棄したらしい。
というのも、中国当局は先月下旬、「台湾独立を支持する台商(中国で活動
するビジネスリーダー)は歓迎しない」と発表。官製メディアは名指しで
「緑色台商」、つまり台湾の与党・民主進歩党支持とされる財界人を批判
し始めたのだ。
今日の中国の経済発展は、台湾商人の果敢な投資が起爆剤となったはず。
「井戸を掘った人の恩を忘れない」はずの中国人も、余裕ができると緑色
マネーを選別する眼力がつくらしい。
唐突な緑色非難が単なる警告なのか、それとも台湾に向けミサイル配備を
開始した江沢民前主席への、お追従なのか、真相はまだ不明。中国当局が
陳水扁総統にいらだつのは分かるが、もう少しおおらかになれないものか。
(台北・竜口英幸)
[ 2004/06/09朝刊掲載 ]
百年煙痕=台湾・台北
銀細工、らでん細工を施し、さらには玉やひすいをちりばめた長さ六十センチ
ほどのパイsプの数々。何も説明がなければ、ほれぼれする第一級の芸術品だ。
しかし、実は中国・清代から中華民国初期に使われた、アヘンを吸うための道具。
台北市にある歴史博物館が初めて企画した、「百年煙痕」の展示品だ。人を廃人に
する吸毒道具さえ、人間は飾り立てる。誠に業が深く、おぞましい。
同展は、広州に赴きアヘンを禁止した欽差大臣・林則徐や、英国とのアヘン戦争、
さらにはアヘンがいかに人心を滅ぼすかに焦点を当てている。
アヘン戦争は、英国人の紅茶ブームが遠因だ。英国は膨大な茶葉の輸入代金に
困り、インドで生産したアヘンを中国で売りつけた。黒人奴隷の遠因は、紅茶に
入れる砂糖生産のための、プランテーションの労働力確保にあるから、紅茶と
いう飲み物は罪深いといえる。
ところで日本は、本国でアヘンを禁止しながら台湾では専売制を敷く「一国
二制度」で、巨額の税収を確保したとある。関係書類の展示と淡々とした事実関係の
説明だけに、かえって心が痛む。
(台北・竜口英幸)
[ 2004/06/19朝刊掲載 ]
童話の力=台湾・台北
「剛達爾温柔的光(コンダールのやさしい光)」という日本の童話が台湾で
翻訳出版された。飢餓に苦しむエチオピアで、ボランティアとして食糧配給に
参加した神田英輔さんの実体験に基づく。
コンダールで食糧が配られると聞いた幼い姉妹が、徒歩で三日がかりで
たどり着くが、村人でないため、護衛兵に追われた。ところが、一人の村人が
自分のテントに泊め、自分の家族のためにもらったわずかばかりのトウモロ
コシと粉ミルクを分け与え、母親の元に帰したという話だ。
訳者の盧千恵さんは、日本の大学で児童文学を研究した台湾の著名な児童
文学作家。夏休みに日本に住む家族を訪ねたおり、九歳の孫娘が絵本を広げて
涙をためている姿が目にとまり、この本を知ったという。
出版記念会で盧さんは「日本語の『やさしい』という言葉はとても美しく、
多くの意味を含んでいる。翻訳は難しかったが、台湾の子どもたちの心を
打つと思う」と語った。
孫の涙が生んだ一冊の本。日本の優れた児童図書が今後も翻訳出版され
れば、きずなは一層深まるだろうと感じ入った。
(台北・竜口英幸)
[ 2004/07/04朝刊掲載 ]
台湾 国民党主席に馬氏就任 08年総統選政権奪還目指す
【台北19日遠矢浩司】台湾の最大野党・中国国民党は十九日、台北市で全国
代表大会を開き、七月の党員選挙で党主席に選ばれていた馬英九・台北市長(55)が
正式に就任した。馬氏は就任演説で二〇〇八年総統選での政権奪還に意欲を示した。
庶民の人気が高い馬氏の主席就任で、与党・民主進歩党(民進党)を含めた総統
選候補選びが今後、本格化する。
馬氏は演説で対中政策について、今回主席から引退した連戦氏(68)の路線を
継承し「台湾独立反対、中国の掲げる一国二制度拒絶」の方針をあらためて確認。
連氏が四月末の訪中で示した経済交流促進など両岸和平策を「中華民国の主体性を
持って進める」とした。
また、政権党時代に築かれた不明朗な党資産の〇八年までの整理や、党内の民主化
促進、若者や中南部の本省人(台湾出身者)の支持拡大など七項目の党改革目標を
掲げた。
馬氏は香港生まれの外省人(中国大陸出身者)。米ハーバード大で博士号を取得、
