「京都議定書を批准しても対策は幻」
5月21日、衆議院で地球温暖化防止のための京都議定書批准案が承認された。参議
院に優先するため、これで日本は議定書批准となる。秋に審議を予定しているロシ
アは批准の方針であり、そうなれば、欧州各国が批准を済ませているため議定書発
効に必要な二酸化炭素排出割合55%枠を超える。米・ブッシュ政権が昨春、議定書
の枠組みから離脱を表明して以来、不透明になっていた「発効」が見えてきたのだ
が、日本国内の具体的な対策に目を向けるとこれは幻想・画餅のレベルだろう。199
0年を基準年として二酸化炭素など対象ガスを第1期2008年〜2012年に6%減らす約
束なのに、エネルギー起源の二酸化炭素は、原発の発電量を3割増やすなど非現実
的な設定をして2010年を1990年並に抑えるのがやっとなのだ。森林による吸収の水
増しなどの「手品」で当座をしのいでいるだけである。
「日本は乾きかかった濡れ雑巾であり,絞る余地がほとんどない.技術革新や
人々の生活態度が変わらない限り,議定書の目標の達成すら定かでない.米国は水
を十分に含んだ濡れ雑巾だが,米国流の生活態度や国益を盾に絞るつもりがあまり
ない.このような状況のなかで欧米日がほぼ似通った削減率を持ってしまった」
「米国は今後10年で、温室効果ガスの排出量を現在から更に12%程度増加させるこ
とができる。これは、2012年には1990年比で30%増を容認するもの(京都議定書の
第1約束期間平均で27%増)で、京都議定書の目標と比較して34%増の目標となる」。
一人当たりの温室効果ガス排出量も今後増加し続けることも認めていて、途上国平
均と米国とで既に10倍の開きがある格差は拡大、不公平はさらに進むことになる。
http://dandoweb.com/backno/20020530.htm