>>1の家臣でござる
この度は殿がかように愚かしき板を立ててしまい
家臣一同お詫びの言葉もござりませぬ
殿は先の戦での大敗以来すっかりお心を病んでしまい
昼は村娘をかどわかし夜ごと酒を召しては
家臣に斬りかかる毎日でござる奥方様は病で倒れ折からの
飢饉で民は飢え苦しみ近隣諸国の大名はこれ幸いとばかりに
わが国との国境を侵し始めている次第にござりまする
家臣の中にも殿に翻意をいだく者が多くこのままではお家存亡の
一大事になりかねませぬしかしご安心下され間もなく殿には
出家していただく手はずにござる殿が寺に向かう途中に手練れの者を
ひそませ、殿のお命を頂戴する算段がっておりまする。
その後は殿の甥にあたられる茂名の上(もなのかみ)様を
殿として迎え我ら家臣一同忠勤を尽くす心づもりでござる
皆様方には迷惑をおかけして、まことに申し訳ござりませぬが
今しばらくの辛抱でござる
なにとぞなにとぞ殿の此度の所業をお許し下さいませ