端正な容ぼうと清新なイメージで国民党のプリンス的存在だ。先月の党主席選挙では、
本省人の王金平・立法院長(国会議長)を大差で破った。現時点での人気は、民進
党の後継有力候補の謝長廷・行政院長(首相)、蘇貞昌・党主席らを上回る。
しかし、主席選をめぐって王氏陣営との間で溝が生じ、王氏は副主席就任を辞退。
今後の党内運営では、党資産整理や世代交代をめぐって長老世代や本省人勢力から
の反発も予想される。
また、野党第二党の宋楚瑜・親民党主席とは反目関係にあるとされ、野党勢力
結集も政権奪還への課題の一つとなる。
http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/morning_news023.html
大陸反攻=台湾・台北
台湾に君臨した蒋介石総統(一九七五年死去)と蒋経国総統(八八年死去)
親子の遺体が、ようやく埋葬されることになった。「大陸との統一後に故郷に
葬れ」との遺言に従い、遺体はホルマリン処理して銅の棺に密封し、さらに
大理石の棺に入れた「浮棺」状態で仮安置されていた。蒋経国夫人でロシア人の
蒋方良さんが、親族の意思として軍の墓地への埋葬を願い出たと伝えられている。
大方の台湾人にとって、仮安置は「台湾の土と接することを拒否している」と
怒りの象徴だった。風水師たちには「仮安置の場所は陰気が強く、これが子孫に
たたっている」「浮棺状態や薬品処理したことが家運を傾かせた原因」などと
さまざまな意見があったが、埋葬で運勢が良い方に変わるとの見方で一致している
ようだ。
お役人としては不遇だった唐の詩人・杜甫は「大夫棺を覆いて事始めて定まる」と
楽府で歌ったが、二人の遺体が台湾の土に埋まることで、名実ともに「大陸反攻」が
終わりを告げる。台湾化の潮流は一層強まり、野党・国民党の中でも本土派(台湾派)
の勢力が伸長するだろう。親中国の連戦・国民党主席は複雑な思いに違いない。
(台北・竜口英幸)
[ 2004/07/14朝刊掲載 ]
牛排変牛肉麺=台湾・台北
台湾の野党第一党、国民党が今週、路線問題を話し合う幹部会議を開いた。
たたき台は蕭万長・副主席が用意した「(現段階では)中華民国とは台湾のこと」
とする新定義。同党は今も「一つの中国とは中華民国のこと」という「一つの中国」
の立場を堅持。三月の総統選は、台湾人意識の高まりに負けたと反省し、新定義で
「国民党も台湾を愛している」との思いを伝えようとした。
しかし、「台湾独立路線と誤解されかねない」との反対意見が続出。議論を引き
取った連戦主席は「中華民国は既に台湾と一体化している。中華民国こそが民主と
平和を最大限に保証した政体だ」と言い直した。いかにも苦しい。同党寄りの新聞、
中国時報にさえ「牛排(ビフテキ)が牛肉うどんに変わった」との見出しが躍った。
国民党の定義はメンツを守る悲哀が漂うが、対岸で「一つの中国」論を振りかざす
最近の中国も露骨に台湾への圧力を強めている。かつて双方の軍が、定時に空砲を
打ち合いメンツを保った時代があったと聞く。この方がまだ知恵がある。
(台北・竜口英幸)
[ 2004/08/21朝刊掲載 ]
北海道の知恵=台湾・台北
かつて日本留学試験に合格したが家庭の事情で進学できず、夢よもう一度と、
日本語能力に磨きをかけている。
親日家で、先日昼食を共にした際「清潔で安全な日本は、台湾にとって
理想的な観光地」と絶賛する。ところが九州について尋ねると「特色がない
からね」と一言で終わり。北海道が最高だと断言する。
魅力は景観や食べ物だけではないという。早めにホテルに着いてもすぐに
温泉に入ることができる。座敷の部屋で、料理が山盛りスタイルで出てくる。
台湾語歌曲のカラオケがある。お土産屋では「中華民国旗」が歓迎する。
国際社会で認知されない欲求不満を持つ台湾人は、「国旗」を見るとうれしさ
のあまり土産を余計に買い込むのだという。
九州の景観と味には自信はあったが、カラオケと「国旗」は思いつかな
かった。北海道は、台湾を研究しつくしているのか。九州は、歴史的、距離
