>>107 逝ってきますた。
メモはしっかり取ってきたので内容をうpしましょう。
今から打ち込むので、数時間待ってください。
予想通り、参加者は新聞記者と留学生とじいさんですた(w
アジア問題懇談会主催の月一回の定例会でした。
この会の過去の講演者を見ると、重村計智氏や佐藤勝巳氏など早々たるメンバーが並んでいますた。
アジアの高速鉄道―新幹線は台湾をどう変えるか―
台湾新幹線の概要
・総事業費6200億台湾元(約2兆2000億円)
うち地上設備が1.6兆円で、日本が総事業の9割近くを落札している。
最新のATCを採用し(盛岡-八戸間と同じもの)1時間に11本の運転が可能。
・台北-左營の暫定開業で、
左營-高雄間は、在来線の改軌を伴うので後の開業予定。
・開業時は1日75往復を予定、のぞみ型で所要80〜90分こだま型で117分を予定。
他に台中まで35往復の区間運転も予定。
・台北駅は在来線のホームを半分流用、4本を使用予定。
・今年の秋から試運転開始、来年10月開業を目標にしているが
一部にトンネル工事の遅れがあり多少の遅れがあるかもしれない。
・車両は一部納入積み、700系とほぼ同じ車両だが
日本とそっくり同じなのはいやということで内装については台湾風にしてある。
(KTXとの比較で、車体幅が広いことを強調)
・BOT方式で、35年後に無料譲渡予定
3年後の単年度黒字を目指し、16年での累積債務償還が目標。
・開業時は、1日14万8千人の乗客を想定(KTXの想定とほぼ同じ人数)
2033年に1日33万4千人の利用を目指している。
ほぼ、東京−仙台間に当たると想定している。
高速鉄道の歴史
・日本の新幹線開業時、ヨーロッパは160km/hの運転をしていたが
200km/hと160km/hではエネルギーが2倍になり技術的に難しかった。
ヨーロッパは200km/hの運転技術に成功するまで、新幹線開業から更に10年を要した。
現在では、日本、ヨーロッパ共300km/h運転が可能である。
・高速鉄道は、当初は斜陽な鉄道の復権が目的だったが、
だんだん地域の振興が目的になってきた。
TGVの大西洋線も採算的に難しく、フランス国鉄は乗り気ではなかったが、
シラク大統領の後押し(出身地)と地元の3割負担で実現した。
・高速鉄道が民間事業になったのは、
1994年の英仏海峡トンネルから。(サッチャー首相のとき)
高速鉄道の比較
注)グラフ類はメモできず
・世界の高速鉄道の総延長の1/3が日本で乗客は世界の1/2。
2位がフランスでそれぞれ1/4〜1/3
・高速鉄道が成り立つには一定の人口密度と国民所得が必要。
一人当たりの国民所得が1万ドルを超えないと難しいと考えている
・各国の人口密度や国民所得を比較すると、
人口密度で、スペイン、フランスは採算的に難しい。(英独伊はOK)
特にスペインは人口密度が低く、採算ベースには乗りにくい。
・(関連して)実は、スペインの高速鉄道では日本がいいところまでいったが、
フランスが現地の車両メーカーを買収、技術移転と現地生産を言い出し、
直通列車(ユーロトレイン)も言い出して逆転された経過があった。
・国民所得では、ヨーロッパ・日本・韓国・台湾などは問題ないが、
中国については、国民所得の問題で高速鉄道が成り立つか難しい。
・(関連して)中国では在来線の高速化を目指しているが、
貨物の割合が高く、日本の貨物列車1編成400t程度と違って
1編成2500t〜4000tあり40〜50km/hで運行されているので、
高速列車の割り込みは難しい。
韓国と台湾の比較
・韓国TGVと台湾新幹線とも1日14万人の乗客を想定している。
ただし韓国TGVは想定の半分の約7万人となっている。
・(韓国での入札について)技術移転が条件だったが、
古いTGVの技術だといって韓国の当局が怒っている。
・(台湾での入札について)ライバルだった独仏が協調したものの、
地震発生などもあって、耐震構造や特にユレダス(初期微動で列車を止める)
技術が、ヨーロッパには無かったことが新幹線採用のポイントとなった。
――車体幅や車両の比較は過去スレでガイシュツなので省略――
韓国TGV(KTX)の100日
―初期のトラブルについて
・人身8件、うち在来線区間7件。ディーゼルのころより静かで気づきにくい。
慣れれば減ってゆくものと思われる。
・電柱に鳥が巣を作る。対策をして現在はなくなっている。
・他に置石2、爆弾騒ぎ1など
初期のトラブルのほとんどは開業1ヶ月目におきている。徐々に収まりつつある。
台湾新幹線でも初期のトラブルをいかに減らすかが課題である。
―問題点
・ソウル駅のキャパシティーが足らない。
在来線の間引きやロンサンにもターミナル駅を作ったため、不便。
ソウル・ロンサンの両駅から同じ行き先の列車が出ていて乗客が混乱する。
ソウルで在来線区間に投資をしないのは、首都移転の計画があるからとも考えられる。
・接続が悪い
ソウルやテグでの地下鉄駅が離れている。
一部の駅では、10分ほど歩かないと地下鉄の駅に行けないところもある。
・座席が狭い、回転しない
進行方向逆向きの座席は不評であるが、改修には費用がかかるため、
当局が躊躇している。
・結果として、乗客が在来線時代の15%増にしかならず、
高速バスなどの客がシフトしてこない。KTXはつまずいている。
116 :
前スレ652:04/08/08 21:42
台湾新幹線の採算性等・その他
―良い点
・(韓国との比較で)台湾新幹線では台北MRTとの接続はいいので問題にならないと考えている。
・立地条件が良い。台湾の主な都市を網羅し人口密度も高いので、集客が期待できる。
―問題点
・建設費が高騰している。
64億円/kmで東海道新幹線の8倍、東北新幹線の1.2倍になっている。
原因は、土盛り区間が少なくほとんどが橋脚構造、トンネル区間も11%あるため。
2.2兆円を多少オ―バ―する可能性もある。
(KTXの場合、1.8兆円で、予定の3倍である)
・台湾高鉄の欧米人職員
主にイギリス人、一部ドイツ人が基本仕様に欧州のものを主張する。
たとえば、車輪の形、レールの形も日欧で違っている。
・台湾鉄路局(国鉄)との摩擦
日本では在来線の運転士を引き抜いて訓練すればよかったが
台湾鉄路局と台湾高鉄は別会社で、労働組合との関連もあり、
全ての職員が新規採用。西日本と東海で研修中である。
その他、台中等での接続列車を台湾鉄路局が運行するか未定である。
(後の質問コーナーで在来線特急は廃止されないだろうと言っていた)
・初期故障、初期トラブル。
いかに減らすかが課題である。
・採算性
新幹線による地域的な利益を台湾高鉄に還元する仕組みが無い。
運賃以外の収入が無い。
台北-高雄間は、特急で845元、飛行機で1000元である。
新幹線の料金を、仮に1000元とすると、14万人で一日5億円(1元≒3.5円)
1年で1800億円、建設費2.2兆円の金利7%で1600億円。
金利分にしかならない。(1日14万人は、最低必要な乗客である)
今日はここまで。質問コーナー等は明日にでも。