北京五輪日本代表松本尚人のコーチのブログに数時間だけ掲載され削除されていたので再度こちらに掲載しておきます
http://www.nogutomo.com/ 野口智博(のぐちともひろ)
日本大学文理学部助教授、日本大学水泳部四部門統括コーチ、 日本水泳連盟競泳委員、アテネ五輪競泳テレビ解説者、 400m自由形元日本記録保持者のブログより。
横綱コーチも、疲労困憊目前であった。ヒサヨシ、柴田、拓馬ら有力選手を抱え、
この半年、死にもの狂いで戦ってきた。富士では、疲労が限界に達して、
ホテルのエレベーターの前で力尽きることもあった。
それでも、満足な成績とはいえないにしても、2名代表に送り込んだわけだから、
結果オーライといわざるを得ない。
ただ、横綱はさすがに武士道を持つだけに(笑)、絶対に言い訳はしないだろう。
尚人は快心のレースだったが、ターンタイム(ターン前後の所要時間)が、だんだん遅くなっていた。
しかも、これはあのレースのデータで、多くの選手に共通する傾向であった。
奥村選手を除くみんなの最後のターン、ちゃんと蹴れなかったんだなぁ。
ま、そんなところなどが本番までの課題となるだろう。
さて、あくまで私もいち研究者として、ここまでの過程を、客観的且つ多角的に考えるに、
これは一つのものの見方として理解して欲しいことがある。
試合前の横綱コーチ流「最終追いきり」の際、本番で着る水着をテストしたのだが、
なんとそれがヒサヨシに合わず、追い込みたいタイムで1本も泳げなかったことなどが、
最後の最後まで選手・コーチに不安を与えた結果になってしまったことは、
あまりにも痛いといわざるを得ない。
柴田も最後の最後まで、着用する水着をどうするか、真剣に悩んでいたのである。
他社のを着るとかそういうのではなく、自社モノで、
「去年着たやつに戻すかどうか?」という選択肢であったのだ。
結果、どう選択したかは、再度VTRをご覧ください。
とはいえ、ヒサヨシについては、あれほどの選手があれほど落ち込むのだから、
原因はそんなことだけではないのは、百も承知だ。
しかし、先日会見したウチの上野監督の話じゃないけど、
日本の水着メーカーには、本当に、真剣に、あと3ヶ月間頑張って欲しい。
中継をよく見ているファンは、「誰がロングジョンからスパッツに変えた」とか、
「誰が脚まであるやつからハイレグに変えた」とか、みんな分かっているのである。
それ以上に、我々現場にとっては、「マジ、それしゃれになってない!」という話が、
今回はあまりにも多すぎたというのが本音だ。
水着開発を担当されていらっしゃる方には、もっと現場に出てきて、選手たちの声を聞いて欲しい。
また、通り一遍等の「抵抗値を計測」するだけでなく、
「自然に力が出せる」とか、そーゆーのでもなく、
「泳者の動きを損ねるかどうか?」という視点を持って、水着を作って欲しい。
また、今回の一連の論議の発端にもなっているし、
シドニー五輪のときに、フルレングスの水着採用をどうするかを、
FINAが真剣に討議したときからも話題に上っているのだが、
水着による「テーピング効果の有無」についてはどうなのだろう?
明らかに「これを着たら身体が自然とこうなる」の売り文句は、果たして良いのか?
FREESTYLEが、昨年夏からSPEEDOを選択し始めたのは、「動きを損ねない」からに、ほかならない。
「自然に動く」とか、そういう問題ではないのである。
というような感じで、ご理解いただけますでしょうか?
スポニチさん、共同通信さん(笑)。
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この記事へのコメント
例の締め付けがキツイと言われてる水着の評判はどうでしょうか。
自由形短距離で着けてるのを見ましたが、かなり効果があるように見えました。
水連が日本メーカーしか認めないと言ってるにもかかわらず
着用する選手がいるということは水着の効果で速くなる選手がいると言うことですよね。
Posted by nasisan at 2008年04月21日 02:53
数時間で消さなくてはいけないということ自体が異常です。
ベストの状態で…せめてベターな状態で泳げる水着を作ってほしいと、選手やコーチが主張することは許されないことなんですか?
Posted by こんなに大事な話を at 2008年04月21日 07:06