的な近さから、台湾のことを分かっているつもりになっているのかもしれない。
(台北・竜口英幸)
[ 2004/09/09朝刊掲載 ]
台流起こしへ産学官が連携 「韓流」ブームに続け
【台北22日遠矢浩司】「韓流」に続いて「台流」ブームを―。台湾の
行政院(内閣)は二十二日、低迷が続く台湾映画の振興を図り一大産業と
して育成しようと、産学官の新組織を発足させた。国を挙げた映画・テレビ
ドラマ振興策により観光などにも波及効果が出ている韓国を見習おうという
もので、台湾や海外の映画制作にさまざまな補助をしていく。
新組織は、謝長廷・行政院長(首相)の呼びかけで発足。映画「悲情城市」
などで知られる侯孝賢監督ら映像産業人、学者、各部長(閣僚)らが出席した。
今後、五年間で映像産業育成に二百億台湾元(約七百億円)を投入。台湾映画が
米アカデミー賞やカンヌ映画祭などで主要な賞を獲得した場合には、報奨金や
次回作の補助金を出す。台湾で撮影を行う海外映画にも補助をする計画。
新組織では税制優遇措置などを検討するほか、将来的には「国家映画局」や
行政法人の「台湾映画センター」の設置も目指している。謝行政院長は
「台湾にも韓流のようなブームを起こす能力がある」と激励した。
台湾映画は、一九九〇年前後に侯監督らの作品が「台湾ニューシネマ」として
世界的に注目されたが、その後は振るわず、制作本数は年間二十本程度。テレビ
ドラマはアイドルグループ「F4」主演作が日本でも人気を呼んだが、韓流
ほどのブームにはなっていない。
http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/morning_news010.html
客家の名酒=台湾・台北
中国語では大酒飲みのことを「海量(ハイリャン)」と表現するが、台湾では
「酒鬼(チュウクイ)」が一般的。風格のある飲んべえは「酒仙(チュウセン)」
と呼ばれるが、この域に達するのは至難だ。
先日、この酒仙にふさわしい酒を知人から頂いた。客家(はっか)の町として
知られる台中県東勢鎮の「石圍牆(せきいしょう=石の城壁の意)」。アルコール
度数七〇度の蒸留酒「白酒」、台湾最強の酒だ。大陸の白酒はコーリャンが原料
だが、この酒はコメで作る。「口に含むとたちまち気化する。その香りを楽しむ
酒です」と醸造元の巫建旺社長。
コーリャンの白酒のようなクセがなく、すっきりした味わい。間違いなく大陸を
超えている。昨年五月から製造を始めたばかりだが、台湾の客家の間では早くも
「幻の名酒」になっているというのもうなずける。
日中関係と同様に、台中関係も「政冷経熱」。両岸の指導者が杯を挙げて未来を
談ずる日はいつ来るのか、飲むほどに夢想してしまう。
(台北・竜口英幸)
[ 2004/09/25朝刊掲載 ]
表かヤミか=台湾・台北
台北市で出版社を経営する林献章さんは、地ドリが大好物。仲間は「トリが
震える林」と呼ぶ。新竹県の山中にある地ドリ農園のレストランでは、いつも
料理とは別に四羽、五羽と丸ごと家に持ち帰るため、ニワトリは彼の姿を見る
とおびえるというのだ。
このレストランに同道した時のこと、客家料理の「麻油鶏」に歓声が上がった。
ゴマ油でショウガとトリをいため、「米酒」をたっぷり注いで煮込んだ伝統
料理だ。米酒に話が及ぶと「確かな筋の密造酒だから大丈夫だ」と林さんは
にやり。
台湾の米酒は約百四十億円の市場規模で、何と九割強が密造酒とされる。
世界貿易機関(WTO)加入に伴い酒税が大幅に上がったためで、命に
かかわる安売り品も表に出回る。人々は、市価の半額という低価格と安心を
ヤミ市場に求める。
台湾では酒に限らず、ヤミは半ば公然だ。軍は、ヤミ放送局の電波で情報
収集活動に支障が出ているとぼやく。トリをほおばっていた傍らのW氏、
「僕は医者ももっぱらヤミ。腕は確かだし、大病院の医師の奥さんも通って
来るよ」ときた。口コミ社会の台湾。表かヤミか、評価は難しい。
(台北・竜口英幸)
[ 2004/10/22朝刊掲載 ]
民主の模範=台湾・台北
台湾では今、米大統領選で敗れたジョン・ケリー氏の人気が急上昇している。
潔く敗戦を認め、共和党と民主党に分断された米国社会の団結を訴えたからだ。
新聞にはケリー氏の大きな写真の横に「民主典範(民主政治の模範)」という
見出しがついた。
テレビ各局は、画面を二等分し右側にケリー氏、左側に三月の総統選挙で選挙の
不正を叫ぶ連戦国民党主席の姿を流し、今に至っても負けを認めようとしない
連戦氏を痛烈にあてこすった。
陳水扁総統の当選無効訴訟でも敗退した連戦氏。判決の前日、国民党の中央常務
委員会で、陳総統を詐欺と反逆の徒と激烈に批判し「人人得以誅之(だれでも討ち
滅ぼしてよい)」と発言した。「誅」は罪ある者を殺す意味だから、社会に大きな
衝撃を与えた。
台湾の民主主義は若い。しかも国民党の暗黒政治の記憶が生々しいから、政治は
激烈だ。連戦発言は、台湾社会の分断の実相を突きつけたともいえ、心ある台湾人は
また、深いため息をつくのだ。
(台北・竜口英幸)
[ 2004/11/08朝刊掲載 ]
超監視社会=台湾・台北
台北市の南隣の新店市は、温泉地・烏来(ウーライ)への入り口の街。
地下鉄の駅のすぐ近くに碧潭という人造湖があり、ここではドラゴンボート
レースも開かれる。その碧潭の岸辺に、知人が酒場を開いた。
湖を眺めながらワインを飲むうちに、カウンターの上に小さな黒いボールが
あるのに気付いた。何とこれが監視カメラ。飲んで騒ぐわが姿は、傍らの
パソコンにしっかり記録されていた。
台湾ではあらゆる所に監視カメラがあり、テレビの事件報道で録画が大活躍
する。コンビニ強盗や、街頭でのけんかは日常茶飯事。先日は白昼、通りで
携帯電話をかけるふりをしながら女性を物色して尾行、アパートの部屋に
押し入って女性のボーイフレンドに追い回される男の、犯行の一部始終が
放映された。
日本では、犯罪抑止効果と人権とのはざまで折り合いが難しい監視カメラ。
台湾では人権問題の議論は全くない。しかし、毎日録画を見ていると、少なく
とも台湾では犯罪抑止効果もないように思う。
(台北・竜口英幸)
[ 2004/11/26朝刊掲載 ]
熱血の嵐=台湾・台北
台湾の旗は「青天白日満地紅旗」、赤地の長方形の左上に、青空を背にした白色の
太陽が輝く図柄だ。台湾に駐在してようやく「赤の乱舞」に違和感を覚えなくなって
いたが、最近、台湾のテレビや新聞の全面広告に登場した旗には、深い衝撃を受けた。
台湾の一院制国会に当たる立法院選挙で、最も中国寄りとされる野党・新党の選挙
活動の企画だ。集会場に置かれた巨大な旗は、赤地ではなく白地。参加者は会場で
次々に採血して白地部分に振りかけ、ついには「満地紅旗」が完成した。スローガンは
「熱血で国旗を染め、赤色で勝利し国家を救おう」だ。
中国古代には祭礼や誓約に牛の血を用いたとされる。日本でも武士の誓いに
「血判状」があったし、鮮血が「血が騒ぐ」高揚感をもたらすことも、理解できなくは
ない。だが、ここまで大規模だと、恐怖感すら抱く。それとも、これも「白髪三千丈」
に象徴される、何事も大げさに表現する文化の伝統なのだろうか。
(台北・竜口英幸)
[ 2004/12/08朝刊掲載 ]
画家の精神=台湾
風景画家の何肇衢(ホー・チャオチュイ)さん(74)は、台湾画壇の
重鎮。自然の美を見つめる喜びが躍動するような画風だ。アトリエを訪ね
ると「私の宝物」と奥の書庫から五十年前に購入した画集を取り出した。
鹿児島出身の藤島武二(一八六七―一九四三)の大判画集だ。
茶色に変色した箱には、検閲印と返本指定命令書き。戒厳令下の台湾に、
見本として一冊だけ入った運命的な画集。何さんは、二カ月分の給料を
はたいて入手した。代表作五十点の最後に「旭日照六合」があった。
藤島は六十一歳の時、昭和天皇の学問所を飾る作品を依頼され、「新しい
太陽」を求めて各地を旅行。台湾にも一カ月滞在し、新高山(玉山)の日の
出を描いた。だが満足できず、依頼から九年、内蒙古の砂漠でついに理想の
日の出に出合った。それがこの作品だ。
「巨匠が一切の妥協を排し理想を追求し続ける、その精神が素晴らしい」
と何さん。藤島の精神は、半世紀を超える何さんの画業をも貫く。一枚の
絵が持つ力に、思いを新たにした。
(台北・竜口英幸)
[2005/01/15朝刊掲載]
台湾・高雄のタイ人労働者暴動 劣悪労働不満が暴発
【27日バンコク永田健】台湾・高雄市で二十一日に起きたタイ人労働者による
暴動事件は、東アジアにおける労働地図の複雑さと、海外出稼ぎが抱える問題とを
あらためて映し出した。国境を越えてより高い賃金水準の国・地域へと流れてゆく
労働者。アジア民衆のたくましさも感じさせるが、それと裏腹に、他国での劣悪な
労働条件や搾取、民族差別という過酷な現実がある。
台湾での事件は、鉄道建設現場で働くタイ人労働者が宿舎で飲酒していたところ、
台湾の管理人に注意されたのがきっかけ。約千人が騒ぎだし、宿舎や車に放火した。
低賃金や狭い宿舎、携帯電話の使用禁止などの待遇に対する不満がうっせきして
いたされる。
タイの新聞はいずれもこの事件をトップ級で伝えた。劣悪な条件下で働かされて
いたタイ人労働者を擁護する内容が多い。「高雄市の現場では千七百人のタイ人
労働者にトイレが九つしかなかった」などの記事や、一人分のスペースがカプセル
ホテルぐらいしかない宿舎の写真を掲載している。タイ政府も敏感に反応し、台湾
当局に対して暴動の原因究明機関にタイ側担当者を入れるように求めたという。
タイ労働省によると、タイからの出稼ぎ先で最も多いのは台湾の約十万人。次が
韓国で一万人。いずれも建設現場や工場労働者として働いている。出稼ぎの多くは
タイ東北地方の出身者だ。働き口を紹介して送り込むブローカーが介在しており、
前金は十万バーツ(約三十万円)以上が相場とされる。タイの建設現場より台湾、
韓国の賃金相場が高いため、ブローカーに金を払ってでも海外で働くことを選ぶ。
実はそのタイの建設現場では、ミャンマーやカンボジア、ラオスからの出稼ぎ
労働者が数多く働いている。タイの労働者が国外へ出てゆき、そこへより貧しい
周辺国の労働者が流れ込む、という現象が起きている。
東南アジア一の出稼ぎ大国・フィリピンは、年間約五百万人を海外へ送り出して
いる。行く先は中東の油田や他のアジア諸国の作業現場。女性が香港でメードを
するケースも多い。英語を話すフィリピン人は、海外で就労しやすい特性がある。
しかしこういう出稼ぎ労働者が海外でしばしば差別やセクシュアルハラスメントを
受けていることも、同国の悩みの種だ。
日本もこうした問題と無縁ではない。日本はフィリピンやタイなどと自由貿易
協定(FTA)の大筋合意をしたが、これに伴って両国からの看護師や介護福祉士
などの受け入れが進むことになる。アジアの人権専門家からは「『東南アジアの
女性といえば風俗店』とのイメージに凝り固まった日本の男性が、介護職の出稼ぎ
女性にセクハラするのでは」と心配する声が早くもあがっている。
http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/morning_news031.html
このスレは自作自演でしょうか?教えてください。新聞社さん。
49 :
Kyushu ◆or0XnlxUXQ :2005/08/28(日) 13:21:58
>>48 私こと コテハンKyushu ◆or0XnlxUXQ が連続投稿しております。西日本新聞社員じゃございません。昔から購読はしておりますが。
他のスレもこのコテハンでカキコしておりますので、お読みいただければお分かりですが長崎県在住一介の自営業者です。
誤解なきよう。
50 :
台北・竜口英幸 :2005/08/28(日) 15:47:55
>>49 そうですか。でも変わった趣旨ですね。
転載に当たっては当然、西日本新聞社さんに
毎回、承諾を得ていらっしゃるんでしょうね。
>>50 一購読者として西日本新聞でどのような台湾報道が行われているか紹介したい、
というのが趣旨です。引用元(ソース)を明示してありますから問題はないと
考えております。営利目的でもありませんし。
52 :
美麗島の名無桑:2005/08/28(日) 19:53:52
営利目的でないなら著作物を勝手に使っていいなんて
どこの法律に書いてあるんですか?
明らかに著作権法違反行為ですよ。
まず西日本新聞に確認を求めるべきではありませんか?
無知もここまでくると恐ろしいですね。自称自営業者さん。
53 :
Kyushu ◆or0XnlxUXQ :2005/08/28(日) 20:07:57
>>52 じゃ、他の板やスレで行われているニュースソースの引用も引用もとの了解を得なければならないということですね?
54 :
美麗島の名無桑:2005/08/28(日) 22:20:06
>>53 そうですね。法的にはそう解釈していいんじゃないですか。
ただ自営業者さんの場合は、全面的に引用だけに頼ってますね。
引用の結果、なにか別の論議を呼ぶとか、傍証にするんじゃない。
ただ引用して著作権を侵害しているだけなら「コピー天国」でしょ。
知的所有権という認識のない中国など開発途上国と変わりません。
西日本新聞に、これこれこういう趣旨で引用しているが、いいか?
くらい、まず確認して、承諾もらえばいいじゃないですか。
簡単なことですよ。人の引用を引き合いにだすレベルの話じゃない。
画竜点睛を欠く、といいます。自分は善行のつもりでも実は違法行為。
指摘されると逆切れするんじゃ、前述の国と何も変わりませんよ。
苦言で申し訳ないが、前向きに認識なさってください。
55 :
Kyushu ◆or0XnlxUXQ :2005/08/28(日) 22:29:42
>>54 そうですね。法的にはそう解釈していいんじゃないですか。
なるほど、では事後承諾になりますが問い合わせて見ましょう。
ただし、近所の支局員にはこのようなことをやっている旨既に話してはいますが。チェックは入ってるものと思うのですが、、、。
本社の広報部・法務部などにご確認されることをお勧めします。
仮になにもせずに逆に西日本新聞がこのスレを違法だとして、
告発してきたらどうなさるおつもりでしたか?
実際に一部、社内で問題視されているようです。
近所の支局員に話したからチェックしてるだろうなんて、
まったく恐ろしいレベルでびっくりしました。
>>56 本社の広報部・法務部などにご確認されることをお勧めします。
了解しました。本社の代表電話を調べて問い合わせてみます。わざわざ
有難うございました。
58 :
台北・竜口英幸:2005/08/29(月) 00:56:45
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読者室ではメールでの対応はできません。
電話のみの対応ですのでご了承ください。
sage
60 :
美麗島の名無桑:
> Kyushu ◆or0XnlxUXQ
「西日の許諾を得ろ」なんて杓子定規馬鹿な奴なんて無視して良し。
引用だから著作権法違反にならない。仮に違反が疑われたとしても、
例えば当該記事を西日が何らか読める手段を全国に有料で提供して、
その売上を阻害しているなら著作権利侵害が疑われるだろう。しかし
そうした実害がない以上、著作権法違反で司法に訴えた所で実害が
ないとして訴えが却下されるのは確実。それどころか、報道記事を広く
頒布する事は、国民の知る権利を守る上で重要なので、新聞の記事
引用については寛容であるべきだと、西日側が批判される可能性すら
ある。「著作権法を縦に表現の自由を阻害している愚かな新聞」とね。
西日の馬鹿が必死に暴れている様だが止めとけよ。
2ちゃんという便所の落書きに振り回されていると言う
西日にとってマイナスにしかならないメッセージを
2ちゃんねらに公言している様なものだから。分かる?